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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その復讐者を彼は知りたくなかった
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AE(アナザー・エピソード)その復活し過ぎる闘いを僕は知らない

 モスリーンの振るうモーニングスターがまだまだ死なぬわを吹き飛ばした。

 壁にめり込んだまだまだ死なぬわが壁の粉と共に床に落下する。


「はぁ、はぁ……これで97回目よ。そろそろ本当に終わってください……」


 息も絶え絶えに告げるモスリーン。しかし、ぐっと膝を立て立ち上がるまだまだ死なぬわ。


「まだまだ死なぬわッ! 出会え出会えぃッ」


「嘘、また増援!?」


 ようやく殆どの敵を撃破して息を吐いていたエスティールとマクレイナ。

 目の前に出現していくうっかり御用だの群れに思わず愚痴を吐き散らす。

 まだまだ死なぬわは死亡して復活するたびに周囲の護衛を呼び出すのだ。

 今でついに97回目の増援。正直休む暇が殆ど無い。


「無理矢理リエラさんとパルティさんに買わされた魔銃がこんな形で役立つなんて……」


 自分のコメカミ向けて引き金を引くエスティール。

 回復魔弾が体内に打ち込まれ、全身を回復させて排出される。

 魔銃を仕舞い再びレイピアを構えると、うっかり御用だへと突っ込んだ。


「エスティッ、提灯アックスが来るわ!」


「うっかりミス頼るのは危険よね、ええいっ」


 無数のうっかり御用だたちが一斉に提灯を放り投げて来る。

 地面に落下した一部が燃え上がり、エスティールの逃げ場をなくしていく。


「コ・ル!」


「ごめんマクリー助かったわ」


 一部の床に氷の弾丸を撃ち込み通路を作る。

 炎に飲み込まれる寸前エスティールが脱出を果たした。

 ついでに、この一斉提灯アックス投げでうっかりミスをしたうっかり御用だが一体居たせいでうっかり御用だの群れは既に炎に包まれ自滅してしまっていた。


「まだまだ……まだまだ死なぬわッ」


 モスリーンにより再び倒されたまだまだ死なぬわ。呼び出されたうっかり御用だの群れにマクレイナとエスティールは息を飲む。

 ノリで一緒に残るとはいったものの、もう少しこっちの事情を考えて相手を倒してほしいと思うのは二人の我がままなのだろうか?


「これで、99ッ!」


 モーニングスターの一撃が間髪入れず復活したまだまだ死なぬわを撃破する。


「まだまだ死なぬわッ!! 出会え出会えぃっ」


((もうやめてっ))


 エスティールとマクレイナの心の声が見事に被ったことに、モスリーンは全く気付かない。

 復活したまだまだ死なぬわが行動開始するより先に、更なる一撃が襲いかかる。

 モーニングスターに押しつぶされたまだまだ死なぬわが地面にめり込むようにして息絶えた。


「はぁ、はぁ……」


 しばし、モスリーンの息使いだけが鳴り響く。

 まだまだ死なぬわが立ち上がってくる様子が無い。


「やった……?」


 100回目の死を迎えたまだまだ死なぬわ。ようやく、彼の生命活動が終わりを告げ……


「まだまだ、死なぬわっ」


 くっくと笑いながら起き上がるまだまだ死なぬわ。

 勝利を確信し、力を抜いたところに更なる復活を遂げたまだまだ死なぬわが襲いかかる。

 モスリーンは乾いた笑みを浮かべるしかなかった……


 そんなモスリーンに不意の一撃を叩き込もうとしたまだまだ死なぬわ。

 が、出会え出会えと呼び出したうっかり御用だが丁度彼の目の前に一体、うっかり出現した。

 そいつが邪魔になり最大の好機を逃したまだまだ死なぬわがつんのめる。

 床に倒れたまだまだ死なぬわにうっかり別のうっかり御用だが提灯アクスを取り落とした。


「ぐぅわあああああっ」


「「「えぇ――――っ!?」」」


 モスリーンたちは 10階層のボスを 撃破した!


 しばらく待つ。しかしまだまだ死なぬわが再復活する様子が見られない。

 どうやら本当に倒してしまったようだ。

 マクレイナとエスティールは顔を見合せながらも、未だ出現したままのうっかり御用だの群れを見る。


 燃えていた。

 それはもう盛大に、誰かがうっかりミスして魔物達は全員炎の海で踊っていらっしゃった。

 マクレイナもエスティールも何もしていない。

 ただただ彼らが自滅していくのを白けた眼で見守るしか出来なかった。


「あの~、これ、勝ったってことで、いいんですかね?」


「少なくとも、もう二度と闘いたくはない相手ね」


「流石に100回復活とかは……ないわぁ」


 三人の少女たちは全員息を吐いて一旦落ち着くと、互いに寄りそいながらボス部屋を後にする。

 こんな闘いはもう二度とごめんだ。そう思いながらも莫大な経験を手に入れた気がする三人だった。

 実際まだまだ死なぬわを一度倒すだけでも経験値が入るので100人分+護衛として増えたうっかり御用だ人数分の経験値を得た彼女たちはかなりのレベルアップを果たしているのだが、疲労困憊の彼女たちはまだ、その事実に気付いてはいなかった。




 数分後、10階層のボス部屋に入って来たのはアメリスと二匹のにっちゃう。

 まだここのボスと誰かが闘っていると思っていた彼女たちの目の前に現れたのは、まだまだ死なぬわとうっかり御用だたちの群れだった。

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