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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第九部 第一話 その仲間たちの思いを背負い塔を昇ることになる事を僕は知らなかった
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その最後の部屋で待っていたモノを彼は知りたくなかった

「鬼だらけですね」


 闇鍋奉行を撃退した僕たちは、鬼達に出会わないように気を付けながら95階を目指していた。

 93階層に入った辺りから泣いてる赤鬼、怯える青鬼、にこやか緑鬼に加えて怒れる黄鬼が出現し始めた。

 もしかしたら共通で91階から出現していたのかもしれないけれど、とりあえず全鬼の中で一番厄介な敵だ。


 何しろこちらの姿を見かけた瞬間怒り狂って襲いかかってくるのだ。

 泣いてる赤鬼は泣いているのでこちらに注意など向けず、怯える青鬼はこちらを見付けた瞬間逃げ出し、にこやか緑鬼は笑顔で手を振ってくる程度のものだったのに、この黄鬼だけは強制戦闘がはじまってしまうのだから面倒臭い。しかも無駄に強い。


 こちらもパルティとルクルとアルセだけってメンバーだから苦戦必至なのは仕方無いんだけど、回復魔弾が湯水の如く使われて行くのがちょっと、貧乏性なのかな?

 あ、ちなみに僕は補助要員で危険なダメージくらった人に回復魔弾撃ってます。


「もうすぐ95階への降り口です。アルセとルクルは先に行って!」


 僕とリエラの背中を押しながら迫り来る黄鬼に矢を撃ち放っていくパルティ。

 突き立つ矢に構うことなく突進して来る黄鬼に、種をばら撒くアルセ。そのままルクルと下の階へと消えていく。


 アルセギン達が生まれだす。

 パルティと共にルクルが用意した下りの縄梯子の元へ。

 アルセギン達が黄鬼に殺到するのを見届け、僕とリエラ、そして最後にパルティが梯子を使って下へ。

 役得? な。なんのことですか? 上から降りて来るパルティを見上げたりなんてしてないよ?


「ついに95階層。最高到達が88階だそうですから、あと5階になったここまで来たのは私達だけですね」


 照れたように告げるパルティ。冒険者見習いの自分が冒険者ですら到達出来ていない最上階近くにまで来ている事が嬉しいのだろう。

 その笑顔を向けられる僕も嬉しいです。

 ただ、僕の後ろから恨みがましい目で見つめて来るルクルさんさえいなければ……


「さ、さぁ行きましょうか」


 気を取り直すように息を整え気合いを入れたパルティが扉を開く。

 刹那、神々しいまでの光が溢れた。

 何も無いはずのダンジョンを照らす日輪の輝き。

 周囲のクリスタルか何かが光り輝き幻想感を高めている。

 そして、空からゆっくりと煌めく無数の羽を舞い散らせながら舞い降りる純白の羽を持つ……鬼。

 微妙に顔がミイラ化しています。


「キモッ!?」


 何でそんなモノを掛け合わせちゃった?

 そういえる存在がそこに居た。

 まさに天使のように光り輝く羽を広げ、ゆっくりと降りて来るのは筋肉質でムキムキマッチョ、厳つい顔を持つ三つ角の鬼であります。しかもなぜかポーズが磔されたキリストさんみたいなポーズで降りて来た。灰色がかった体躯の醜悪なソレは手に黄金色の金棒を持ち、神々しい姿で舞い降りると、まさに鬼のように咆哮を上げた。

 名は飛行鬼。神はボスの名を考えるのも面倒になったようだ。


「ま、まさにラスボスって感じよね?」


「るっ」


「あ、やっぱり? 仕方無い。透明人間さん、アルセとリエラを頼みます!」


 正気かパルティ!?


「ただ、できれば早めに助けに来てください。リエラさんと一緒に」


 お願いですよ! と送り出される僕とアルセ。ルクルからもるーっとお声を頂き、仕方無く96階へと向かい足を進めた。

 今、ここで僕とアルセが残って敗北したら意味が無いのだ。100階層までリエラを連れていく。これが僕らの目標なのだから。

 だから、だからここはパルティ達に任せる。絶対に、絶対に死なないでパルティ! ルクル!


 僕とアルセはひた走る。95階を越えると新たに厳しい黒鬼と優しい白鬼が出現した。

 やはり脅威は黄色鬼だ。

 アルセを魔物と認識したのか倒れたままのリエラに狙いを絞ってくる。

 直線的に来るから丁髷砲の餌食に出来るけど、アルセと僕だけだとかなりきつい。

 できるだけ戦闘を避けて頂上に向かう事になるので時間もかかる。


 おそらく、ここに来るまでに全行程約1週間。

 結構時間がかかっている。

 途中で何度か休んだのも長くなった理由だ。


 リエラの容体は日に日に悪くなっている。

 ここまで急速悪化したのは何が原因なんだろう? 僕なんだろうか?

 だけどその心配も後少しだ。


 目の前の穴に梯子を設置する。

 アルセと二人頷きあって、ゆっくりと降りる。

 ついに、100階層到達だ。

 目の前に厳かな扉が現れ、僕とアルセを待っている。


「さぁ、行こうアルセ」


 アルセの手を繋いで、僕は歩き出す。

 リエラを背負い、アルセと共に。

 扉を開き、光漏れるラスボスの間へ……


「やぁ、本当に来てくれるとは思わなか……いたぁ!?」


 ラスボスの間中央に立っていたグレイを見付けた僕は思わず走り寄り殴ってました。

 おーし、いい度胸だ、表出ろ。

 散々僕らを振りまわしておいてラスボスの間に先廻り? 神様僕ら舐めてるでしょ? 舐めてるよね! やっぱあの時直ぐ薬品渡せただろッ!!

 怒れる黄鬼

  種族:鬼族 クラス:オーガ

 ・ゴブリンの進化系の一種。オーガ種に指定されている。二本角の黄色い肌の鬼。

  いつも怒っている。虎縞パンツがトレンディ。食事を上げると喜ぶ。

 ドロップアイテム・鬼のパンツ(使用済み)、金棒、鬼角×2


 厳しい黒鬼

  種族:鬼族 クラス:オーガ

 ・ゴブリンの進化系の一種。オーガ種に指定されている。三本角の黒い肌の鬼。

  罵声が凄く他の鬼に恐れられる鬼教官。虎縞パンツがトレンディ。

 ドロップアイテム・鬼のパンティ(使用済み)、金の金棒、鬼角×3、地獄のイバラ鞭


 優しい白鬼

  種族:鬼族 クラス:オーガ

 ・ゴブリンの進化系の一種。オーガ種に指定されている。三本角の白い肌の鬼。

  いつも優しいが三回しか許してくれない。虎縞パンツがトレンディ。

 ドロップアイテム・鬼のパンツ(使用済み)、血塗れ金棒、鬼角×3、免罪符


 飛行鬼

  種族:鬼族 クラス:鬼神

 ・翼を手に入れた鬼。

  鬼たちにとっては鬼神と崇められた存在。

 ドロップアイテム・鬼のパンツ(新品)、ヒヒイロカネの金棒、硬鬼角、純白の翼

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