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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第九部 第一話 その仲間たちの思いを背負い塔を昇ることになる事を僕は知らなかった
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そのいなくなっていく仲間たちを僕らは知りたくなかった

 55階にやってきた。

 ボスモンスターは……いた。あいつか。

 達磨の顔を持つムカデのような生物。いや、むしろ動く達磨落とし?

 無数に別れた胴体部全てに手が存在し、身体をくねらせながら移動して来る。

 正直気持ち悪い。


「あの姿。達磨落としかしら?」


「チグサだったな。達磨落としとはなんだ?」


「ハンマーで一番下を叩くと一番下だけが飛び出すの。上の達磨顔だけを残して全部飛ばすっていうおもちゃよ」


「ほほぅ、アレを下から殴り飛ばせばいいのか。我の拳の治りを確かめるのに丁度良いな」


 ここまで付いて来た気の良いファラムさんが居残るようだ。

 ついでにキキルさんも残って回復役を買って出た。

 僕らはファラムたちに任せて先へと向かう。


「だいぶ、人数が減って来ましたね。大丈夫でしょうか?」


「不安はあるけど、やるしかないでしょ。残った面々でなんとかしましょ」


 パルティとチグサが皆を率先していく。

 リーダー役も人が居なくなれば居なくなるほど別の人がやってくなぁ。

 このパーティー結構皆を引っ張るタイプの人がいるよね。

 リエラがリーダーになってても皆が盛り立てれば問題は無さそうかな。いや、船頭多くしてって諺もあるし、むしろ多過ぎるのも考えモノか。


 60階層にやってくる。

 ここは団体戦か。敵の名前は豆大福侍。

 子供の顔位の豆大福に手と足がついた一頭身の魔物が大量にいる。

 おもちゃみたいな小刀を抜いて「いざっ!」と舌ったらずな声をだす。


「おし、こいつらなら俺らでも行けそうだ! レックス、お前らは先に行きな!」


「ランドリック!?」


「皆さん、ここは僕らでなんとかします。行こうランドリック」


「フィック、貴方が残るのでしたら私も残ります!」


 ランドリック、フィックサス、クライアさんが残る。

 僕らは迷うことなく次の階層へと向かう。

 なんかもうここまで来たら僕もノリに付いて行くしかない気がして来たよ。


「ランドリ――――ック!!?」


 ああ、やっぱり。

 彼だけはお約束みたいなことになったらしい。

 大丈夫かランドリックくん。

 フィックサスの悲痛な声を背後に聞きながら、僕らはさらに先へと向かうのだった。


「これは!?」


 先頭を走っていたチグサとパルティが思わず立ち止まる。

 階下に降りて来た僕らが見たのは、今までとは違う不気味な回廊だった。

 今までの日本の城を逆さにしたような通路ではない。


 西洋風の城を逆さにしたような石畳の天井を歩く通路。

 時折教会の壁画みたいな天使と悪魔の戦争みたいなのが足元に描かれている。

 上空にあるのは石造りの廊下。蝋燭が等間隔で付けられているのだけど、逆さになってない。


 ひんやりとした回廊を警戒しながら歩く。

 時折窓のような穴が空いていて、そこから月明かりが真下に見える。

 ちなみに、アルセが興味を覚えてそこから外に出ようとしたけど見えないガラスでも入っているように窓から出ることは出来なかった。

 月明かりが真下から差し込み上空の通路部分を淡く照らす。


「上下逆の世界って不気味ね」


「私はそれより蝋燭だけ普通なのが気になりま……チグサさん!」


「そういうことか!」


 蝋燭の一体がボタリと落下。手足を生やして襲いかかる。

 キャンドル型の魔物らしい。

 チグサの一刀で斬り伏せられるが、この階層からは出現する魔物ががらりと変わったらしい。

 出て来る魔物も妖怪から西洋系モンスターに変化した。


 一番危険なのはブラックドッグ。

 即死効果を持つ魔物だが、これはアニアの御蔭で助かりました。

 惑わし効果で相手が見当違いの場所を見てる間にチグサとパルティが即攻。

 ジャックランタンやらチェーンソウ持ったカボチャ頭はネフティアが、ゾンビっぽいのも出て来たけど、これはヲルディーナの水弾で撃退。


 65階層。ボスモンスターはフランケンシュタインと思しき巨人。

 クーフを思わせる巨大な男を前にして、チグサとケトルが前に出る。

 また二人、僕らの仲間が居残ってしまった。


 66階層へと降りてきて、僕は人数を確認する。

 アルセ、リエラ、ルクル、パルティ、ロリコーン侯爵、ハロイア、アニア、ミーザル、レックス、ヲルディーナ、ネフティア、セキトリ、アキオ、そして僕。

 一応、14人か。

 残るボスの部屋は70、75、80、85、90、95、100か。

 一部屋二人づつ残れば二人は辿りつける計算だ。

 でも、アルセとリエラを最後まで連れて行くとしたらルクルやパルティまで居残る結果になる。

 となると、1人で闘うメンバーが何人か居ないと100階層へ辿りつける人数が少なくなるのか。


 大丈夫かな? いや、仲間を信じよう。

 皆が手伝ってくれてるんだ。リエラ、必ず助けるからね。

 背中で苦しむリエラ。その体温を感じる。身体はずっと少女を背負っているのでプルプルと震えていていつ倒れてもおかしくない状態だけど、回復魔弾を何度か使っているので問題は無い。

 彼女は今、ここに生きている。だから、だから絶対に助けてみせる。

 僕の筋肉痛と引き換えにしてでもっ。

 達磨百足

  種族:魔虫 クラス:ダルマムカデ

 ・ダルマ顔で節がモロいムカデ。

  よく達磨落としみたいに解体されるらしい。

 ドロップアイテム・焼きムカデ・ダルマ


 豆大福侍

  種族:ファーストフーダー クラス:豆大福侍

 ・豆大福に両手両足が生えた侍型大福餅。

  攻撃力は少ないが数の脅威で攻め寄せて来る。

 ドロップアイテム・豆大福・小刀・これはドスどす


 キャンド

  種族:有命武具 クラス:魔蝋

 ・キャンドルタイプの魔物。

  喋るタイプもいるが、この魔物は喋らないタイプ。

 ドロップアイテム・蝋燭・アロマキャンドル・マッチ


 ブラックドッグ(再出)

  種族:死齎犬族 クラス:ブラックドッグ

 ・見る者に死を齎すと言われる死齎犬という系統の魔物たちの最下種。

 直に眼を見てしまうとじわじわと死に近づく効果の眼光を受けることがあるので危険種指定されている魔物。

  眼力で人を殺す以外は大した能力は持っていないので討伐ランクは低いが、森の中では初心者殺しで有名な魔物。深部に生息しているらしいが、稀に浅い森に出てくる。宣告の眼光を受け死の宣告状態になると教会でお祓いを受ける以外に直らない。

  群れることは無くほぼ単体で出現する。

  ちなみに、上位種にはボギー、ヘアリージャック、バーゲスト、デーモン・ドッグ、ヘルハウンド、黒妖犬などがいる。

 ドロップアイテム・犬肉・黒妖犬の毛皮・アンデスリング


 ジャック・オ・ラソタン

  種族:妖精 クラス:ジャック・オ・ランタン

 ・カボチャ頭の妖精の一種。外套に包まれた身体に実体はなく、手にはチェーンソウを持っている。

  魔法生物に見えるがジャック・オ・ランタンとは違い実体がある。

  高位存在ではあるが悪戯好きには変わりがない。

 ドロップアイテム・カボチャランタン・チタンチェーンソウ・ジャック・ラソタンの種


 ジャック・オ・ランタン

  種族:妖精 クラス:ジャック・オ・ランタン

 ・カボチャ頭の妖精の一種。外套に包まれた身体に実体はなく、手にはランタンを持っている。

  魔法生物であり実体はない。

  高位存在ではあるが悪戯好きには変わりがない。

 ドロップアイテム・カボチャランタン・不滅のランタン・ジャック・オ・ランタンの種


 踊れるゾンビ

  種族:死人 クラス:ゾンビ

 ・リアル系ゾンビ。時折団体でス○ラーを踊っていたりする。異世界なのになぜ踊れているかは不明。

 ドロップアイテム・腐った肉片・妖しい液体・キュアポッド


 フランケンシュタイン

  種族:キメラ クラス:フランケンシュタイン

 ・継ぎ接ぎだらけの合成生物。人造人間ではなく魔物の一種。

  高い攻撃力と凶悪な再生能力を持つ。

 ドロップアイテム・大きなネジ・腐った肉片・ラ・グの魔術書

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