表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第ニ話 じゃじゃ馬嬢を止める術を彼らは知らない
73/1818

その焚火がどうなったのか、誰も知らない

「えーっと、こう、ですか?」


 とりあえず、うろ覚えのサバイバル知識をもとにして、僕はリエラの身体で実演していた。

 女の子に密着して手とり足とり、現代世界だったら絶対にあり得ないことを僕は今体験中であります。

 貴重な体験です。ありがとう人生。


 リエラに背後から抱きつくようにして木の板に穴を開け。そこに木の棒を突き立てクルクル回すとしう原始的な方法での火起こしを伝授中なのだ。

 密着。女の子に密着。け、決してエロ目的じゃないからね。

 僕は火起こしを教えているだけなんだからねっ。


 どこかの誰かに言い訳しつつ、ああでもないこうでもないとリエラと二人で協力する。

 そうやって苦戦していると、クーフが興味を覚えてやってきた。

 熱心に木の棒を擦っているリエラだが、削りかすが出るだけで何の変化も見せていないので、クーフも何をやろうとしているか掴みきれないでいるらしい。


「何をしている?」


「えーっと、こういう時にやるべきこと、でいいんですかね?」


「よくわからんが、その棒を回転させればいいのだな。やってもいいか?」


「はい。おねがいします」


 選手交代。リエラに変わりましてクーフ。

 フンヌと回転を始めるクーフ。掌同士がこすれ合う中で木の棒が物凄い速度で回転して行く。

 徐々に下の木の板から煙が。

 もうすぐだ。もうすぐ点くぞ……点いた!


 火種ができたので適当な枯葉や枯れ木を持ち運んでくる。

 アルセを使って適当に拾うと火種にくべていく。

 それを見て、ようやくクーフも何をしようとしていたか理解したらしい。


「なるほど、火起こしをしていたのか。確かに森で火があれば夜は越せるな」


「ああ、そっか。これ火起こし……」


「だが、魔弾に炎の魔法があっただロウ? アレを使った方が速かったのでは」


「えうっ!? い、いやぁ、そ、そうかもしれませんけど……」


「まぁもしもの時に弾が不足するよりはいいか。他にやることはあるか?」


「えーっと」


 とリエラは僕を探す。

 僕の知識として他にあるのは食べられる食材の確保と確認かな?

 後は……


「にっちゃん!?」


 僕が考えていると、突然立ち上がるアメリス。

 って、ちょっとお嬢さん、いきなり走り出さないでっ!?

 走り出したアメリスを追って、僕らは再び森の奥深くへと迷い込んで行くのだった。

 折角作った焚火、どうしよう。

 まぁ、燃えるモノが無くなったら勝手に消えるからいいか。

 どうか大火事になりませんように。 




 そして……また迷子になりました。

 迷った後で動くとまぁ、そうなるよね。当然だ。

 にっちゃうつう゛ぁいの姿も見失ったらしく、所在無さげに佇むアメリス。

 学習しないこの子のせいで、クーフと逸れました(笑)。


 いや、うん、もう笑うしかない。

 現在のパーティー、リエラ(新人)、アメリス(傷付けたら即終了)、アルセ(能天気)、そして僕。

 戦力? どっかいったよ。クーフ先生、帰ってきてくださいっ。用心棒すら居なくなったらもう絶望的よこのパーティー。


「あ、あれ? 化け物さんは?」


「え? ……逸れた、みたいです」


 アメリスの呟きでようやく事態を認識したリエラ。

 自分がこの中で一番の戦力だと気付いた彼女はさぁっと顔を青ざめさせていた。

 今、守ってくれる存在は皆無。カインもネッテもバズ・オークもクーフすらも存在しない。

 そして守るべき存在多数。もう、彼女の手に負える状況じゃない。


 なのにここは森の深部。凶悪な魔物が跳梁跋扈している場所だったりする。

 あ、ティアラザウルスだ。

 少し遠くの木々をかき分け、巨体が右から左へと通過して行った。


 よくよく見ればいろんな魔獣がそこかしこを歩いている。

 今まで遭遇しなかったのが奇跡なくらいである。

 一応アルセと逸れたら大変なので僕がしっかり抱き上げてるけど、これ以上逸れたらどうにもなりませんよ。割りと本気で。


「ちょ、ちょっと、なんであなたそんなに青くなってるのよ! 冒険者なんでしょっ!?」


「わ、私はカインさんたちに守ってもらってる冒険者見習いに毛が生えたようなものですよぉ。わ、私が貴族のお嬢さん守れってそんな、自分の身すら守れるか不安なのに無理ぃぃぃっ」


 あー、ダメだ。リエラさん完全に恐怖に飲まれてます。


「な、なによそれっ。何でよりによってあんたが残ってんのよぉっ」


「そ、そんなのあなたが勝手に先々向うからっ」


「い、依頼者なんだから当然だわ。冒険者の方が黙ってついて来てフォローするもんでしょっ!!」


「自殺志願者を護衛できるわけ無いでしょっ!!」


 恐怖のせいかあのリエラが貴族相手に反論してる。

 危機迫る怒声に思わずアメリスも押し黙ってしまっていた。


「そもそも私達だけだったらカインさんたちと一緒に最初の魔物倒してゆっくり探索できてたのにっ。これであなたが勝手に死ぬだけならともかく皆が死んだらどうしてくれるんですかっ!!」


「な、何よっ。勝手に死ぬだけ!? あんたたちが守る命でしょっ!!」


「そんなもん自分の命優先に決まってるでしょッ! なんで貴族だからって理由で命張って守らなきゃならないんですかっ。そんなもの自分の護衛に任せればいいでしょっ。冒険者を近衛兵と一緒にしないでッ!!」


 いやいやお二人とも、さすがにそんな大声でけなし合うのはやめなさい。

 いや、ホントマジで。ヤバいから。ほら、なんか変なの寄って来てるから……ってぇ!?

 リエラさん、マジピンチ! ピンチ到来ですよっ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ