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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第九部 第一話 その仲間たちの思いを背負い塔を昇ることになる事を僕は知らなかった
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その知り合いが現れたことを僕らは知りたくなかった

「御用だ! 御用だ!」


 時代劇の逆塔に入った瞬間、奥の方から現れる無数の人影。

 ダンジョン内は確かに天井と廊下が逆になっているような作りだった。

 床は木目調で、おそらく二条城とかにありそうな鴬張りという奴だ。


 残念ながら足場が天井になっているため足で踏むことは出来ない。

 僕らがいるのは本来天井に位置するはずの天井板。時折木で出来た段差があるのは、多分本来は柱と柱を繋ぐための補強材だ。

 天井を歩くように作った訳ではないようで、所々歩きにくい通路である。

 廊下の方が歩きやすそうなんだけど、こっちが天井になってるからなぁ今は。


「あら? なんだか見覚えがある魔物ね」


 アメリスが敵を見て呟く。

 現れたのは提灯と十手を持った偽人。

 うっかり御用だ。である。

 確かまだまだ死なぬわが召喚してたんだっけ。


 僕が思わずのじゃ姫を見ると、のじゃ姫は首を捻っていた。

 なぜ奴らが敵になっておるのじゃ? みたいな顔をしている。

 そんなのじゃ姫にうっかり御用だの一人が十手を向けた。


「御用だ! 御用だ!」


 そして攻撃しようとした瞬間、背後のうっかり御用だがうっかり提灯を投げ前に居たうっかり御用だが炎に包まれた。


「ご、御用だぁぁぁぁ!?」


 あ、死んだ。

 何もしてないのに魔物が殲滅されました。

 集団で燃え散ったうっかり御用だたちに何とも言えない僕らは、見なかったことにして先へと進む。


「次が来たわね。あれは……うわっ、桜吹雪!」


 片腕の衣を脱いだ男がうっかり御用だに混じって現れた。


「アレはクロガネ金次だな。この階層は地下四階までもう一体、鍋奉行を加えた三種しかでてこねぇんだ。クロガネ金次には物理が効きづらい、魔法が使える奴が居れば率先して倒しちまえ」


「ふむ。では俺がやるとするか」


 ギースさんの言葉にデヌが魔法で迎撃する。

 何かをする前にクロガネ金次は撃破された。

 うん、やっぱ過剰戦力だよねこれ。


「あいや待たれい!」


「なんだ?」


 次に現れたのは鍋奉行。

 お奉行様と思える甲冑にちょび髭の男が軍配を持って現れた。


「鍋を食べているか?」


 いきなり質問して来た。

 当然食べても無いので皆が首を振る。

 ソレを見た鍋奉行が軍配を振る。

 次の瞬間周囲が一変した。


「来たぜ固有空間!」


 ギースが戦慄の顔で告げる。

 なにその待ってました! みたいな顔は。

 テンションあがってる『ハッスル・ダンディ』の面々は、僕らを掻きわけると、何故が鍋奉行との中央にでんっと出現した鍋に群がる。


「そら、お前らもぼーっとしてないで鍋をつつくぞ! 貴重な食料なんだ。食べれる時に食べとけ」


 どういうこと?

 ギースさんがいうには、鍋奉行の問いに食べてないと答えると、鍋に招待してくれるそうだ。

 このダンジョンでは鍋奉行にであったら倒さずに対話することで空腹をいやせると重宝される存在らしい。


 あつあつの鍋には、ネギに豆腐に板状に切られた人参やら大根。うどんに肉に白菜と、様々な物が入っている。

 美味しそうだ。

 メンバーが鍋を囲ったのを見た鍋奉行が軍配を振るう。


「喰えぃ!」


 ああ、ギースたちが食べずに待ってたのはこの号令を待ってたのか。

 どうやらこの鍋奉行、仕切り屋のようだ。彼の号令や命令は優先しないといけないらしい。

 もしも命令違反を行えば無礼打ちされるのだとか。

 よくわからないけどそういう偽人だと思うしかないだろう。


 これ、絶対神様遊び感覚で作ったよね?

 あまり元気ではないが、リエラにも食事を与えて数十分。

 鍋の具材がなくなったことで固有空間『鍋の乱』が消え去った。


 空になった鍋を満足げに見つめ、鍋奉行が去っていく。

 鍋はうっかり御用だたちが片付け持ち帰るようだ。

 鍋奉行に付き従うように数体のうっかり御用だが去って行った。


「この時代劇の逆塔にはああいったよくわからない魔物も結構いるんだ。見知らぬ魔物だったとしても一応対話を行ってみると結構こっちの利益になる魔物がいるんだぜ」


「はぁ、不思議な生態ですね」


 ギースの言葉にパルティが適当に頷く。

 本当に変な生態の偽人だ。

 ついでに、鍋奉行はあまり数が居ないらしい。金次さんはそれなりに見掛けるけど、地下四階まで1体しか出現しなかった。

 なるほど、彼と出会えば食える時に食うというのは確かに有効な手段らしい。あまり倒さないようにした方がいいだろうね鍋奉行。


「んあ? ああ、てめぇら!?」


 地下四階までは結構多い数の冒険者たちと出会った。

 その一人が、五階への入り口にある縄梯子に手をかけようとしたところで声をかけて来た。

 モヒカンヘッドに世紀末系の服と肩パッド。

 リストバンドも棘付き、グローブも痛そうな黒い奴だ。

 舌にまでピアス? をしている男が、僕らに近づいて来た。


「なんでぇなんでぇ、テメェらもここに来ちまったのかぁ? ヒャッハー、ここで会ったが百年目ぇ、地獄の一丁目によーこそテメーら! ヒャーッハッハッハ」


 なんか、ヤバそうな人が出て来たんですが、これも偽人でいいですかね?

 クロガネ金次

  種族:偽人 クラス:金属像

 ・物理攻撃に耐性を持つ人型の金属像。

  衣服を片側おはだけしており、桜吹雪の刺青が見える。

 ドロップアイテム・鋼・黒金・遊び人の心得


 うっかり御用だ

 ・頭に丁髷のように、鉄砲のような筒を持つ白い顔で紋付き袴姿の偽人。

  十手を持っており、敵を見付けると「御用だ!」 と叫びながら襲いかかって行く。

  遠距離投擲用の斧を持っているので注意。

  種族:偽人 クラス:丁髷族

  装備:十手、和服、提灯アックス

  種族スキル:

   威嚇

   御用だ御用だ:仲間を呼びます。

   逃がして堪るか:提灯アックスを投げつけます。火炎瓶と同様の効果あり。

   武器破壊:十手で受け止めた刀などを破壊します。

   丁髷砲:頭の上にある筒で砲撃。

   武士は食わねど高楊枝:戦闘を行っていない時、立っているだけでHP・MP・TPが徐々に回復。

   うっかり:30%の確率でうっかり行動を行う。

  ドロップアイテム・十手・和服・提灯アックス・丁髷砲


  鍋奉行

 ・一目で奉行と分かる出で立ちの偽人。

  十手を持っており、敵を見付けると「なべ!」 と叫びながら襲いかかって行く。

  目の前で鍋を作ると割り入って来て指示を飛ばしてくる。

  種族:偽人 クラス:丁髷族

 装備:十手、和服

 種族スキル:

  威嚇・激

  ひっとらえよ!:うっかり御用だを多数生成する。

  真空波斬:横一線に走る剣閃にさらに衝撃波が加わる。

  武器破壊:十手で受け止めた刀などを破壊します。

  待たれよ!:相手が鍋を始めていると突然現れ待ったをかける。鍋に関して事細かく指示を出す。

  まだ煮えておらぬわ!:相手の攻撃を確実に受け止めるスキル。30%の確率で発動。

  鍋こそ我が人生:鍋物を食べることでHP・MP・TPが全回復。

  鍋の乱:固有空間『鍋の乱』を発動。鍋を囲んで敵味方問わず腹いっぱい食べさせます。

  逆鱗:鍋物を粗末にした者に対し全能力超強化。

  貴様が、鍋に、何をした!!:鍋物を粗末にした者に対し死ぬまで怒涛の連続攻撃を行う。

 ドロップアイテム・十手・和服・鍋・鍋の具

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