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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第九部 第一話 その仲間たちの思いを背負い塔を昇ることになる事を僕は知らなかった
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その逆塔の意味不明さを彼らは知らなかった

「え? リエラさんも連れて行くんですか!?」


 パルティの驚きにコクリと頷く。

 皆が散開して準備を行い、準備が出来たということで、アルセと僕とパルティはリエラを背負って皆と合流する事になった。

 アルセの浮き腕でリエラを運んでいるという無茶振りをパルティが言ってくれたけど、もうこの際僕の事ぶっちゃけてもいいと思うんだよね。


 僕ももう、隠れるような行為せずに堂々としてるし、何人かは僕の事もう察してるんじゃないかな。

 視線からして怪しんでるのはデヌやミルクティ、ルグスもかな?

 スロームノワール退治に向ったメンバーに加え、今回はアニアも参加するようだ。


 と、言う訳で、アルセ、ルクル、リエラ、パルティ、アメリス、にっちゃん、ミーザル、プリカ、葛餅、ワンバーちゃん、ネフティア、ロリコーン侯爵、のじゃ姫、チグサ、ケトル、ルグス、レーニャ、ミルクティ、デヌ、パイラ、にっくん、ローア、サリッサ、クァンティ、ラーダ、カルア、セキトリ、ハロイア、マクレイナ、エスティール、モスリーン、レックス、ヲルディーナ、フィックサス、ランドリック、クライア、キキル、ファラム。というそうそうたるメンバーで向う事にした。

 したのだが……


 皆が集まる場所に向うと、なんか別の暑苦しい男達が一緒に居る。

 パルティがそちらの方々は? と聞くと、フィックサスが頭を掻きながら困った顔をする。

 彼の知り合いらしい。


「その、時代劇の逆塔に行くって言ったら、せっかくだから案内してくれるって」


「オゥ、初めましてか嬢ちゃん。『ハッスル・ダンディ』のギースってもんだ。とある一件でフィックサスとは知り合いになってな。そこで借りができちまったんでいつか返そうと思ってたんだよ」


 そう言って、禿げあがったおっさんはフィックサスの背中をバシンと叩く。

 快活なおっさんだな。面倒見のいい良い人って感じだ。厳ついけど。

 パルティがどうします? みたいな顔をするけど、問題無いんじゃないかな。

 この人たちは何度か逆塔に入ってるみたいだし、案内して貰うとしよう。


「ちょっとランドリックッ、デート出来ないってどういうことよっ!」


 ギースさんにお願いします。とパルティが告げていると、直ぐ近くでキンキン声が聞こえた。

 見ればショートカットの少女がランドリックに詰め寄っている。

 強気な瞳と眉がつり上がっているのは、彼女の怒りが体現されているという事だろう。何したんだよランドリック。


「だ、だから、これから皆で時代劇の逆塔に行くことになって、ほら、集まってるだろ皆。だからさ、俺だけデートっていうのは」


「うるっさい、このバカッ、死んでしまえっ」


 言い訳を行うランドリックの顔面に渾身のストレートが直撃した。

 鼻血拭いて倒れるランドリックを放置して、女の子は踵を返す。


「終わりよ終わりッ。あんたなんかもう顔も見たくないわっ」


「ま。待って、ライカぁっ」


 あ、あー、その、えっと。これ、ランドリック振られちゃったパターン?

 がっくりと項垂れるランドリック。力無く膝から崩れ落ちる。


「ランドリック、正気に戻れ、傷は、傷は深いぞランドリック、ランドリィィィ――――ック」


 友の絶望にフィックサスの慟哭が響いた。

 この日、一人の少女の命を救うため、一つの恋が、終わりを告げた。

 ……いや、デート、行ってきたらよかったんじゃないかねランドリック君。正味君が来なくてもあまり問題は……いや、頑張れランドリック。きっとそのうちいいことあるよ。


 ランドリックの不幸からしばらく、僕らは時代劇の逆塔入口へとやってきた。

 そこは巨大な円筒型建物が存在し、なぜか地面に突き立つべきはずの建物を支える建築技術が屋上に結集している。

 なんといえばいいか、あれだ。一旦塔を作って、ソレを引っこ抜いててっぺんから地面に突き刺したみたいな。まさに逆塔といった感じだ。

 地面の内部に打ち込まれるはずの建築技術が上下逆で天に根を降ろすように張っているので、当時の建築技術を参考に出来ると大工たちには聖地として崇められているんだとか。


「ここが時代劇の逆塔だ。なかなか面白いんだぜここ。天井と廊下が逆になってるからな。天井を歩いて行くことになってる。階段も逆に付いてるから有志で作られた縄梯子使うんだ」


 ああ、それで縄梯子大量に買い込んでたのか。荷物は大体僕のポシェットにしまっといたけど、縄梯子が無駄に多かったからなんでこんなの買ったのかと首捻ってたよ。


「とりあえず、今のところ88階辺りまでは攻略が進んでるはずだ。各所のボスが結構厄介だから気を付けて行け。ああ、ちなみに俺らは30階までしか降りた事がねぇんだ。ギルバート、お前は何階だった?」


 ハッスル・ダンディのパーティーメンバーギルバートさんは問われて顎をさすりながら思い出す。


「そうだな、俺ァ40階のボスに会う前に引き返して以来着てねぇな。その後はもっぱらサファリ洞窟だ。あの事件のせいでなぁ」


 なんだそのあの事件って。いや、なんか背筋がゾクッとするから聞かないでおこう。

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