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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その第三の第三勢力を彼らは知りたくない
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その実力差を彼は知りたくなかった

「さぁ、最後の闘いだリエラさん」


「あのぉ、パルティさん、本当に私がやるの?」


「はい。透明人間さんが決めたのはリエラさんです。戦績では、かなりマズいですよ、全力で勝ちにいかないと、デヌさんたちの勝敗次第では敗北してリフィさんが連れて行かれかねません」


 最後の闘いはリエラとレックス。

 すぐ背後で四大怪獣大決戦が繰り広げられてるけど、アレは今回背景だと思うとしよう。

 リエラは全力、かぁ。と呟きながら剣を引き抜く。


 あ、海からチュウセイシスライムでてきた!

 生きてたんだね。僕らはきっと生きて帰ってくるって信じてたよ。

 ところでスライムさん、頭に刺さってる角みたいなの何? 虹色に輝いてるけどさ、何かの腕?


 悠々帰って来たチュウセイシスライム。

 どうやら斥力の関係で海水に水分持ってかれる以前に海水が体表に近づかない仕組みらしい。

 チュウセイシスライムだからこその特性で無傷生還を果たしたのでした。


「よし、一応全力で対応します!」


「一応?」


 対戦するレックスくんが怪訝な顔で聞き返す。

 剣を引き抜き油断なく構え、魔法を唱える。

 剣が赤く輝きだしたのでおそらくエンチャント魔法だろう。武器に魔法の属性を持たせたようだ。


「はい、自分で明鏡止水に入るのはまだ実験段階なので、ソレを使わない全力で、行きます!」


 ミスリルソードが帯電を始める。

 バチバチと音を鳴らす剣を見て、レックスはゴクリと息を飲んだ。

 心なし、剣を握る手に力が入る。


「「行きますッ」」


 双方同時に砂地を蹴った。

 交錯する剣閃、炎が噴き上がり雷撃が襲う。


「二連撃!」

「スタンラッシュ!」


 繰り出したのはレックス君が先だ。一度目の剣撃がリエラにいなされ、返す刃とスタンラッシュのスキルがかち合い剣先から魔法の追撃が空を撃つ。

 一瞬で攻守逆転。スタンラッシュは文字通り、相手をスタンさせるための連続攻撃。レックス君が防御に回り、一気に押され出す。


「スラッシュ!」


 負けてなるかとスキルを使用したが、リエラは難なく剣を傾けて斜め上へと弾く。

 剣先がブレ、身体が流されたレックス君がマズい。といった顔になるが、リエラは好機とばかりにあのハメ技へと移行する。


「ライジング・アッパー!」


 咄嗟に受けるレックス。しかし打ち上げの威力を殺す事が出来ずに上空へとかちあげられた。

 リエラが全体重載せて打ち上げる一撃だからなぁ、たぶんクーフ辺りでもまともに喰らえば空に飛びそうだ。

 彼女も結構人間辞め始めた気がするなぁ。


「クソッ、なんとか体勢を……」


 このままはマズいと気付いたレックスが焦る。

 しかし、既にハメへの布石は済んでいる。

 真下で待つリエラは不沈撃体勢。


 なんとか迎撃をしようともがくレックス君。だが、チグサのように脱出までは行えなかった。

 再び真上に打ち上げられる。

 あ、電撃食らったな。身体が痺れて無防備になったレックス君はただただ上空へ飛び出すだけの装置と化した。


「不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃」


 も、もういいんじゃないですかねリエラさん。そんな親の仇討つみたいに執拗に飛ばさなくても、ほらレックス君の意識が無くなってませんか?


「不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃」


 ちょ、リエラさ……?


「不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃」


 あかーん、ちょっと明鏡止水入って打ち上げ装置になってる!?

 だ、誰かタオルーっ。タオル投げてっ、レックスはもう限界だぁっ。TKO~っ!!


「不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃不沈撃」


 永遠に続くかと思われたリエラの連撃、僕がパルティの肩を揺すってようやく起動したパルティが慌てて止めようとした時、まるで察したようにリエラが別の言葉を叫んだ。


「ストライクバスターッ」


 かつて自分がやられた鬼畜連撃を見事完全コピーできました。

 自分の理想通りの連撃が出来たことに、よしっとイイ汗掻きましたみたいに額を拭うリエラ。

 はっと気付いた時には砂地に埋まったレックスが他のメンバーに救出されたところだった。 

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