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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その第三の第三勢力を彼らは知りたくない
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その少年の恋を僕は知りたくなかった

「それで、結局リフィはどうするの?」


「どうする、とは?」


 パルティの言葉にリフィは首を傾げる。


「アルセが海水を出せるようになったのよ。もしよければ私達と来る? 内陸でも海水を取り入れることはできるの。最大の懸念事項をアルセが解決してくれたから」


 つまり、僕らのパーティーであればリフィをコルッカまで連れて行くことが可能なのである。

 どうする? と尋ねて来るパルティに、思ってもみなかった現状を突きつけられ、戸惑うリフィ。

 内陸に行けるという憧れのようなものと、不安がせめぎ合っているようで、今直ぐには返答できないらしい。


「まぁ、そうよね。しばらくはここに滞在するし、その間に決めてみて。とりあえず今日からは一緒の部屋で泊らない?」


「あ、それいいですねパルティさん。変な人が結構いますけど楽しいですよ。一緒の部屋に移動しませんか?」


 パルティとモスリーンに押され、リフィは断れないようで、コクリと頷く。

 なんだろう、Noと言えない日本人の典型を見せられた気分だ。人外娘だけど。

 とりあえずの話が終わったので僕らは隠し部屋を出て部屋に戻る。


 が、その途中、挙動不審に動くレックス君を見付けてしまった。

 僕らには気付くことなく外に出て行く彼を見て、僕らは顔を見合わせる。

 一応、同期だからかパルティが心配そうにしているけど、多分あれ、女に会いに行く男の図なんだと思うよ。


 まぁ、相手が悪女だと思われるけど、致命的なミスには繋がらないと思うから、うん、多分繋がらないと……いや、ちょっと怪しいなレックス君。

 一応正義感強いし、勇者っぽい行動しそうだよね、例えば、騙されたことを知って失意しながらもヲルディーナが危機に陥ったらヲルディーナを庇って二人で逃げるとか。


 やばい、徹底的に悪い女に尽くす男にしか見えなくなってきたぞ。レックス君の今後が危ぶまれる。

 僕は不安感が膨れ上がり過ぎてレックス君をスト―キングする事にした。

 一緒に向うアルセとルクルを見て、パルティも付いて来る。

 ついでに他の面々まで一緒に付いて来た。


 ちょっと、こんな大人数になったら隠れられないでしょ。あ、ほら見つかるっ。

 レックス君は、しかし間抜けだった。

 僕らには全く気付かず宿屋を抜けだし、道具屋に向うとプレゼント用のアイテムを吟味する。


 まるで初めて出来た彼女にプレゼントするみたいに、むむむっと唸りながら店主ににまにま笑いされている姿がちょっと可哀想に思えてきた。

 そんな彼の姿を窓越しに見つめる無数の視線。


「レックスさん、何してるんでしょう?」

「うーん、選んでるのは指輪、いえ腕輪かしら」

「あの色合いだとガードリングかラッキーリングですね」

「もっきゅもっきゅ」

「あの、人の後付けるのも悪いですしそろそろ部屋に……」

「防御力上昇と運上昇?」

 ――たぶん、女性へのプレゼントだな――


 上から、パルティ、ミルクティ、モスリーン、プリカ、リフィ、ケトル。最後に葛餅。

 ちょ、葛餅が一番理解してるじゃんか! なんだこの鉱石、心情読むの得意過ぎだろう。

 というかプリカ、あんたまだスロームノワール喰ってたのか!?


 プレゼント品を買ったレックス君が道具屋を後にすると、今度はわき目も振らずに走りだす。

 ヤバい、買ったプレゼントを早く彼女に渡したい童貞君感丸出しだ。

 僕らは遅れないように尾行する。など出来るはずもなく、鎧が音を出すのが危険なので、ゆっくり歩いて行くことにした。


 だってどうせ向う場所は分かってるんだし。

 岩場に辿りつくと、丁度洞窟からレックス君が出て来るところだった。

 皆に指示を出したミルクティを筆頭にして岩場の影に隠れる。


「おお、綺麗な人。アレがヲルディーナさん?」


 手を繋いでレックス君が洞窟から連れ出してきたのはヲルディーナ。困った顔の彼女を連れ出してきたレックス君は、僕らの前だと言う事に気付くことなく男前なことを言い始めた。

 曰く、僕は君を助けたい。とか、必ず君の呪いを解いてみせる。とか、その誓いに、その、これを受け取ってほしい。とか。


「あ、ありがとうございます?」


 やや戸惑いながらラッキーリングを受け取ったヲルディーナ。

 腕に填めてくれるのを期待に満ちた顔で待ってるレックス君。

 ああ、なんだろう、飼い主に尻尾振ってあそぼあそぼ。と訴えてる愛犬にしか見えなくなってきた。


「じゃ、じゃあ、頑張るから、僕、魔王リフィを必ず連れて来るからっ、それじゃ!」


 苦笑いのヲルディーナが手を振り返し、何度も振り返っては手を振るレックスを見送るのを見続ける。

 ごめん、ちょっと砂糖吐いていいですか?

 甘いよ、甘ったるいよレックス君、淡すぎる初恋だよ。

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