その海の勢力図を僕らしか知らない
さて、リフィから聞いた海の勢力図を纏めてみよう。
といってもこの街周辺の海の中の勢力であって遠く離れた海までは範囲外らしいけど。
この海の中では、今、四体の魔王が覇権を競っているらしい。
一つはリフィの所属するリヴィアサンのいる界隈。供物蛇ということもあり、その姿は巨大な海蛇であり、彼女の領域はあってないような物である。
眷族、というよりは彼女に恐れを抱いて軍門に下っているサメたちが主な主戦力であり、その下にマグロやらイワシなどがいるらしいけど、リフィも自分の軍門がどれほどいるかは知らないらしい。
基本、軍に関係ない場所で蝶よ花よと育てられていたからだそうだ。
んで、比較的友好的だったのが地上に半魚島に存在するサハギンキングの魔王軍。
サハギンやらギルマンやら鬼を主戦力とし、娘にヲルディーナを持つ勢力で、水陸両用ということもあり、他の魔王より勢力は大きい。
数年前まではリヴィアサンの勢力との仲は良好で、住み分けができていたらしい。
ヲルディーナとリフィはよく顔を合わせ遊ぶこともあったが、ソレはしばらくして狂って行った。
ヲルディーナによる執拗なイジメ、意味が分からず毛嫌いされるリフィを危険と思ったリヴィアサンは彼女を地上に逃す事にした。
するとソレを察知したかのようにサハギンたちが動き出す。
呼応するように街に押し寄せるスロームノワールの群れ。
侵略を始めたサハギンキングに迎撃に追われリフィを守りに行けなくなったリヴィアサンの勢力。
しかし、ごく最近、この勢力図が書き変わる。
四体居る魔王の一人、オクトパーが死んだのである。
眷族だったらしいスロームノワールは各所に四散し、喰われるだけの弱者となった。
三大魔王となった魔王達は今、己の領地を拡大せんと戦争期に入ったのだそうだ。
まぁ、この辺りはリフィがオクトパー死亡を知って立てた予想だけど。
おそらくヲルディーナが陸に上がってきたのもそのせいじゃないかということです。
「それで、残りの一体なのですが……」
「三人目の魔王ね。どんな生物なの?」
「はい、虹色蝦蛄という種族の魔王です。ファラムというユニークモンスターですね」
虹色蝦蛄ってなんか凄そうなのが出てきたな。七色に光る蝦蛄か。蝦蛄ってアレだよね、海老みたいな容姿でカマキリみたいな腕持ってる奴。腕は鎌じゃなくてボクシンググローブみたいな奴だけど。
確か日本でも蝦蛄のパンチ力は物凄い強烈で魚をノックアウトできるとか。貝を叩き割るとか聞いた気がするなぁ。
それが魔王化してるってことは、やっぱり格闘戦は超強力って奴かな?
「ファラムさんは基本温厚なんです。眷族も貝とかヒトデとかイソギンチャクとか、その場をあんまり動かない生物が多いですね。あ、でもシャコガイは食糧にされてますから敵対してますよ。といってもシャコガイたちも殆ど動きませんからどこにも所属しておりませんが」
「海の中もいろいろ大変なんですね」
パルティが他人事で呟く。その海のごたごたに巻き込まれてるんだよパルティ君。
「それで、私達だけ呼ばれた理由は?」
「あ、うん。ソレなんだけど……ちょっと皆のレベル上げを抜き打ちでしようと思いまして。皆さんには調停役というか、皆がやり過ぎないようにしてほしいと思ってお呼びしました」
僕がなんとかジェスチャー等でパルティに伝えたのは、この機会に皆で戦ってみてパーティーの穴とか、誰が人外領域に踏み込んでて、誰がまともなのかを確認しとこうと思って。
リエラも結構強くなってるし、自分はもう中堅所なんだよって自覚させたい意味もある。あとでリエラも強制参加させとこう。
今回男性がヲルディーナ、女性がリフィに付いているという丁度対立する様式になってるので、だったらこのまま対戦させてみようってところです。
これを聞いたミルクティたちは当初反対してきた。
まぁ、当然だよね。味方同士で戦うんだから。でも、これはむしろ今後の糧になるんじゃないかなって思うんだ。
仲間内がぎくしゃくしないようにするのが僕らの役目なんだけど、ミルクティ達なら上手くできると思うんだ。なんやかんやでミルクティさんも面倒見はいいし、さりげなく唯我独尊のデヌをフォローしてるし、葛餅は兄貴肌だしモスリーンはハロイアたちを影で支えている訳だし、チグサの暴走は姫であるケトルが押さえればいい。
プリカをこちらサイドに連れて来たのは暴食共の歯止め役だ。
ただの予備人員なので、暴走する可能性は考慮済み。というか確実にワンバーカイザー狙って暴走するだろうからパイラと争ってて欲しい。邪魔はしないから勝手に潰し合っとけ。
ちゃんと回復はするから遠慮はいらないよ。でも相手を食べたりはしないでね。
「ふーん。なんか面白そうかも。男子チームと闘いかぁ」
モスリーンは結構乗り気だ。といっても君は調停役だから第三者になるんだよ?




