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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その街の影の守り手を彼らは知らない
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その鳥たちの数を彼らは知りたくなかった

「せいやっ!」


 薙刀を振りまわし、パルティが一閃。

 迫り来るマホウドリが薄い緑に渦巻く風の弾丸を打って来る。

 魔法使うの!?


 真上を薙ぐ一撃を掻い潜られたパルティはステップで魔法をやり過ごし、投げナイフを投擲。

 残念鳥には当ったけどペリルカーンだ。

 しっかし数多いなぁ。ペリルカーン15匹、マホウドリ20匹、ウミネッコ13匹、エアークラフトピーサン1匹か。


 多分あのピーサンが司令塔だね。

 ん、アルセ何するの?

 くるくると花弁を回しだしたアルセ。

 まさかと思えば、花弁がガトリングガンのように連続射出される。


 まさかの花弁攻撃に忙しなく動く鳥たちが一気に打ち落とされ海へと落下。その周囲に魚群が現れ鳥の死骸が海へと消える。

 残りは? ペリルカーン3匹、マホウドリ2匹、ウミネッコ8匹、ピーサン1匹。

 結構撃破出来たけど残りもそれなりだ。


 丁髷砲使って牽制しながら、三人の女性に注意を向ける。

 あああ、僕ってサポートキャラでも戦闘キャラでもないただの応援キャラですよ。格闘ゲームなら背後で腕振りあげてるだけのモブキャラだよ。なんで強制戦闘に巻き込まれないとダメなんだ。


 ええい、柩召喚。

 突撃して来たウミネッコを二匹撃墜。死骸は回収。

 パルティも動きを覚えたのか、気合いと共にマホウドリを撃破、アルセもマーブルアイヴィを使ってウミネッコ2匹を絡め取っている。


 皿が空を飛んだ。

 ルクルの攻撃だ。

 ペリルカーンを1匹撃破。

 立て続けに皿を投げればウミネッコの頭に当って錐揉み回転しながら海へと落下、待ってましたとサメみたいな生物がざばぁっと海から飛び上がり空中キャッチして海へと還って行った。


「るー!」


「残り6匹! これならいける!」


 魔銃を構えたパルティがラ・ギライア弾を装填。

 銃口を空へと向けて引き金を引いた。

 しゅぱっと発射された弾丸がピーサンに向う、が、まるでピーサンを守るようにウミネッコが弾丸に当りに行った。


 ウミネッコを中心にして強烈な炎が空へと広がる。ペリルカーンとウミネッコ2匹が巻き添えになった。

 残りはマホウドリとピーサンのみ。

 よし、イケるぞ!


 魔法を使って来るマホウドリに対するのはルクル。

 しっかりと狙いを定め、投擲された皿が宙を舞って行く。

 その殆どが目標を失い海の彼方へ落下していく。


 周辺で鳥の落下を待っていた魚たちが大慌てだ。

 多分何匹か流れ皿で散ったな。

 ルクルはむぅっと不満顔。気合いの一撃。とばかりにハンマー投げの要領で皿を投げ飛ばす。

 狙うは巨大なピーサン。


 絶対当たるはずの一撃は、しかしマホウドリが進路に突撃して自身で受け止めた。

 やっぱり、あの鳥たちピーサンを守ってる!?

 巨大な雉は最後のマホウドリが海へと落下したのを見届け、悲しげに嘶いた。


 次の瞬間、その口から何かを吐き出す。

 なんだ? と思って見れば、口から次々現れたのはペリルカーン、マホウドリ、ウミネッコ。

 ちょっと待って。 ピーサンの口から鳥の群れ出てきたよ?

 え? 何その意味不明な状況。


「ちょ、これはさすがにヤバいんじゃないですか!?」


 鳥糞を海へと落下させながら鳥の群れが旋回する。

 アルセが地面に何かを蒔いた。

 そして逃げよう。っとばかりに僕の裾を不安げに引く。

 そうか、アルセもさすがに危険を感じたんだね。


 エアークラフトピーサン……Aircraft Pheasant。キャリア―とかtが名前に足りないみたいだけど、おそらくそういう名前なんだろう。つまり、アレは直訳、空母雉。

 鳥たちの王にして鳥たちの発着場ってところか。何ソレ怖い。


 岩場からぼこぼこっと出現するアルセギン。突撃して来る鳥の群れ。

 アルセの奥の手自爆娘たちと空母雉護衛部隊が激突した。

 一人一殺。アルセギン達の犠牲と共に鳥たちが目を潰されのたうち回る。海に落下する個体も多数。海のギャング達が大喜びだ。


 アルセギンたちの犠牲を胸に、僕たちは岩場から離れる。

 しかし、空母雉は僕たちを逃す気はないらしい。

 こちらに迫る巨大な影が空を覆って行く。


 ダメだ振り切れない。

 このまま街に向うと大混乱になるから海岸で何とかするしか……

 仕方無い。誰か伝言を頼んで皆に頼むしかないな。


 パルティの肩を引っ張り図鑑でリエラを指差す。

 戸惑うパルティだったが、何を言いたいのか理解したらしい。

 何で私なの!? と驚いていたけど、言葉で伝えられる人材は今、彼女しかいないんだ。


 パルティはルクルとアルセを見てソレを悟ったのだろう。

 悔しげに呻くと二人をお願いします。と頭を下げて宿へと向かう。

 代わりに僕らは鳥たちの囮役となって必死に逃げる。


 マホウドリの魔法が時折僕らを襲ってくるし、ペリルカーンが自爆をいとわず特攻を掛けてきては地面に突き刺さる。

 ええい、これ以上アルセを攻撃するなら、僕はもう許さないぞ!

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