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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その街の影の守り手を彼らは知らない
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その人知れない闘いが行われたことを僕らしか知らない

 岩場に着きました。現場のバグ一号です。

 ここ、フラムジュブナの街に存在する海岸にひっそりと存在する岩で囲まれた岩場は、普通の冒険者は滅多に来ることなく、また街の人たちは危険だと知っているため滅多に来ることが無いため、人気は全くありません。

 そんな場所に、三人の男達がいたのであります。


 レックス、フィックサス、ランドリックの三人は、海パンルックから冒険者ルックに着替えたようで、今、目の前の洞窟から現れた半魚人と思しき生物と対峙していた。

 三叉の銛を手にした魚顔で二足歩行の生物、おそらくサハギンとかいう魔物だろう。


「スンダァシンダフダットクフンバン、バンバーラングフンドォ」


 ……あれ? 僕確か相手の言葉のニュアンス分かるはずだよね? ごめん、この人の言葉全くわからないや。語調は韓国とか中国とかその辺りなんだけど、訳せません。

 ただの鳴き声かな?


「クソッ、何なんだ一体!」


「レックス、ランドリックが……」


「分かってる。フィックサスはランドリックを連れていってくれ! 皆に連絡を頼む」


「ふざけんな! お前を残していけるか!」


「お前らが逃げ切る時間くらい稼げるさ。行ってくれ!」


 いきなりクライマックスみたいな死亡フラグ立ててるレックス君がいるんだけど、ごめん、何が起こってるの? 途中から来たからよくわかんないよ?


「レックス……くそっ、死ぬなよ! 絶対に死ぬんじゃないぞ!」


「行け、フィックサス! 俺に構わず先に行けェッ!!」


 気を失ったらしいランドリックを背負ったフィックサスが一度だけレックスを見て走り去る。

 友人を逃した後はもうお前達は誰もあいつを追わせない。とばかりに剣を手にして道を塞ぐレックス。

 武器は一般人でも帯剣できる簡単なショートソードの一種で、名前はタウンソード。


  レックス

 種族:ニンゲンE クラス:村人

 装備:学生服、タウンソード、アームガード、レザーバトルアーマー、ポーション×3、毒消し草、約束の腕輪、ヒールスクロール

 スキル:

  スラッシュ:横一文字に切り裂く剣技。

  十字斬:十文字に切り裂く剣技。

  二連撃:二回連続で切り裂く剣技。

  薙ぎ払い:周囲に一閃を叩き込む剣技。スタン効果あり。

  気合い溜め:気合いを入れて次回攻撃力を二倍にする。

  ラ・ギ

 常時スキル:

  肉体強化Lv1

  剣術Lv2

  種族スキル:

  精霊視

  精霊の友達:精霊と契約した者に付くスキル。精霊の助けが得られやすい。

  英雄の卵:未だ目覚めぬ可能性の卵


 ああ、そう言えばこんなステータスだったなぁ。

 あれ? なんだろう。このステータスの弱さを見て懐かしい気持ちになる僕がいる。

 バグってもないしチート化もしてない本当の村人、そして冒険者候補を見付けた気がするよ。


 リエラ、村人なのに勇者倒せるくらいだしなぁ、もう新人とは呼べないよ。

 レックス君の方が絶対新人冒険者だよね。

 剣を構えたレックス君は気合い溜めを行い相手の動きを注意深く見定める。


「グァンカーチャンドラハッタ、マイハブラシホシイダットリカチャンハ!」


 謎の声を上げていた魚人が突如、レックス向けて走り出す。

 手にしていた銛で一突き。

 線から点へ。近づく銛の一撃をぎりぎり躱したレックスの薙ぎ払いが魚人に襲いかかる。


「ぎょぼ!?」


 直撃したが傷は浅い。

 反撃とばかりに柄で突いて来た魚人の一撃がレックスの喉を穿つ。


「こふっ!?」


 喉突きを喰らったレックスが咄嗟のバックステップも空しく大ダメージを喰らい地面に転がった。

 喉を押さえて必死に呼吸をするが、ダメだ。魚人が追撃に走ってる。

 これ以上は見ていられない。僕は名刀桜吹雪をポシェットから取り出し、銛を振り上げレックスを突き殺そうとした魚人の首を薙ぎ払った。


「ぎょべ?」


 あれ? っといった鳴き声を放ち、首を失った胴体が倒れた。

 喉を押さえながらレックスが狐に抓まれた顔で立ち上がる。

 周囲を慌てて探すが誰もいない。

 居るはずがない。


「何がどうなって……もしかして、近くに居るの、マクシー?」


 マクシーって誰だよ。僕は……いや、名前言っても意味無いから言わないけどさ。

 別の人の功績にされるのってちょっと切ないよね。

 落ち着いたらしいレックスは未だに呆然と倒れた魚人を見つめる魚人の群れを見る。


 そう言えばあいつ一匹じゃなかったな。ひぃふぅみぃ……ざっと見13匹くらいかな。

 喉を鳴らし、レックスは震えながらも剣を構えた。

 顔に怯えは無く、むしろ武者震いといった様子で、魚人達の方が怯えて見えるくらいである。


「チャンドーホンスムニダ、ホーホンツクリガナットウ」


 やっぱり理解不能だ。これは言語ではないのだろうか?

 武器を構え出す魚人達。1対13の絶望的な闘いが始まろうとしていた。

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