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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その街の影の守り手を彼らは知らない
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その海水浴を皆が楽しみたいらしいことを僕は知らなかった

 魔王オクトパーがいなくなった辺りからスロームノワールの数が目に見えて減りだした。

 おそらくだけどスロームノワールも逃げて来てたんじゃないのかな?

 オクトパーに捕食されるのを恐れて海岸辺りまで逃げて、人間に討伐される。

 あれ、そう考えるとスロームノワール可哀想な奴じゃね?


 あ、でもオクトパーの眷族だった可能性もあるか。

 オクトパーが来るための先遣部隊だったとか。

 とにかく、捕食側だったのか支配側だったのかは別として、オクトパーがいなくなったのでスロームノワールも海岸沿いにひしめく必要が無くなったらしい。


 なので海は次第に平穏を取り戻し始めていた。

 最後の一匹と思われるスロームノワールをパルティが銛で突き刺し自分たちの山に加える。

 時間が経ったせいででろんとなってる死骸の群れをギルド員が判定を始め、慌ただしく動きだす。

 まずは少数グループが狩った少なめの山から順に、この村にこのためだけに集まった判定員たちが忙しなく動きだした。


 うわ。コリータさんまでいるじゃん。疲れた顔に隈を作って必死に数を数える姿は哀愁を感じる。

 多分ギルド長辺りに言われて無理矢理参加させられたんだろう。

 気付かなかったことにしといてあげよう。あ、ちょっとのじゃ姫ストップ。確かに気になるだろうけど優しい瞳で見送ってあげるのが正しい選択だよ。


 ほら、アルセと遊んでおいで。スクール水着に身を包んだのじゃ姫の肩を回してアルセに向ける。

 凄いなこの水着。胸元にゼッケンみたいに名前書くところがついてて【いちねんさんくみ のじゃ】とか意味不明の文字が書かれている。しかも字に不慣れな小学生辺りが必死に書いたようなミミズがのたくったような文字なのがまた……ほら、ロリコーン侯爵がこれはイイとかいう顔でほっこり鼻血出してるし。


 気のせいか周囲の冒険者男性陣からも視線が向っている気がするぞ。

 ちなみにのじゃ姫と同じスクール水着型の装備を買ったのはネフティアとパイラだ。あと彼女等に対抗するようにハロイアも頑張ってこれを着てしまっている。

 普通にこれが似合うのがまた笑いを誘うというか。ロリコーン侯爵よ、彼女の努力を少しくらい見てあげてやれ。

 涙目で顔を赤らめながらも必死に君の横にいるじゃないか。【いちねんさんくみ はろいあ】という文字がまた、周囲が目を背ける笑いを誘うけどさ。


「ふおぉぉぉぉぉぉ、我慢なりませんぞぉ――――っ」


 あ、アホ侯爵が服を脱ぎ飛ばした!?

 高らかに空を泳ぐスラックスとスーツ。

 女性陣から悲鳴が漏れる。

 男達が何してんだテメーっ!? と殺気立つが、侯爵の姿を見た瞬間、毒気が抜かれたように殺気を消し去る。


 何故かって言うと、侯爵が最後の一つだけを残してパージしたからだ。

 最後の一つ、海パンだけを身に付けたロリコーン侯爵がステッキを砂浜に突き立て血涙を流す。

 生きてて良かったぁ――――っ。みたいな叫びを発するロリコーン侯爵。

 海パン一丁な彼はほぼ全裸だが、この海岸ではこの姿こそ普通の姿。冒険者たちも何も言えずに彼を見るしか出来なかった。


 というか女冒険者の方々、なぁんだ。みたいに残念がらないで。

 それからレックスたちが防具脱ぐ姿見てこれはこれで。みたいなショタ力見せないで。

 しっかし、海の安全が確認され出した瞬間から防具脱ぎだして泳ぎ出す人が多くなったな。


 一応パーティーメンバーの数人を防具の護衛役に残し、2チームに分かれて海ではしゃぎだす冒険者たち。皆も海ではしゃぐの好きなんだね。しばらく遊んだら護衛役交替ということらしい。

 あ、でも一応魔物が住んでる海だから遠泳はしないらしいよ。


 一部海に潜って銛突きして魚介生物狩ってる人もいるな。

 ソレを見たリエラ達も遊びたそうにしている。

 デヌもそれに気づいたらしく、自分が武器防具を見ているから遊んで来いと言っていた。

 デヌさんここでも遊ぶ気無しだね。まぁ、そういう人が居てくれた方が荷物気にせず遊べてリエラ達にはいいことか。


 リエラとパルティは即座に水着で海へと向う。

 ありゃ、ルクルもうずうずしてる? いいよ、いっといで?

 カレー持って突撃していくルクルさんを見送って、僕はデヌの横に向う。

 おっと、ミルクティさんも見学組ですか。

 見学組は自然とパラソル突き刺してゆったりと寝そべっているアメリスの近くに集まっていて、にっちゃんとにっくんの二大防壁により守りも万全。デヌが居残る意味がないようだ。


「何よあんた。泳がなくていいの?」


「海というのは初めてでな。泳ぐとはどういうものだ?」


「ああ。そこからなのね。はぁ。私もカナヅチじゃなければ遊んだんだろうけど……あ、でももともと出不精だからここにいるのか。はぁ」


 ボッチ属性らしいミルクティがアメリスの横に座り込む。

 その姿はピンクのビキニ。一応楽しんではいるらしい。


「どうせ行く気無いんでしょ。隣座りなさいよ。私の話し相手になりなさい」


「俺がか? ふん。まぁいい」


 彼女の言葉を深く考える事もなく隣に座りこむデヌ。

 鍛えられた肉体美を見てミルクティさんがごくりと息を飲む。

 おっと、これはまた新たな恋の始まりですかな?


 邪魔者は退散致します。ということで、僕は彼らから離れることにした。

 アルセどこいったー?

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