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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第八部 第一話 そのストーカーをストーカーしていた少女を僕は知りたくなかった
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その元の鞘を彼は知らない

 そして次の日、僕らを取り巻く環境は、全く変わっていなかった。

 アルセ護衛に歩いているロリコーン侯爵。その背後と結構な頻度でスト―キングしているハロイアがいる。

 困った顔のマクレイナたちがハロイアの後ろにいるのだけど、ほんと、友達付き合いいいよね君たち。友人のスト―キングに付き合うとか……


 僕はアルセと共に彼女たちに近づく。

 アルセの姿を見付け顔をこわばらせるハロイアと警戒感を露わにする三人に、笑顔で手を振った。

 ソレに気付いたリエラたちも寄ってくる。


「おー」


「アルセどうしたの?」


「あら? そちらの人たちがどうしたんですか?」


 よく分かっていないリエラとパルティ。

 そんな二人の目の前でハロイアの横に向ったアルセは片手でハロイアの手を叩く。

 一瞬何をしているんだと思っていた彼女たちだけど、モスリーンが一番先に気付いた。


「あ、あの、初めまして、私モスリーン・ラーシェントといいます。アルセさんとこの前知り合いまして」


 自己紹介を始めるモスリーンに、リエラも戸惑いながら自己紹介を始める。

 そう、別にストーカーだからとスト―キングしかしちゃいけないわけじゃない。

 折角コネがあるのだから使わないのはダメだろう。


 僕が行ったのはアルセの知り合いから初めなさいという、スタート地点に立たせる行為だけだ。その後にどうなるかは僕知らない。

 切っ掛けを手に入れたマクレイナたちがリエラたちと話しだす。

 直ぐに仲良くなったらしく、戸惑うハロイアだけを放置して皆でロリコーン侯爵のもとへと向って行く。


「え? あの……」


「おっ」


 戸惑うハロイアの手を引いてアルセも侯爵達のもとへ向って行く。

 ふふ、言わなくても行動しだしたアルセの成長に涙が止まりません。

 それとアルセ、何で僕だけ放置していくのかな? お父さんは悲しいよ。お父さんじゃないけど。


「初めまして、私達四人でパーティー組んでるんです。私はマクレイナ・アンヴィシャス。こちらはエスティール・ファイアドラゴンで、あっちで戸惑ってるのがハロイア・フォクリスです。よろしければいろいろご教授いただけませんか?」


「どうしますリエラさん?」


「うーん。アルセが楽しそうにしてるし良いんじゃない? 悪い人ではないと思うよ」


 リエラさんアルセと仲いいからって無条件でいい人と思うのは間違ってると思います。

 いや、確かに悪そうなお友達は僕が許しませんけどね。

 バグソードでバグらせまくりですよ。やり過ぎると危険だけど。


「あ、あのっ」


 思い切ったように大きな声で、ハロイアがロリコーン侯爵に声を掛けた。


「ふぉ?」


 いかがしましたかな? そんな感じで視線を合わせるロリコーン侯爵。

 顔を真っ赤にしたハロイアは張り裂けそうな胸の鼓動を押さえつけ、何度か息を吐き出し整える。


「あ、あの……ハロイア・フォクリスと、も、申します。こ、こここ、この前は、その、お助けいただき、あり、ありがとう、ございましゅた」


 あ、噛んだ。

 ハロイアも気付いたらしく目を回しそうなほどに慌てふためいている。

 そんなハロイアの頭にぽんと手を置いたロリコーン侯爵。


「ふぉっふぉ」


 気にする程の事はしておりませんぞ。と楽しげに告げるクソ紳士。爆発してしまえ。

 畜生、なでぽとかふざけんな。アルセぇ、アルセも頭撫でたらぽって顔赤らめてくれるかい?

 悔しかったのでアルセの頭を撫でる。

 きょとんとした眼が返ってきた。


 何してんのか理解できないよ? という無言の圧力が返ってきた気がする。

 僕は崩折れた。

 畜生、畜生侯爵。この恨み……晴らさでおくべきかっ。


「あ、あの、それで、その……す……す」


 好きです。付き合って下さい。そういうつもりなのだろうか?

 でも相手はロリコーン侯爵。ストライクゾーンから少し飛び出てしまっている彼女では付き合うのはムリな気が……


「す、すすす、す、すす、すすすすす……」


 あ、ダメだ。告白すらできそうにない。

 全身真っ赤で目がぐるぐる回っているハロイア。

 多分もう何が言いたいのかすら自分でも分かってないんだろう。


「ふぉ?」


「す、スロームノワール食べに行きませんか!」


 スロームノワールって、なんだああああああああああああああああああああああっ!?


「アレって確か海いかないとだめですよねリエラさん?」


「へ? いや、スロームノワールって、何?」


「海産物の一種ですよ。と言っても獲れたてじゃないと美味しくないらしいので、食べに行くなら海辺近くの街に行かないと。この周辺でしたら、少し遠いですけどフラムジュブナの街に行くのがいいですかね。確か校内ギルドにスロームノワール大討伐依頼があったと思います。ついでに受けちゃいますか?」


 いや、今の好きって言えなかっただけだからね?


「そう言えばそろそろ特殊討伐依頼がありましたね。たしかフラムジュブナも候補地だった気がしますよ毎年大量発生するスロームノワールの討伐」


 あれ、今回そういう感じ? 目指すは海ですか?

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