その暴走少女を僕らは知りたくなかった
「では本日はパーティー単位に別れ、ガルーを狩ってきてもらう。ガルー一匹を生死を問わずここまでもって来るように」
今回、ずっと休みだったせいで元々のじゃ姫やネフティアと組んでいたパーティーメンバーは別の誰かとパーティーを組んでいた。そのため二人はあぶれてしまったようだ。
リエラ、パルティ、アメリス、アルセのパーティーは作れたのだけど、残っているのがチグサ、ケトル、にっくんの三人。四人パーティーだと一人余る。
どうしたらいいかな。と思ってたんだけど、のじゃ姫が一人先生のもとへ向うと、召喚を発動。
どうやら殿中でござるたちを部下として四人パーティーを作る許可を貰うようだ。
一番年下? なのになんて健気な。僕とロリコーン侯爵は思わず涙を流してしまった。
先生もさすがにのじゃ姫の思いを無碍にする気はなかったらしく、護衛にロリコーン侯爵を指名して許可を出していた。
一応、こいつも護衛役として認められているらしい。
コルッカの外へ出た生徒たちが草原を歩きながらガルーを探す。
コルッカ周辺では一番弱い敵らしいのだけど、やはりガルーのみが生息するフィールドと言う訳にはいかないようだ。
数種の魔物が跳梁跋扈。一部生徒が巨大なカバさんに追われてます。
「おーっ!」
って、アルセ!? 何乗ってんの!?
アルセは青いゾウさんの上で楽しげに叫んでいる。
どうやらブルーエレファの背中によじ登ったようだ。
ブルーエレファは頭上のアルセには気付いたようだが、どうでもいいというようにのんきに歩き出す。
アルセさん、何処まで行く気!? 僕追っかけなきゃいけないの!?
パーティー組んだリエラとパルティが慌てておっかけ、アメリスがふぅ、やれやれだゼ。とクールにジェスチャーしながら歩いて後を追う。いちいちハードボイルドに決めなくていいから。
にっちゃんも真似しないでいいからっ!
チグサ、ケトル、にっくん、ネフティアのパーティーはすでにチグサが追い込んだガルーを三人が倒す形で一対一を作りだしていた、
ケトルとネフティアが一体ずつ仕留め、にっくんとガルーの最弱決定戦が始まる横でチグサも一匹仕留めていた。
こっちは放っといてもいいようだ。
「のじゃー!」
そしてボッチ姫様は部下を使って突撃です。部下の一体に肩車されて行くのじゃ! とばかりに指差している。
修羅と化した侍たちが最弱の魔物を狩りに向った。
一つ思ったんだ。ガルー召喚しちゃえばよくね? って。
「アルセーっ!?」
「あ、危ないから降りてぇ――――っ!?」
「ふ、やれやれね。にっちゃん……行きな」
ずどむっと物凄い音が聞こえてブルーエレファが傾ぐ。
落下したアルセは面白いくらいにくるくるっと回ると近くを歩いていたアグリーカバにぽさっと乗っかった。
「きゃっきゃっ」
「きゃあぁっ、アグリーカバが暴走した!」
「リエラさん撤退、撤退――――っ」
「全く、忙しない嬢ちゃん共だ」
ちょ、アメリスさん、それタバコ? ねぇタバコなの? 煙出てるけどそれタバコじゃないよね? 健全なものだよね? 結局何なの?
暴れまわるアグリーカバに追われて逃げるリエラとパルティ。アグリーカバの上で楽しげにはしゃぐアルセと、それらを見てタバコっぽい何かを吹かすアメリス。
ふっと息を吐くとタバコっぽい何かを真下に落として足裏で消し去るようにぐしぐしと踏みつける。アメリスさんがとんでもない方向にシフトチェンジしてしまった。
どうしよう、責任取れる気がしない。
そうこうするうちにアグリーカバが首を振りあげる。
拍子にぽーんと飛んで行くアルセ。
丁度昼寝をしていたらしい暴走サイに激突。ぽてんと直ぐ横に転がった時には、衝撃で暴走サイが起き上がっていた。
アグリーカバに気付き興奮したように唸りを上げると後ろ足で地面を蹴りだし、突撃。
気付いたアグリーカバも敵を見付けたとばかりに暴走サイへと突撃。
ちょっとしたアルセの遊びで超獣激突にっ!?
アグリーカバが大口開いて噛みつく。
暴走サイが顔を沈めて角で思い切り突く。
二匹の必殺が同時に放たれ、アグリーカバの上顎を貫く暴走サイの角がアグリーカバの脳髄に到達。それでも思い切り噛みついたアグリーカバの一撃で暴走サイの顔面がぱくんちょ。
い~~~~~や~~~~~~っ!?
なんか物凄い惨劇が起きました。とりあえずモザイク掛けとこう。
同士討ちした二体はその状態のまま立ちつくす。
互いの身体が支えとなってしまったらしく立ったまま絶命したらしい。
アルセ達の戦果。ブルーエレファ、アグリーカバ、暴走サイ一体づつ。
ガルーは一匹も倒せなかったけど、先生からは単位を貰えた。
今回の目的は戦闘訓練だったらしいのでガルー以上を仕留めれば貰えるそうだ。
どうでもいいけど、冒険者見習いの段階で凶悪な魔物を三体も短時間で狩ったのはアルセ達が初めてらしい。
この日、アルセ達は冒険者学校の歴史に伝説の生徒としての伝説をまた一つ、刻みつけたのだった。




