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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第八部 第一話 そのストーカーをストーカーしていた少女を僕は知りたくなかった
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その新たなストーカーを僕は知りたくない

「おはよー」


 沢山のおはようが飛び交う。

 久々の冒険者学校です。

 僕はアルセたちと連れだって学校にやって来た。


 デヌをリーダーにした学生じゃない仲間たちはコルッカの洞窟攻略に向っている。

 いろいろ検討した結果、向うのはカイヘイ洞窟か英雄迷宮。山の方にもローテーションで昇るらしい。

 サファリ洞窟は危険らしいしカインに止められているので皆で行かないでおくことに決めた。

 カインとネッテが物凄い真剣に止めるんだし、よっぽど嫌な事が起こるんだろう。


 あと、皆がダンジョンに慣れて僕らの授業がある程度問題無くなったら時代劇の逆塔に向う。という計画があるくらいである。

 教室は変わってないようなので僕らは教室に向うのだけど、気のせいかな、後ろから妖しい視線を感じる。


 いや、ルクルさんの視線があるのはいつもの事なんだけど、なんていうのかなこの視線。

 僕やアルセに向けられた視線じゃないんだ。

 でも、僕らの誰かに向けられているのは確定だと思う。


 ちなみに、今の僕らのパーティーはアルセ、リエラ、ネフティア、のじゃ姫、にっくん、アメリス、ルグス、ルクル、ロリコーン侯爵である。

 チグサとケトル、パルティは家があるのでそちらにまだ居るか、既に教室に向っているはずだ。

 葛餅は別の知り合いと一緒に行動している。

 彼は既に自分の地位を築き上げてしまったようだ。


 デヌに付いて行ってるのは、ミルクティ、プリカ、パイラ、ワンバーちゃん、レーニャだ。

 彼らは本日カイヘイ洞窟に向うらしい。僕らが倒したボスキャラ、御せん漁船を撃破しに行くと息巻いていた。

 あれはマリナが居たから倒せたようなモノで、彼らだけだと下手したら敗北……いや、それはないか。大食い二人が暴走しそうだけど。


 しかし、なんだろうなこの視線。ねぶるような不快な視線というか。獲物を見定め舌舐めずりをする肉食獣のような危険極まりない感じが怖い。

 リエラも異変に気付いているのだろう。私じゃありませんように。と壊れたラジオみたいに繰り返している。


 でも安心してリエラ。リエラという訳でもないんだよね視線の目標。

 じゃあ誰だろう。

 そう思った瞬間、そいつは物影から飛び出て来た。


「あ、あのっ、この前はありがとうございました!」


 出現と同時に目標の人物の前に回り込み、いきなりお辞儀をする女生徒。

 結構可愛らしい部類の少女に、そいつはえ? と驚きの表情を浮かべていた。


「わ、私、ハロイア・フォクリスと申します。先日ははしたなくもハンカチーフを落としてしまい、拾っていただき、ありがとうございますオジサマ!」


 真っ赤な顔でお礼を告げるハロイア。その視線の先に居らっしゃったのは……ロリコーン侯爵。

 ……え?

 いや、まさか。嘘だろ?


「よ、よろしければ、お暇がある時にお食事などいかがでしょうか。ぜひともお礼がしたいのです!」


 居たよ。確かに居たんだ。ハンカチ落としてた少女を確かに紳士だったときにロリコーン侯爵が拾って渡してたのを僕はうっすら覚えてる。

 でも、一回だけだよ。しかもコイツ幼女好きの変態男だよ。老人に片足突っ込んだおっさんだよ?


 肩まで掛かるくらいの艶やかな黒髪の少女。

 カチューシャを填めた髪は彼女の可愛らしさを際立たせ、清楚な顔を羞恥に染める姿が恋する乙女を表現していた。

 ……嘘だ。こんな可愛い子が、オジサマ趣味だと!?


「ふぉ?」


「お時間がある時で構いません。御返事は放課後に、貴方のもとへ参ります! なんとか、一度でもいいのです、私に好機を下さい」


「お嬢様方、いかがいたしましょう?」


 困った顔でロリコーン侯爵がアルセたち三人娘に尋ねる。

 つか喋った!? 喋ったよこの魔物。何が起こった!?


「お」

「のじゃ?」


 アルセはレッツゴー。のじゃ姫は良く分かってないといった返答。ネフティアは無言で親指を建てていた。

 どうやら行ってくればいいじゃない。ということらしい。

 了承の旨を彼女に伝えると、詳細は放課後に伝えに来ます。といいながら小躍りして去っていく。


 なるほど、ロリコーン侯爵にそれを伝えるために僕らを窺っていた訳か。

 そりゃストーカーっぽい視線になるはずだ。

 でも、まぁ良かった。これで問題は……


 ひぃっ!?

 ただ変態がモテただけ。少し嫉妬しながら視線を向けたその先に、ハロイアさんがいた。

 角に身を隠してじぃっとロリコーン侯爵を見つめている。

 その顔はだらしなく緩み、口元から涎が一筋。

 ああ、アレ……いろんな意味でアウトな人だ。


 多分ルクル並みのストーカーだ。

 それだけじゃない。彼女の性格が積極的らしいのでルクルよりヤバい人種の可能性が高い。

 幼女たちのストーカーであるロリコーン紳士をストーカーする女。

 すごく嫌な予感がひしひしします。

 どうやらハプニングはまだまだ僕らを放っておかないようだ。

 ロリコーン侯爵、一応無事を祈っとく。なんか、この結末、刺される未来しか思い浮かばないぞ。

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