その学園復帰を学生たちはまだ知らない
本日二話目
「おー着いた着いた」
僕たち一行はコルッカへと舞い戻っていた。
久しぶりの学園都市だ。
あまりいなかった気もするけど、なんか懐かしさも感じる。
たぶん学校という存在が望郷の念を抱かせるんだろう。
まぁ、僕には良い思い出なんてなかったけどね。ふふ、ぼっち万歳。
あ、でもフォークダンスの時はよかったな。可愛い女の子と手を握れたし。
凄く近くに女の子の身体が来たのは、あの時くらいしかなかった。ふふ、シャイなあんちくしょうだった自分が恨めしい。
あの時にもっと積極的になれてればなぁ。
まぁ、過ぎた世界のことはもはやどうでもよろし。
僕はこの世界で理想郷を探すんだ。
リエラとはちょっと良い雰囲気出てきたような気もするし、パルティさんも結構僕を頼ってくれてる。
ああ、どうしよう。これってモテ期なのかな?
チャンス到来なのかな。透明人間になった時は彼女なんて諦めてたけど、ふふ。ちょっと期待して……ひぃっ!? こ、候補、候補ですよ、ルクルさんも、はい、大好きですサーッ!
「よっし、復学手続き終わり。リエラさん、明日まで自由行動なので遊びに行きませんか?」
「あ、はい」
パルティとリエラ、ついでにチグサとケトルが女性陣だけで甘味処へと向って行った。
デヌはミルクティさんと共にプリカとパイラのお守らしい。あいつら大食いだからやり過ぎないようにしないと軍資金即行底突くよ?
「では、これから再び頑張りましょうねアルセ」
と、アルセに告げて去っていくのはアメリス。自宅へ向うようだ。
僕らもアメリスの家に厄介になるのだけど、今日はアルセ達も羽を伸ばして良いらしい。
こちらはルグスとロリコーン侯爵がお守役でアルセ、のじゃ姫、ネフティア、ワンバーちゃん、にっくん、レーニャの魔物軍団。人間は一人もいません。
当然だけど僕とルクルも一緒だよ。アルセから目を放す訳にいかないしね。
皆行きたいところはないようで、アルセの進むままに歩いてる。
アルセは僕が肩車中です。アルセ、この体勢気に入ったみたいだ。
肩の上に座っておーっと楽しげに声を出しているアルセは、時折指差しながらあっちへこっちへと指示をしてくる。
僕が彼女の赴くままに歩いて行くと、なぜかコルッカギルドにやって来た。
魔物達を引き連れぞろぞろとギルドに入る。
ざわり。ハンターたちが僕らを見て呆然とする。
マイネフランだと普通にあ、アルセちゃん来た。といった具合だけど、この国のギルドでは魔物パーティーという意味不明の存在がいきなりギルドにカチコミかけて来たのと大差ない。
思わず剣を抜こうとして自分の剣を机に置いていたのに気付いて慌てる新人冒険者とか、ルグスを見て怯えて逃げようとする歴戦冒険者とかがいる。
一応、ワンバーカイザーの姿を見た一部の冒険者が、あ、あいつは!? みたいな顔をしていたが、同じ魔物かどうか分からなかったようで警戒だけはしているようだった。
近づいて撫でてあげたいけど他の魔物が未知過ぎて怖い。と言ったところだろう。
アルセはカウンターに向うと、ギルドカードを取り出し見せる。
だからアルセ、それ僕のポシェットに入れた奴だから。どうやって出してるの!?
カードを受け取った受付嬢は戸惑いながらもカードの内容を確認。扱える依頼をアルセに見せて行く。
ん? アルセこれしたいの?
アルセの指し示したのは皆で出来る簡単な依頼。
近くの草原に生えた薬草採取だった。
万年依頼という奴で、いつでも持ってきていい分貰える金額もハンターランク上げるポイントも一番低い。
これだけを受けてると千個くらい集めてようやく一番下の橙から黄に上がるくらいだ。
あ、ちなみにアルセたちは黄色ランクだよ。幾つか格上依頼をカインたちと受けてるからね。
そしてリエラだけは先日の聖女の件で青ランクになったようだ。
実力的には紫か赤ランクにしてもいいらしいけど、リエラがあまり実力に見合わないランクになっても困ると嫌がったので上昇は青で止まってしまった。まぁ、他の皆と依頼をこなして徐々に上げて行くらしい。
そもそもがまだ新人臭が抜けきらないリエラさんだしね。リーダー役が板に付いた頃にでも紫ランクに上がれればいいとか言ってたよ。
明鏡止水が自由に使えるようになれば多分白ランクか黒ランクに上がれると思うんだけどね。
あ、一応、前に説明されたけどギルドランクは橙、黄、緑、青、紫、赤、白、黒、銀、金、虹、透の順にランクが上がっていくらしい。
どうでもいいけどカインとネッテは虹ランクの冒険者になったらしい。どうやらゴブリンの魔王倒したりヘンリー撃破したりしたのがよかったようだ。ネッテはカインの妻だからってことを加味されて一緒に虹カード受け取っていた。マイネフランで、だけどね。
さて、んじゃあ薬草採取にいきますか。




