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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第ニ話 じゃじゃ馬嬢を止める術を彼らは知らない
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その指名依頼を断る術を誰も知らない

 カインたちの話も一段落したようで、僕たちは全員揃ってギルドのカウンターへとやって来ていた。

 報酬を受け取るためだ。

 長い待ち時間を経てカウンターへと向かう。魔物がいる為か周囲の冒険者たちが凄く迷惑そうにしていたけど、こればっかりは我慢して貰うしかない。

 いや、大丈夫だよ、クーフやバズ・オークは突然襲いかかったりしないから、そこの若い冒険者さん、柄に手を当てるのは止めよう。バズ・オークが物凄く警戒してるから。


 殺伐としたギルド内は、さすがにアルセの天使の笑顔でも中和しきれないらしい。

 そこかしこから魔物がこんなとこ来るなといったニュアンスの殺気が飛んでくる。

 が、いつものことなのかカインとネッテは気にした様子も無くカウンターの受付嬢に話しかけていた。

 さすがに気付かない程鈍感ではないと思いたい。


 本来は魔物情報ということなのでこちらのカウンターでは換金しないのだが、ギルドマスターが言うには僕らに指名依頼が入ってるらしいのだ。

 なのでこちらで受け取りついでにその依頼を受けてほしいらしい。

 何しろ有力貴族の娘さんからの直接指名依頼で、アルセイデスを連れた男女三人組の冒険者パーティーという指名で、それはどう見てもカインたちのことを指してるとしか思えないからだそうだ。


 ……あれ? なんか嫌な予感がないですか?

 貴族の娘? アルセイデスを連れてることを知ってる?

 もしかして……


「こちらが指名依頼になります」


 その指名依頼とやらを覗きこむ。うん。よくわからん。

 なぜ、日本語として読めるのだろう?

 そこにはこう書かれてあった。


 迷子のにっちゃうを探してください。

               依頼者アメリス=フィラデルフィラル

               報酬1000000000ゴス


 ……来ちゃったよ。

 どう見てもあの人だよね。

 にっちゃう・つう゛ぁいを飼ってる貴族の女の子。


 カインたちもこれを見た瞬間青い顔をしている。

 どうやらアルセが見つけてしまったせいで目を付けられたらしい。

 あのあとまた逃げ出してたし、再依頼というわけらしい。


 詳しい話は彼女の家で行うらしく、受ける場合は直接貴族邸に紹介状を持って迎えとのこと。

 ちなみに指名依頼なので断るとランクが1下がるらしい。たぶん断っても連続投下されるからほぼ確実に最下位ランクに落ちるまで指名されるだろう。

 別に受けずに放置することも可能ではあるが、外聞が悪くなるというデメリットと有力貴族等の場合は制裁が行われるのであまりお勧めはできない。


 ちなみに、余程悪質な指名依頼の場合はギルドに相談して指名禁止処置を行う事もできるが、相手が貴族系だった場合はトラブルに発展するそうだ。

 その辺りはギルド不介入ですよとか言われた。


 カインが頭を掻きながら皆を見る。

 乗りかかった船か。と諦めたように溜息吐いて依頼を引き受けていた。

 ご愁傷様です。


 というか、またにっちゃう・つう゛ぁいと会わないといけないのか。

 面倒だよな。命の危険があり過ぎるし。多分森の奥深くに行ってるんだろうな。

 僕は周囲を見回す。うん。アルセ以外あまり乗り気でない顔だ。


「とりあえず装備とかいろいろ整えないとならん。これは明日に回そうぜ?」


「……そうね。それが、いいかもね。正直今日はぐっすり眠りたいわ」


 長旅から帰ってきた訳だしゆっくりしたいよね。

 まぁ二日しか経ってないけど。

 ちなみに、そうやって思うと、あの川って一日歩くだけで着ける距離にあったんだと今更ながらに思う。


「じゃあ、先方さんには明日向かうと伝えて貰えますか?」


「はい。いつ向かうかはよろしいですか?」


「どの道向う前にこっちに顔出すから、その時にでも教えてくれ。相手は貴族だし向こうの時間に合わせるよ。早い時間に会えっってなら宿屋【酔いどれ千鳥】に連絡してくれ」


「承りました」


 カインが受付嬢に伝え、報酬を受け取る。

 それが済むと、もう仕事は受けないぞ。とばかりに一行は踵を返して歩きだす。

 ふと、バズ・オークが賞金首の区画を見付けて吸い寄せられるように寄って行く。


「どうしたバズ・オーク?」


 カインもそれに気付いてバズ・オークの後ろから彼が覗いていた賞金首に視線を向けた。

 おお、これバズ・オーク自身の賞金首だ。既に討伐された、あるいは無害となった用のバツ印が大きく付けられているが、なんとなくわかる。

 バズ・オークのお尋ね者時の絵である。


「ブヒ……」


 なんとなく感慨深そうに呟くバズ・オーク。

 豚が黄昏ています。誰かどうにかしてください。


「む。これはなんだ?」


 空気の読めていないクーフが隣にやってきたリエラに尋ねる。


「これは賞金首や大物の魔物たちに懸賞金がかけられているんです。こいつを倒して討伐した証明に特徴的な部分を持ちかえれば報酬が貰えるんですよ。大抵は首を狩って証拠にします」


「ホゥ。つまり、こやつらは見つけ次第殺せばいいのか。しかも殺し公認なだけでなく金まで手に入ると。実にやりやすい戦略だな」


「でもね、これには一つ予防策としての一面もあるのよね」


 と、ネッテが割り込んで来た。


「強力な魔物ってのは放置すればするほど実力を伸ばす危険な魔物なのよ。だからこうやってお金を掛けることで手早く処理され、魔物が強力な個体へと存在進化しないために出る杭を打ってるわけ」


 下手に放置すると魔王になってしまうのだとか。何それ恐い。

 要するに成り上がりするのを防いでいる訳だね。

 バズ・オークもオークナイトになってたし、あながち間違いとも言い難いね。

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