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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第五話 その宗教の誕生を彼女は知りたくなかった
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AE(アナザー・エピソード)その勇者たちが齎すモノを国民は知らない

「ヘンリィィィ――――っ!!」


 カインは無我夢中でヘンリーを追っていた。

 その背後を必死に追い付こうとするフレイムベアー。

 しかし、二人が早すぎてフリアール達の攻撃から守り切れてはいなかった。

 結果、すでにカインにも黒死の反応が出始めている。


 アルセたちに頼まれたのに、カインを守り切れなかった。

 正直どう頑張っても無理な願いではあったのだが、やれそうだっただけに失敗したのがフレイムベアーには悔しい。


「光速突破!」


「うはっ。速ぇ速ぇ。神速突破っ」


 粘り強さや実質的な力であればカインはおそらくヘンリーより上だろう。

 しかし、ヘンリーの勇者としての能力は、限りなく外道寄りだった。

 そのため、相手を振り切り影から狙撃するようなスキルばかりが揃っているのだ。


 カインの速度を上回る速度で一気に駆け抜けるヘンリー。一度の戦闘すらもせずに一気に三階層まで駆け抜ける。

 カインも遅れて地下四階から脱出するが、背後のフレイムベアーは完全に置き去りにされていた。

 だが、カインはソレを気にすることなく、さらに先を行くヘンリーの背中を追って行く。


 どれだけ早く走ろうとも、追い付けない外道の背中。

 悔しかった。

 これだけ強くなっても追い付けないのかと、思わず泣きそうになる。

 ネッテを守れる存在に成れた。そう思ったのは間違いだ。本当に守らなければならない時に、この体たらくでは意味は無い。


「ネッテ……力を貸してくれ! 神速……突破ァッ!!」


 さらに加速できたのが分かった。だが、これではヘンリーには追い付けない。

 既に二階層に上がってきている二人の差は、全く縮まらない。

 差を付けられなくなっただけだ。

 もう一段階、スピードが上がらなければヘンリーには追い付けない。


「頼む、俺の身体っ」


 全力で体中に魔力を巡らせる。

 魔法を使えないカインだが、魔力を身体に巡らせることで身体の強化を行う術だけは得意だった。

 だから、加速力がもう一段階上げられるのにも直ぐに思い至る。

 消費魔力はおそらくギリギリだ。これ以上使うとヘンリーとの闘いに支障をきたす。だが、ぎりぎりそのラインで移動できる。


「縮地ッ!」


 刹那、視界が一瞬途切れた。

 驚きはあったが、使えるスキルだと納得すればそれまでだ。能力の検証などは後でいい。ただ、ヘンリーに対して有効な手段であればそれでいい。

 一歩踏み出すだけで大地が縮小されたように数百メートル先に移動している。駆け足で一歩、また一歩距離を詰める。


 神速突破を使っているヘンリーも後ろを気付いて驚いた。

 何しろカインが一歩ごとにヘンリーに近づいて来ているのだ。

 まるで瞬間移動を繰り返しているかのような動きに思わず呆然としたくなる。

 だが、立ち止まれば捕まるのは確定だ。

 必死に速度を速める。


 既に出口は目の前だ。

 光射す場所へ向けて速度を速める。

 カインが直ぐ背中に迫るが、まだヘンリーとの距離はある。

 背中に一瞬気配が来たが、ぎりぎりで地上へと脱出を果たした。


 目の前には無数の人物。

 ソレに気付いた瞬間ヘンリーは真横に飛んで転がる。

 慌ててブレーキを掛けたカインはゴードンにぶつかる形で止まる。


 ぶつかったのがゴードンだった御蔭で相手が吹き飛ぶことはなかったが。文句を言って来る彼を無視してカインは剣を構えた。

 起き上がり、体勢を整えたヘンリーもまた、剣を構える。


「億閃貫牙斬!」


「自動迎撃・激!」


 次の瞬間、二人は距離を詰めて切り結んでいた。

 無数の剣撃が絶えまなく響く。

 突然の二人の闘いを呆然と見ていた面々だが、はっと我に返り武器を手に取る。


「カイン、手伝うぞっ!」


「下がれアレンッ! これは俺とヘンリーの問題だ!」


「はぁっ!?」


 一度距離を取ったカインが叫ぶ。

 驚くアレンを無視してヘンリーの一挙手一足投に意識を集中させる。


「ふふ、ここじゃさすがに無理だな。場所を変えようかカイン、分かりやすい場所でテメェの命を狩ってやる」


「逃すかよッ!」


 神速突破で一気に包囲を突破したヘンリーを再び追い掛ける。

 あまりの速度戦に、その場の皆が対処できなかった。


「お、おいおい、俺より速くねぇかあいつら?」


「そんなことどうでもいいでしょ! アレンさん、早く追いましょう!」


 モーネットに促されアレン達も動き出す。

 だが、誰も気付いていなかった。

 既に彼らのステータスに、黒死の文字が躍っていたことを。


 街へと逃走したヘンリーが黒死を撒き散らす。

 追って来たカインはそれに気付きながらも舌打ちするしか出来なかった。

 ようやく止まったヘンリーが王城前でカインに向き直った。


「さぁ、ネッテの前で見せつけてやろうぜ、お前が無様に死ぬザマをよ!」


「ヘンリー……黒死なんかで死なせやしねぇ……テメェは俺が、斬り伏せるッ!」


 カインとヘンリーは、再び剣を構えた。二人の勇者が今。最後の闘いを始めようとしていた……

  ヘンリー

 種族:ニンゲンG クラス:勇者

  ニンゲンG:ニンゲン族万能成長型

 二つ名:外道勇者・魔王殺し

 ステータス:黒死病(末期)

  外道勇者:ラッキーイベント、イベント率増加、勇者補正強化。外道スキルを覚え良心の呵責が発生しなくなる。

  魔王殺し:魔王を殺した存在に送られる称号。対魔王戦に置いて能力が上昇する。魔王特化属性が付与される。

 装備:魔剣ガゾッド、グラシカルプレート、ブラッドリーグリープ、隷属の首輪

 スキル:

  脱兎:逃走スキル。ボス戦以外を50%の確率で逃走できる。

  起死回生リバース・ダメージ:敵の攻撃をそのまま敵に返します。発動確率30%。

  真空波斬:剣閃に真空波を発生させる技。

  魔法陣・起動サークル・ランチ:設置型魔法陣を起動させるスキル。

  ステータスブースト:ステータスを一時的に増強させる。

  ステータスハイブースト:ステータスを一時的に超増強させる。

  音速突破:音速を突破する速度で移動できる。

  亜光速突破:亜光速を突破する速度で移動できる。

  光速突破:光速を突破する速度で移動できる。

  神速突破:神速を突破する速度で移動できる。

  ライトニングスラッシュ:電撃を纏う勇者専用技。

  ライトニングストラッシュ:電撃を纏う勇者専用技。

  ライトニングスタンピード:電撃を纏う勇者専用技。

  自動迎撃・激:自動で身体が動き相手の攻撃を迎撃するスキル。スキル中は身体の操作が不可能になる。

  デッドランドハーヴェスト:アンデッド、死霊属性の魔物の魔力と生命力を奪い取り己の力を増加させる。

  英雄のリターン・帰還エインフェリアル:死した英雄たちを呼び起こす勇者専用技。

  くたばれツムトゥイヘル屑共デァアップシャオム:勇者専用技の一つ。死者の魔力を集めた剣を創りだす。

 常時スキル:

  肉体強化Lv20

  剣術Lv15

  毒耐性・大

  魅了無効

  麻痺耐性・小

  恐怖耐性・大

  七大罪・傲慢:世界七大罪の一つ。世界中でこのスキルを持てる存在は一人だけ。???

 種族スキル:

  クリティカル発生率・小

  英雄の激:軍団を指揮する場合軍の全能力に+補正。またくいしばりが連続発動する。

  勇者の心得:勇者としての心構えを習得した証。クラスが勇者になる。

  勇者補正:絶体絶命の時、必ず起死回生の一手を生みだす術を得る。

  外道の極意:気に入らない相手は徹底的に潰します。

  女殺し:いろんな意味で女性を殺す事に長けた存在。対女性の場合攻撃力と18禁能力に+補正。

  闇討ち:相手が気付いていない場合、不意打ち攻撃でクリティカルに+補正。即死効果付与。

  傲慢:相手を見下しがち。初見の敵相手には油断してしまう。

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