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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その黒死の暴威を彼らは知りたくなかった
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その熊が一緒に来た本当の理由を彼らは知らない

 フレイムベアーが無駄に大活躍な件。

 四階全てを焼却するような炎が周囲を舐めつくしている。

 フリアール? 多分全滅です。

 一応僕らにも炎を噴き付けて火達磨にすることで滅却消毒してくれたフレイムベアー。回復魔弾と状態異常回復魔弾がなければできない荒技です。

 パルティがいてくれてよかった。僕も火達磨にされた時は本気で死を覚悟したよ。

 でもね、なんでアルセは全身炎に包まれたのにきゃっきゃと笑ってるの?


 他にも居ただろう魔物も殲滅したと思われます。

 というか、ダンジョンモンスター殲滅したら出て来なくなるのかな? リポップ場所とかあるんだろうか?

 いや、今考えるところじゃないんだろうけどさ。


「がぁー」


 殲滅完了。とばかりに嘶くフレイムベアー。

 役立てたことでテンション上がってます。

 元々好戦的な性格だったようで、いつでも誰でもドンとこい。とばかりにシャドーボクシングをしまくってます。


 なんか……これはこれで可愛い気も……しないなぁ。やっぱり炭化した熊に炎張り付けた化け物に可愛さは欠片もない気がします。

 まぁ、アルセには大人気だけどね。アルセはほんと、変わったのが好きだねぇ。なんでだろう。


「見つけたぞ。次の階だ」


 カインの言葉で皆が真剣な顔に戻る。

 次の部屋には地下五階の入り口である階段が口を開いて待っていた。

 当然ながら嫌な空気がさらに濃くなっている。


「今回はフレイムベアーの御蔭でなんとかなったが、皆、死を覚悟してくれ。そして、おそらく先行部隊は黒死病を受けてる前提に考えた方がいい」


 カインの慈悲なき言葉にゴクリと息を飲む。

 否定するような声はなかった。

 皆、分かっているのだ。フレイムベアーのように地面全体を焼却するような方法を、先発隊は取れない。おそらく全員黒死病になっているだろう。

 問題は、この病気が状態異常回復魔法弾でちゃんと回復するのかどうかだ。


「パルティ、一応俺達全員を魔物図鑑で見てくれ。状態異常を受けている奴はいるか?」


 僕から魔物図鑑を受け取ったパルティが順々に見て回る。


「いない……ですね。なんか、本当にそんな状態異常があるのかと疑いたくなるくらいに大丈夫です」


「分かった。なら次の階層に進もう。フレイムベアー、悪いが先行を頼む。あと、先行部隊がこの階層にいる可能性もあるからその辺りは気を付けてほしい」


「がぁー」


 まかせろ、とばかりに胸をどんと叩いて一人地下へと降りて行くフレイムベア。階段も焼却することを忘れない。

 というかフロア全体殲滅とか、フレイムベアー経験値貰いまくりなんじゃ……


「しかし、凄いな。よくあの熊をこの探索に組み込んだモノだ。普通ならばリーダー格らしいスカイベアーを連れて行きそうなモノだが」


「ほんとうにねぇ」


 クーフの言葉にしみじみ頷くミルクティ。

 二人の視線は不折れのネギを上下に振っているアルセがいた。


「本当に、アルセは謎だな。噂としか思えないが本当に未来でも見えているのだろうか?」


「あん? どう言う事だ颯太?」


「彼女はあまりにも的確なチョイスを毎度している、ということです勇者様」


 クーフの言葉にアルベルトが尋ねると、得意げに答えを返すクーフ。

 クーフの御蔭で本当にアルセがこうなることを見越してこのメンツを指差したと思われているらしい。

 違うからね。アルセさん、本当に全く何も考えてないから。適当に指差しただけだと思うよ。うん。だよね? 違うよね。アルセがそんな未来予知とかして魔物集めてないよね?


「つまり、このメンツにはアルセがこの探索で必要だっていう役割があるってことか」


 アルベルトが感心しながら僕らを見回す。


「勇者様、私ことクーフ、カイン、辰真、パルティ、フレイムベアー、ミルクティ、ルグス、バズ、ワンバーカイザー、ルクル。アルセが探索に連れてきた以上皆が皆役割があるのでしょう。フレイムベアーは言わずもがな。魔王である辰真はアタッカーと見てよいでしょうし、我等と組めば相手が勇者といえども負ける気はしません。ルグス、お前にも期待している」


「抜かせヘタレ颯太め。我が主に見定められし我が実力を貴様等に見せつけてやる。その腐った目玉をしかと洗っておけ」


「萎れてはいたが腐ってはおらんよ。しかし、探索がフレイムベアーの御蔭で簡単になり、少し張り合いが無いな」


 柩を片手で背負いながら、とんでもないことをおっしゃるクーフさん。

 フラグとかおならとかツッパリとかはいらんのですよ?

 あ、ほらぁ、バズが凄い勢いで鼻ひくひくさせだしたぁっ。 


「一筋縄ではいかねぇらしいな。来るぞクーフ! お待ちかねだ」


「むぅ……」


「ふん。敵が出てほしいなどとフラグをほざくからだ阿呆め」


 皆が階段を降り切るまで先に降りていたカイン、アルベルト、クーフ、ルグスが散開して周囲を探る。


「っ! 上だ!」


 鍾乳洞に似た天井から、バットラットの群れが襲いかかってきた。

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