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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その集まり過ぎたモノたちを彼らは知りたくなかった
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その王族の会食を彼らは知る気はない

「驚きました。さすがは聖女様ですな」


「え? あ、ありがとうございます?」


 踊りが終わり、立食パーティーが本格的に開始される。

 カイン夫妻に挨拶に向う王族たちが現れる中、ワイン片手に煌びやかに装飾された豚のようなおっさんがリエラの前に挨拶に来ていた。

 つい先程まで儂の嫁に来いとか無理強いしていたおっさんだ。


「先程は失礼をいたしました。儂のような存在が神の妻を娶ろうなどおこがましいことを言ってしまい申し訳ございません」


「ふぇえ!? い、いえ、あの、そんな……」


 相手王族だからだろう。下手に出られてどうしたらいいか分からないリエラさんはただただ恐縮するのみです。

 バグ弾打ち込もうかと思ったけどなんかすげぇ腰低くなってるから見逃しとこう。リエラ無理矢理連れて行く気はなくなっているらしい。


「ただ、よろしければいつか我が国にいらしてください。春先には奉納祭などがございます。神事で聖女様に踊りを踊っていただければこれ程嬉しいことはございません」


「え? え? えっと……」


 どうしよう? 周囲に助けを求めるが、誰もが別の王族相手に話しているので助けに入れません。

 リエラの近くではアルセとゴールデンベアーが互いに手を取ってくるくる踊っているだけです。

 って、アルセ、それ王族とかが踊るダンスじゃなてフォークダンスじゃない? 学校の運動会後とかでやったことあるよ僕。


「国王陛下、あの、アルセ様に会いたいとアルセ様方がいらしているのですが、お通ししてもよろしいですか?」


 兵士の一人がマイネフラン王に駆け寄り耳打ちする。

 アルセに会いにアルセが来た? なんじゃそりゃ?


「この祝賀会を邪魔しないのならば通せばいい。姫の御友人なのだろう?」


 王様、酒が入ってノリノリです。ガハハと笑いながら許可を出していた。

 今は擦り寄ってくる王族達を相手に気を良くしています。

 周囲の王族はこの機に良い条件で友好結んどこうと躍起ですね。せいぜい毟り取られないように気を付けてよ王様。


 兵士に案内されてやってきたのは、成る程、アルセに会いに来たアルセだ。

 正確にいえばドリアデスとかアルセイデスたちである。

 昔のアルセを彷彿とさせるアルセイデス達に混じり、アルーナが怖々入ってくる。

 その背後に居るのはウレオロイとアウロニアデス? 魔物図鑑に又新たなアルセモドキが登録されました。


 二人とも微妙に色違いの緑色で、ウレオロイはミカンに時々ツイてる葉っぱみたいなのが頭に生えてます。アウロニアデスは細長い雑草みたいなのが三本。毛が三本だ。

 その背後からやってくるのは花の中にアルーナが入ったような初めて見る個体。

 その姿を見た王族が会話を止めてその魔物に視線を向けていた。


「アレが……アルラウネ……」


 思わず図鑑登録した僕の魔物図鑑を覗きこみリエラが告げる。

 その声に反応した王族から徐々に波が伝わっていく。

 アルラウネ、アレが? 伝説ではなかったのか? 本物を見られるとは、なんという素晴らしい日だ。


 口々にそんな声が漏れる。

 アルラウネは足、ではなく根っこをうねうねと動かしながらアルセのもとへとやってくる。

 自分の花弁を両手で掴み優雅にお辞儀をして見せた。


「初めまして聖樹の森の主。このような場に御招待いただけたこと、我が眷族をまとめ、お礼申し上げます」


 しゃ、喋った!? アルラウネ喋った!

 ざわりと揺れる王侯貴族。

 魔物が喋ったという事実を目の当たりにして驚愕に目を見開いている。


「ふふ。アルラウネ。挨拶が済んだのなら私も挨拶させてくれる? そこのアルセイデスにはドリアデスもお世話になったらしいの」


 やってきたのは物凄い綺麗なお姉さん。緑色なので、ドリアデスの進化個体なのだろう。

 図鑑を見ればスクーグズヌフラという名前が見える。

 ドリアードの進化系ってところかな。


「初めまして聖樹の森の主。オリーの森の主スクーグズヌフラです」


 鉤爪と牛のような尻尾を持つ可愛らしい顔をしたお嬢様だ。

 惜しむらくは背中だろう。まるで老木の皮がくっついているようにくぼんでいるのだ。

 でも、腰元まであるつややかな髪はとても綺麗で、国々のお歴々も思わず鼻の下を伸ばす程。


 しかし、森の主なんて初めて会ったよ。居たんだね。しかも二人も。

 といっても一人はアルセに地位を譲ったみたいだけど。


「おー」


「あらあら?」


「まぁ。じゃあ聖樹の森は今まで通りでいいのね。良かったわねアルラウネ」


「別に、私は主じゃなくてもいいのよ。その方がゆったりできるし。森の奥には食料が一杯だからわざわざ見回りとかしなくていい分楽になれたんだけれど。もうしばらくは主役をしなければなりませんね」


 嬉しそうに溜息を吐くアルラウネ。どうやら突然森の主がアルセになったせいで自分の仕事をどうしたらいいか確認に来たらしい。で? なんでアルセが森の主になってんの?

 アルセは冒険の方がいいらしいのでアルラウネに管理は任せるみたいだけど。

 王族の会食なのにメインがアルセ達に移ってるんだけど、皆気にする気もなさそうだ。

 マイネフラン王も挨拶すべきか物凄く迷っていらっしゃる。

 ウレオロイ

  種族:妖精 クラス:ビリー・ウィンカー

 ・ミカンに時々ツイてる葉っぱみたいなのが頭に生えている妖精の一種。

  ニンゲンへの忌避感は殆ど無く、稀に民家周辺で踊る姿が目撃される。

  寝てる子供を見掛けると、直ぐ横で覗き込みそのまま数時間微動だにしないこともある。

  上位個体はビリー・ウィンカー、ウィー・ウィリー・ウィンキー、ギリードゥだとされている。

 ドロップアイテム・眠り粉・目覚めの樹液・高揚の涎


 アウロニアデス

  種族:妖精 クラス:シーリー・コート

 ・細長い雑草みたいなのが三本生えているアルセイデスの亜種。

  目にする事は滅多にないため、出会えば幸運になれるとされている。

  しかし、彼女等に危害を加えたものはアンシーリー・コートの呪いを受けると言われている。

  上位個体に、アンシーリー・コート、シーリー・コート、グルアガッハがいるという。

 ドロップアイテム・幸運ダイス・三本の草・アンシーリー・コートの呪い(捨てても戻ってきます)


 アルラウネ

  種族:妖精 クラス:アルラウネ

 ・アルセイデスの上位存在。聖樹の森にいる妖精族を束ねる森の主。

  足は無く、根っこを這わせることで移動する。蔦を操り魔物や人間を捕食する魔王。

  姿を見せることは今まで無く、伝承の中に聖樹の守り手として語られる存在。

 ドロップアイテム・アルラウネの蔦・アルラウネの花粉・蔦のブラ


 スクーグズヌフラ

  種族:妖精 クラス:スクーグズヌフラ

 ・ドリアードの上位個体。オリーの森にひっそりと存在し、男を襲って腹上死させるオリーの森の主。彼女の愛を受けた男は二度と現世に戻ることはないという。

  鉤爪と牛のような尻尾を持つ可愛らしい顔をしたお嬢様。背中は老木の皮のようになっていてくぼんでいる。

 ドロップアイテム・スクーグドロップ・いけない蜜・恐怖の白ジャムEX・愛しきミイラ

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