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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その集まり過ぎたモノたちを彼らは知りたくなかった
602/1818

そのパレードでお披露目された不良の武器を彼らは知りたくなかった

 王族が揃って王城前の特設会場へと向かう。

 まずはパレードらしい。魔物達が街を練り歩くんだとさ。

 アカネ達からルクルやマリナなど、話の分かる魔物に話が通されていて、意思疎通がまだ不可能な魔物達をそのリーダー格が纏め上げて一種族づつ纏まって行進である。


 先頭はマイネフラン兵。次にバズ将軍率いるオーク集団。って、待って、アレ、もしかしなくても全部バズさんの子供だったり!? あ、いや、違う良かった。半分くらい過ぎた後には武装したメスオークを筆頭に農夫っぽいオークやら長老っぽいオークが歩いている。


 続いてハーピー。ピッカという名前のリーダーがピィピィ鳴きながら他のハーピーが列からはみ出ないようにしてオークたちに続いている。

 あのリーダーのハーピー、なんか見覚えあるな。どこで会ったっけ?

 自分の手がなぜかワキワキと動いて何かを思い出していたようだけど、僕自身の記憶からはでてこなかった。うん、出て来なかったんだよ。あの胸柔らかかったよね。


 その背後には戦隊ヒーロー? うわっ、あれレインボーレンジャーじゃないか!? なんでダンジョンボスがこんな場所に!?

 というか、その後に歩いてるのスカイベアーどもじゃないか!? ゴールデンベアーこんなとこに連れて来て大丈夫なのか!?

 その後ろをヨイドレとかエテ公どもが歩いている姿がまたなんとも。ああ、リエラたちがミーザル見つけて嫌そうな顔してるっ!?


 そんなリエラ達に気付いたミーザルたちは親指突き立て俺、来たぜ、来ちまったぜ俺! お前らの結婚式に俺が来たぜ、ネッテとぉ、カインのぉ、結婚式に、俺が、キタァァ――――っ。

 みたいな自分押ししながら行列に紛れて消えて行った。


 アンダカギオギオ族が普通に参加してます。

 カイン見つけてなんかにょっきにょっき言ってるけど意味不明だよ。

 うん、あのイケニエが結婚か。とかしみじみ呟いてる気がするけど気のせいだよね。


 その背後にアローシザーズやらにっちゃうの群れ。アローシザーズが普通に街中を歩くさまはかなり異様だ。

 王城前から南門へと向けて行列が向って行き、南門で左右に分かれる。

 北門まで城壁側を通って行き、北門で折り返しこの王城前で合流という行進だ。

 皆が様々な場所で魔物達の行進を楽しげに見つめている。


 前回ツッパリ達の行進を見たせいか魔物相手でも忌避感が余りなくなってるね街の人たち。

 そんなツッパリたちがようやく動き出す。

 ブオオオオオオンと物凄い音が響いた。

 ざわつく民衆の目には、ツッパリ達を割り裂くように現れた一人の男に向けられる。


 リーゼント番長、いや、違うな。白き覇王辰真さんだ。

 白ランをはためかせ、『男一匹乱桜』とかいう訳のわからない背中の刺繍を存分に見せつけ、何かに乗っているようです。

 ツッパリ達が割れ動き、辰真の全容が明かされる。


 アルセバットを持ち上げ、肩に引っ提げた辰真が開いた右手でハンドルを握る。

 僕達を見付けた辰真はニヤリと笑みを見せつけた。

 その辰真が乗っていたのは……いつかアルセがというか僕が落書きで作った不良専用改造バイク。


 まるで絵から抜け出してきたように、辰真が単車に乗っていた。

 まさか、まさかっ!? 手に、入れたのか? あれを?

 あ、そうか、ハリボテか。そうだよな。この世界にバイクなんてないよね。あは、あはは……


 ドルゥンドルゥン、ドルルルルルッ


 次の瞬間、背中にアルセバットをしまった辰真が単車に乗る。

 慣れた動きでエンジンフルスロットル。

 爆音響かせパレードの直ぐ横を単車に乗った辰真だけが走って行く。


 パラリラパラリラ~


 聞き覚えのある音まで再現済みです。

 辰真の奴。一体どうやってあれを?

 というか、再現率凄くない?


「ふむ。上手くできたようですね」


 アカネ、ではなくチグサさんが満足げに頷く。

 どうやらチグサとケトルが何かしらの入れ知恵をしたらしい。

 辰真がどんどん不良化していってます。これ、最終的に世紀末覇者っぽい感じになるのかな。あ、そういえばコイントスの格闘大会だかでそんな容姿のやついたな。あいつどこ行ったんだろ。


 スケバンリーダーがツッパリとレディースを引きいて動き出す。辰真の代わりに彼女が二種族を指揮するようだ。

 辰真は初めて自転車手に入れた子供みたいに大はしゃぎで乗り回しているようです。

 町民受けも良くてつっぱりーとかうなれーとかりーぜんと総長すてき~とか声援が飛んでます。

 とくに子供たちから大人気だ。


 最後に兵士の残りが魔物達の背後に着き、列から魔物達が離れないように目を光らせるが、どの魔物の群れもきっちりと行進している。どうやらリーダー格が知恵ある魔物らしく、他の同種をしっかり纏めているようだ。

 何でこんなにきっちりしてるんだろうこの魔物達?

 アルセさん、もしかして手紙届ける以外にも何かした?

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