そのパーティー分断による彼女の危機を僕以外知らない
クラッソ洞窟。
名の通り、とても暗い洞窟のようです。
出現する魔物はバット系。
一階層に出現するのは、バット、ビッグバット、ポイズンバット、パラライバット、フラッシュバットなどなど、蝙蝠系が大量です。
といっても、蝙蝠達は滅多に洞窟の下にはやって来ないうえに、冒険者を警戒するようで、こちらから近寄らない限りは襲ってくる事はない。
例外は吸血蝙蝠だけど、これは魔物ではなく動物枠らしい。
未だに魔物と動物の区別が付かないんだけど、これってどう違うの?
パルティが作った光の玉を頼りにして進む面々。
結構進んだと思うんだけど、結構広いなこの洞窟。
しかも狭い。
人二人横に並べる程のスペースが無いので剣を振りまわすのも危険な洞窟である。
こういうのは遺跡探検隊みたいな装備がいるんじゃないかな。
下手したら匍匐前進しないといけない場所とか水溜まりになってる場所とかあるんじゃ……
そういえば、今更だけど、現代日本とかでやってたような天然洞窟ってこの世界ないよなぁ。
鉱山とかはあるみたいだけど、身動き取れない程に細い道とかは見たことがない。
探せばあるのかもしれないけど、もしかしたら神様が地形とか整備してんのかな?
「この辺りは宝ないですね」
「そりゃそうよ。地下が凄いらしいのよ」
リエラの声に、背後のリアッティが告げる。
この人、無理矢理リエラとパルティの間に陣取りやがりました。
何かリエラに変なことしたらバグらせるぞ。と意気込んでいるのですが、彼女リエラの髪の匂いかいだりする程度なので、今は五体満足で生かしてやっている。
女の人なのに、気持ち悪いと思ったのは初めてです。
凄いキモい顔でスーハーしてるリアッティはもはや変態以外の何者でもない。
ただ、我慢できずに無意識でリエラの胸へと伸びる手は、背後のパルティからの冷めた視線に気付いてギリギリで止めているようだけど、その冷めた視線にゾクゾクしているのがまた。
この人完全に女性好き悪化させてるでしょ。
ちなみに、隊列はアルセ、ルクル、リエラ、リアッティ、パルティ、アカネ、ミルクティ、デヌ、アンディ。一番後ろのバックアタック警戒要員はルグスさんです。レーニャはルグスが逸れないように見てくれているので彼と一緒に行動中。
「ハァハァ、と、ところでリエラ」
「ひぅっ!? な、ななななんですかリアッティさん」
荒い息を吐きながらリエラの耳元に口を寄せるリアッティ。そろそろ一発行っとくか。
「随分な出世ね。リーダーになったんでしょ?」
「そ、そうですね。臨時ですけど、なってます、よ?」
「リエラのパーティーなら、私入ってもいいなぁ。私も入れて貰っていいかしら? ねぇ、私に入れて?」
「ひぃぃぃぃっ!?」
ぞわぞわっと何か危険なモノを察したリエラが足を速める。引き離そうとしたみたいだけど前にアルセたちがいるのでそこまで急げるわけじゃない。
そして背後から迫る気色の悪い女性。
ヤバい、リエラのストレスは溜まる一方だ。
「おー?」
不意に、アルセが手を伸ばす。
洞窟の壁に何かあったらしく。ぐっと掌をくっつけると、壁を押しこんだ。
ん? 押し込んだ?
ガコン。っと罠が発動する。
皆があっと気付いた時には遅かった。
僕らの足場が急に消え去る。
「あ、アルセぇぇぇぇぇぇぇ!?」
落下したのはアルセとルクル、リエラ、そしてリアッティ。
どうやら地面が急勾配になってるみたいで、そのままごろごろと転がって行く。
アルセが物凄い楽しげにきゃっきゃきゃっきゃ言ってます。
こういうの好きだよねアルセ。
というか、ルクルさん、抱き付かないで。胸が、胸がぁぁぁっ。
「リエラぁぁぁ」
「ひぃぃっ、嫌ァッ、誰か助けてぇっ!!」
なんだ? と振り向けば、背後には胸を背後から鷲掴みされたリエラがリアッティの手を引き離そうと転がりながら悲鳴を上げていた。
あの野郎っ!
咄嗟にリエラの手を引き寄せ、リアッティの手を抓りあげる。
痛みを感じてるはずなのに全然離れない。
最悪だコイツ。
バグらせよう。そう思うのにいくらも掛からなかった。でも、集中を開始するより先に穴の出口へと辿りつく。
「うきゃんっ!?」
滑り台から飛び出すように、勢いよく飛んだ僕らは、直ぐ下にあった地面に尻から着地した。
洞窟に入るとかなりの確率で落とし穴落ちるよね僕ら。
とりあえず、ルクルにお願いしてリエラに襲いかかるリアッティの顔面にカレーライス叩き込んでやりました。
変態はカレーライスの刑で充分だ。
しかし、これは結構危険だな。特にリエラ。
仲間と離れただけじゃなく一緒に行動するのがリアッティ。
変態だと知られているから遠慮ない彼女はリエラ以外が魔物だという事もあり、この状況でリエラを狙う事にしたらしい。
リエラ、逃げてぇぇぇぇっ。




