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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第七部 第一話 その夢の国にある地獄を僕らは知りたくなかった
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その指揮を取りたかった女がいるのを彼らは知らない

「はい、こんな感じでいいですか?」


 一般的な人でも結構使える生活に根差した魔法。ライト。

 光を放ち自分の周囲を照らす魔法なのだけど、洞窟では特に重宝する魔法である。

 今回はミルクティが唱えてくれました。

 今のパーティーで唱えられるのはミルクティとデヌ、ルグス。あとアカネさん。

 リエラとパルティにはちょっと無理なようだ。特に持続性の問題で。

 これからは必要になるだろうからと洞窟出たらミルクティさんが教えてくれるとか言ってた。


 ネズミンランド地下一階。

 薄暗いのは明かりがないからだ。

 この辺りは冒険者しか来ないので照明がないのである。

 冒険者なら大体ライト使えるし、暗ければさすがに子供が間違って入り込むことはないしね。


 そんな感じの洞窟なので、見張りの人材が上の階段前に居る、なんてことはなかった。

 地下一階でも周囲を走りまわるネズミンたち。

 なんかこう、ぞわぞわってするね。


「えっと、攻略済みは地下三階までですよね」


「うん。えっと、出現する魔物はネズミン、トビネズミ、バットラット、地下二階はチュー華まん、スタチュー、チューチュートレイン? で、地下三階にはポイズンラット、鉄鼠、ネズミミンが確認されてますね。まだ未確認の魔物もいるかもしれないので気を付けてください。」


 なんだそれ?

 ネズミンとチュー華まんはあったことあるから分かるけど、うん、一階と二階は多分神様のネタで地下三階からが本格的なダンジョンと見た。

 何しろ地下三階に毒持ちネズミと鉄鼠って確か妖怪でいたよね。凶暴な存在だったはずだ。ネズミミンは多分ネズミンの進化系とかだろう。


 なるほど、地下三階で攻めあぐねている冒険者たちは多分変化するネズミたちの生態に危険を感じてそこで留まっている感じか。

 その下に入ると何かマズいと本能に刺激されたかな?


 僕も危険を感じるので地下四階はちょっとおススメ致しません。

 ネッテに言われたのも地下三階だし、ゆっくり進んで行こうねリエラ。

 でも、こう、ネズミだらけっていうのはちょっと生理的に怖いなぁ。

 ネズミンがネズミ体型というよりふわもこケセランパサラン尻尾付きって体躯だからまだ可愛いで済むんだけどさ、これがまんまネズミ体型だったらと思うと……うん、絶対未踏区には向わせないようにしよう。


「それじゃあ、行きましょうか。ここからはネズミン以外も出て来るから敵に気を付けて」


「周囲が敵だらけっていうのも、ちょっとストレスですね」


 リエラは及び腰になりながらも動き出す。

 へっぴり腰な動きがちょっと笑える。あ、こらアルセ、指差して笑わない。

 それとレーニャ、片っ端から口に入れないの。

 ああもう、どうせ食べれないんだからネズミンたちをカレー塗れにするの止めたげて。

 お前はカレーに使用できる食材しか食べれないだろう。何でか知らないけど。

 しかも玉葱で食当りになって死ぬし。何でか知らないけど。

 というかカレー猫って存在自体が意味不明だし。何でか知らないけど。


 広い部屋から扉の無い入口を抜けると、新たな広い部屋。ネズミンがいなくなった代わりに、やってきた冒険者に向けて飛び跳ねて近づくネズミたち。

 このネズミたちは普通にネズミのフォルムだね。


「トビネズミね。リエラとパルティは……」


 アカネさんが戦場指揮を行おうとして、ミルクティとデヌが先手を打った。遅れてルグスの連弾がばらまかれる。

 思い思いの武器と魔法でトビネズミを撃破。おおっ、ルグスの火炎弾が珍しく直撃した!

 あ、違う、アレ流れ弾にトビネズミが突っ込んだんだ。


「よし、楽勝!」


「ふん、肩慣らしにもならんな」


 またたく間に殲滅したトビネズミ相手にふっと銃口に息を吹きかけポーズを決めるミルクティ。腕を組んだデヌさんは雑魚だったとばかりに溜息を吐く。

 アカネの指示に振り向いたリエラとパルティは固まったままです。

 どうしよう。そんな二人が互いに視線を向け合う時、アカネさんは羞恥で顔を真っ赤に染めてふるふると震えていらっしゃった。

 キッと、僕に殺意の視線を向けて来る。

 ちょぉっ!? 違うから。今の僕のせいじゃないからね!? アカネ、世の不条理は全部お前のせいだ。みたいな目でこっち見ないで。僕のせいじゃないから!


 部屋の中には宝箱が一つ。

 慎重にパルティが開けると、箱の中には30ゴス。

 うん、お金が10円玉みたいなゴス玉三つがでっかい箱の中に入ってます。

 うわぁ、スペースハンパねェ。

 何この宝箱、箱に見合わないだろ30ゴスって、せめて1ゴス玉でもいいから30枚で多く見せようよ?


「おっと、30ゴスね。この程度の洞窟にしては気前いいわね」


 気前いいの!?

 驚く僕を無視して次の部屋へと向かうリエラ達。

 次の部屋に現れたのは……うわ、なんだこれ、ネズミ? 蝙蝠?

 ネズミの姿に羽の生えた存在が天井部に十匹くらい屯っていた。


「遠距離が良いわね、ミルク……」


 アカネがいうより先に銃を引き抜いたミルクティと魔法を唱えたデヌがほぼ一瞬で殲滅する。

 アカネさん、これ、指揮とかいらなくない? アレだよね、命令、皆頑張れ、でいいんじゃないかな?

 トビネズミ

  種族:魔鼠 クラス:トビネズミ

 ・飛び跳ねて移動するネズミ型の魔物。

  魔力を持っているが魔法は使えないらしい。

 ドロップアイテム・ネズミしっぽ、鼠肉、立派な歯


 バットラット

  種族:魔鼠 クラス:マギラット

 ・バット系魔物とラット系魔物との混血。生態は蝙蝠に近く雑食。

  集団で洞窟の天井で生活する事が多い。

 ドロップアイテム・蝙蝠の羽、鼠肉、ネズミしっぽ

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