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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第七部 第一話 その夢の国にある地獄を僕らは知りたくなかった
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その新たなリーダーを、彼女は知りたくなかった

「ふぅ、ようやく辿りつけたわね」


 ネッテの言葉が聞けたのは、門番による簡易チェックが終わってマイネフランへと戻ってきた時だった。

 相変わらず水洗じゃないところは地獄だな。あの一帯には近づきたくも無いぞ。

 そして、そんなマイネフランでは至るところににっちゃうが街中を闊歩している。

 子供がこれに楽しげに寄って行き、抱きしめたり頭を撫でたり、なんだかにっちゃう祭りでも開かれているようだ。


 どうもハンバーガー犬を連れた幼女二人が愛でるにっちゃうが凄く可愛いと噂になり、国のプロジェクトとして数種類の魔物を街中に呼び込んでみようという試みが始まっているらしい。手始めににっちゃうとツッパリ、レディースのみ街中への通行を許可したのだとか。

 あの、豚さん歩いてますけどアレは魔物枠じゃないの?


「よし、んじゃあ宿取りに行くぞリエラ」


「へ?」


「へ? じゃないわよリエラ。このパーティー、私たちが結婚式で抜けるんだから、最年長は貴女でしょ」


「え?」


「宿の取り方覚えて来なさい」


「ええええええっ!!?」


 あ、そっか。カインとネッテが結婚式で出られない以上、このパーティーの実質的リーダーは最古参であるリエラになるのか、さすがにアルセをリーダーにする訳にも行かないしね。今以上に迷走しそうだから。


「ま、ままま、待ってください。だって、私よりアカネさんやチグサさんの方がしっかりしてますし、私なんてそんなっ!?」


「でも、このパーティーを結成してからずっとこのパーティーに居たのは私とカイン、そして貴女でしょ、リエラ。なら、やっぱりリーダーは貴女よ。他の人に振るのは良いけどリーダーとしてやらなきゃいけないことは今のうちに教えていくから、それを誰に割り振るかは貴女の役目よ」


「そ、そんなぁ……」


「ばっか。むしろお前はツイてる方だぞ? ベテランクランに加入した次の日には高ランクパーティーが全滅して自分がクラン長。なんて奴もいるんだぞ、何をすればいいのか分からない状態でリーダーをするより、教えてくれる奴がこれだけいるしフォローしてくれる奴までいるんだ。お前はツイてる」


 カインさん、そういう問題じゃないと思うよ?


「まぁ結婚式までの間よ。せっかくだからリーダーって物を体験しときなさい」


「デヌ、悪いけどリエラのフォローを頼む」


「しかしだなカイン、俺はお前の強さの秘密が知りたいのであって小娘の子守りは……」


「違うぜデヌ。このパーティー、俺なんざおよびもつかねぇ怪物が潜んでやがる。それに気付けてないお前じゃ強くはなれないぜ」


「なにっ!? このパーティー内にか!? ……よかろう。しばらくリエラの保護を任されよう」


 この魔族さんはホント上から目線の口調だよね。見下してるのか高慢なのか……多分両方なんだろうな。アルセさん、矯正しちゃっていいですよ。いや、この場合はネフティアや葛餅先生に矯正して貰った方がいいかな。


「ミルクティさんも、よろしくね?」


「ええ。それより、早く魔弾がタダ同然で手に入る教会に案内して! 夢の魔銃使いになれるチャンスなのよ!」


 この魔法世界で銃使いを目指すだけあってあの教会の噂は嚥唾えんずいものだったようです。

 狙われているぞロリデッス神父~。


「あの、私は手伝い、する」


 そっと手を上げ自己主張。ケトルさんが珍しく自分の考えを告げていた。


「姫?」


「一応、私も王族だから、結婚式に向けて何をするべきなのか勉強したい」


「ああ、そういえば。いいかしらリエラ?」


「え? はい、良いんじゃないでしょうか」


「では私も、姫の護衛なのでそちらの手伝いに回ります」


 ふむ、チグサとケトルがパーティー離脱と。どうせルルリカもネッテの傍から離れないだろうし、カインとネッテは離脱するの確定だし……まぁ、アカネやミルクティ、デヌさんがいるから大丈夫かな。


「んじゃ、リエラ、ついでにミルクティさんも一緒に来てくれ」


「え? 私も?」


「折角だから宿の取り方覚えといてくれ」


 どうやらカインとしてもリエラ一人に教えるのは不安だったようです。頑張れリエラ。

 カイン達が去ると、残った面々で冒険者ギルドへ向う。

 ミルクティがいないので教会に行くのは後回しになったようです。




「え? ネフティアたちコルッカに向ったの!?」


「はい、一足違いで……おしょらく向こうの冒険者ギルドで連絡がいくとは思いましゅが、合流にはしばりゃくかかると思いまちゅよ」


 ネッテの対応をしてくれたのはカルエさん。

 舌ったらずというか、時折噛みまくる癖は未だ治らず、むしろ開き直ったように赤い顔をしながら普通にしゃべってくる。めちゃくちゃ可愛らしい。保護対象の女性です。


 ファンが多いようで、厳ついおっさんたちがはらはらしながら見守ってるのがまたなんとも……

 うん、多少成長したのかつっかえることはなくなったみたいで、こういう店員だと思えばむしろカルエさんの魅力はギルドの係員だからこそ発揮されているような気がして来たぞ?

 しかし、ネフティアたちと合流するのはもうしばらくかかるのか。

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