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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その二人が結婚することを僕は知りたくもなかった
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その魔物が、王族入りするかもしれないことを僕らは知りたくもなかった

 コイントス王国、客室。

 僕らは本日もここに軟禁されています。

 いや、別に軟禁という訳じゃないんだけど、なんていうの、あのアホ王子がバグり過ぎてマリナに一目惚れ、んでもって求愛しまくってるせいで僕らも王国に足止めくらっちゃってるんです。

 ルルリカの無罪についてもいろいろと事後処理があるらしく、ネッテとルルリカもアンサー王子たちと忙しく掛けずり回っているので、その間中暇になった僕らはこうして王宮でゆったりするしかなかったのです。


 暇だったのでカイン達が何度か洞窟に潜ったりはしてたけど、さすがにネッテ達がいないので浅い階層で軽く戦闘するだけに留めていた。

 その過程で、仲間が二人増えました。

 誰かって?


「アカネさん。これは知ってますか? 私の世界では有名なんですけどモラルコンプレックスクエスト。略してモラクエ!」


「あーいや、私んとこだとドラクレがそれかなぁ……」


 うん、やっぱり二人のいた異世界は僕とは違うようですドラでクエでしたからね、有名なゲーム。

 あ、ちなみにアカネと知識の相違確認&共有を行っているのはこの世界に異世界転生したらしいミルクティさん。

 もともと武闘会で僕らに目を付けていたらしい。チグサが異世界人だと分かっていたからお知り合いになりたかったんだと。その過程でアカネも異世界人だと気付いてこうしてパーティーに強引に入り込んでいるのが現状です。


 もう一人は、はい、想像付きますね。ええ、デヌさんです。魔族のお兄さんは今、カインと一緒に訓練所で兵士に混じって模擬戦中。

 カインとの戦いで自分の力が井の中の蛙だと気付かされた彼はカインに頼みこんでパーティーに入った。強くなりたいんだってさ。

 魔族ってニンゲン側になるのかな? それとも魔物側? このアンブロシア食べさせたらどうなるんでしょうか?


「それにしても……長いですね」


 僕の隣にはリエラ、その横にパルティが座り、二人の目の前ではアルセが踊っています。

 彼女の手には不折れのネギ。


「ふむ。我もそろそろ待つのに飽きてきたぞ。我が主よ、そろそろ行動を……おい猫っ、寄るな汚れるっ」


 暇を持て余しているルグス。その裾に身を寄せて擦り寄るレーニャ。その口からは謎の尻尾が……まだ動いてるっ!? あれってもしかしてチュー華まん?


「あ、帰って来ましたね」


 チグサとケトルは相変わらず二人でゆったりと過ごしている。

 こうしてみると姉と妹って感じがする二人だな。全く似てないけど。

 そんな二人がドアに視線を向ける。

 ドアからタイミング良く現れたのは、ネッテとルルリカ。


「お待たせカイン。っていないわね。まぁいいわ。リエラ、ようやく話が付いたわ。ルルリカの話は直ぐに終わったんだけどマリナの方がちょっとね」


 そう告げるネッテの背後から、ルクルに連れられたマリナ。既に魂が抜け出ている気がするのはどういうことだろう?


「結果だけ言うとね……あのバカ王子、ルルリカに今後一切かかわらないかわりにマリナとの結婚を認めてほしいとか言って来たのよ。いろいろと交渉したんだけど、マリナは魔物だしアンサー王子もパーシハル王子も無駄に楽しげに悪ノリしてね。他のマリナーマリナじゃダメだとか言って来るし、ダメならマリナを殺して俺も死ぬとか、ホント、あの人はどうしてああなのかしら」


 ごめんなさい、その一部は僕のせいです。


「そういうわけでぇ。交渉の結果、マリナには婚約者としてこちらに残って貰うことになりました」


 ルルリカがちょっと困った顔で告げる。

 正気か皆さん。マリナは魔物ですよ?

 魔物が王族の仲間入り……良いのかそれで? 正気かコイントス?


「おー」


 気落ちした顔のマリナに駆け寄ったアルセ。気付いたマリナがしゃがみ込んで何か用? といった疑問を浮かべる。

 その頭に、背伸びしたアルセが手を置いて優しく撫でる。


「おーっ」


「とぉーっ」


 よくわかんないけど元気出して? あ、アルセ様ぁっ。みたいなニュアンスだね。

 感極まったようにアルセに抱き付くマリナが泣きだした。


「あの、これって結局不当な結婚強要なんじゃ……」


「それなんだけどね。どうもマリナ、強引な押しに弱いらしくて、自分でランスとの結婚頷いちゃったのよ。ドロップキックしまくっても普通に近づいて来るランスに押し切られた形だけど、あれは正直……」


「キモかったですね」


 もっとオブラートに包もうかルルリカさん。

 なるほど、嫌がりながらも自分を必要としてくるランスロットさんに少なからぬ好意を抱きつつあると。マリナさん、つがい相手はしっかり選ぼう?


「とりあえず二人の相性確認もあるしでしばらくはこの国に留まって貰って皇族の知識を覚えてもらうらしいわ。その状況に合わせて結婚をさせるかどうかアンサー王子たちが決断するらしいの。その間に私とカインは一度マイネフランに戻るわ」


 あれ? コルッカじゃなくてマイネフランに戻るの?

 なにやらまたイベント起こりそうな予感です。

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