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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その武闘大会の優勝者を僕は知りたくなかった
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その下準備を彼らは知らない

「さて、聞いたわね?」


 先程ネッテとカインで国王陛下に直訴しにいったのだけど、どうにも王様は王子をまだ庇いたい様子。ルルリカは罪人にする予定だが、罪を暴かねばならないとのことで、裁判が行われるらしい。

 ルルリカの罪状をすべて洗い出すのに数日かかるという事で、ルルリカの裁判は一週間後、それまではネッテの言もあり、国から絶対に出ないという条件の元ルルリカは仮釈放されました。


 今はネッテの横でべったりくっついているけど、その表情は限りなく青い。

 今更ながら自分の置かれた状況に気付けたのかな?

 悪女が悪行暴かれただけなのに、何その悲劇のヒロインです全開モードは?


「猶予は一週間。この間にルルリカの罪に付いて無罪を勝ち取るわ」


 バンってと机を叩くネッテ。

 今居るのは、とある宿屋の一室だ。大広間を貸し切り臨時の作戦会議室にしている。

 議題は、本当はルルリカが悪いんだけど、なんかランスや王様がムカツクのでルルリカの罪全部無効化して王子と国に償わせてしまおう作戦をどう遂行するか。であった。


「あの、さすがに犯罪を起こしているのに無罪というのは……」


「その犯罪というのが間違いなのよ。まず言えるのはルルリカが行ったのはあざとく男に近寄り相手の女性への心象を悪くすることだけよ。違うルルリカ?」


「え。えーっとぉ……」


 目を泳がせるルルリカさん。うん、これ黒ですね。間違いなく悪どいことやりまくってる顔してます。


「これは貴女の弁護よ。正直に何をしたか、最初からしっかりと説明しなさい。今、ここで!」


 まずは誰を落とし誰を蹴落としたのか、それを把握するところから始めるそうです。

 それからしばらく、ルルリカの話を纏めると、もはや言い逃れなど無理。としか言いようの無い程に真っ黒でした。

 特に途中からは相手の女性を無理矢理貶めるために自分が酷い目に会いまくるとかアホの子としか思えない行動すらしているし、二階からの螺旋階段を全部背中から落下とかいう恐ろしい自爆までして令嬢を貶めた手腕はもはや開いた口が塞がりません。全段後頭部打ちとか……死ぬわ!


 唯一彼女がマシだと思えたのは、相手の令嬢を誰かに頼んでレイプ。なんてことを一度もしていないことだろう。自分がされかけたことはあっても男達により助けられてるし、ただし、そんなことを誰かに依頼した男爵令嬢は豚侯爵の嫁にされたとか悲しい事実はあるが、それも相手の男がやった事らしいのでルルリカのせいかと言われるとうーんと唸ってしまう。


 しっかしこのルルリカさん、この数年で随分とドロドロした修羅場を体験しまくっているものだ。

 そして何度も男をとっかえひっかえしながらも未だに処女だというどうでもいい事実も発覚しました。

 ネッテに貰って下さいとか頬を染めて爆弾発言していたけど、当のネッテは100年後にねという絶対に貰う気ない台詞で煙に巻いてました。


「はぁ。思ったよりマズい状況ね」


「でも聞いた感じだと婚約解消が殆どですよね。令嬢さんたちが協力してくれればなんとかなりませんかね?」


 いや、パルティさん、それは無謀を通り越してるよ。

 折角の婚約がルルリカのせいでご破算になったうえにその相手の男とくっつくことなくポイ捨てするような女に誰が同情して助けてくれるっていうのさ。ネッテみたいに奇特な人が他にいると思うなよ!


「とにかく、裁判までの一週間で証拠と屁理屈を考え抜くわよ。あの王様にぐうの音も出ない無罪突きつけてランスロットの罪を全国民に暴露してやるわ!」


 ネッテさん。ランスロットよっぽど嫌いになったんだね。

 まぁ、あんな醜態さらしまくってればそりゃぁねぇ……

 元々悪道勇者だっけ? そいつからも狙われていたらしいし、なんか似たような雰囲気をランスさんに感じちゃったのかな? ちょっと攻撃的過ぎる気もしないでもないですが、それだけ怒り心頭ってところだね。……まさか、ネッテまでバグってないよね?


「ルルリカは今まで落とした男と婚約破棄された女性の居場所を思い出して、アカネさんとパルティさんでその男女の居場所を纏めてくれる? 後で私が直接出向くわ。その間カインたちは街の聞き込み、チグサさんたちは悪いけれどギルドの聞き込みをしてくれる?」


「裏ギルドの方ですね。私の得意分野」


「姫、さすがにそういうところには行きませんよ」


 動き出したアルセ護衛騎士団。

 魔物たち? 話聞くとか無理だからネッテさんと御留守番です。

 ネッテは皆に指示を出し終えると、ふぅっと息を吐き瞑想を始める。

 考えを落ちつかせて自分がやること、これから成すべきこと。足りないモノは無いか。相手の出して来る奥の手を、自分の持てる手札を、考慮しながら組み立て始める。


 邪魔しちゃ悪いね。んじゃあアルセ、僕らもちょっとだけ、手伝ってみようか?

 魔物達を引き連れ、緑の御姫様もまた、ルルリカ無罪のために動き出すのだった。

 僕としては無罪にする必要無いとは思うんだけどね。さすがに王族侮辱罪で死刑とかはきつすぎる気がするんだよ、うん。更生しそうなのなら機会はあげないとね? ネッテの間女狙いというのが更生かどうかは別として。

明日からネフティアをサブ? ヒロインとして三人称でワンバー救出作戦を展開予定。

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