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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二部 第一話 それが偶然の一致だと彼らは知らない
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その狼モドキの名を僕は知らない

 結果、僕らは今、絶賛狼モドキに襲われていた。

 この狼モドキの正式名を僕は知らない。

 けど、狼モドキではないようだ。


 ただ、狼に似てるけど何かが違うその姿はどうにも違和感を拭えない。

 本当に、何かが違うのだ。狼でも犬でもない。確かに似てるのにどこかが違う。

 どこが違うかと言われても僕には……豚鼻? ああ、確かに鼻が豚っぽい。ついでに尻尾が猫っぽい。


 犬のようにも見えるがやはり違う彼らは、群れの中にリーダーを持ち、複数で狩りをする狩猟種族であり、強い獲物の周囲で吠えたり逃げたりすることで相手を疲れさせてから一気に食い殺す戦法を取ったり、弱い獲物には一気に襲い掛かって倒したりすることもある。


 あのキルベアですら出会えば狩られるとされているので、この狼モドキの脅威度は折り紙つきだ。

 そんな狼モドキに、ついにリエラが狙われた。

 僕は必死に叫ぶが気付かれない。


 どうすればいいのか迷ってる暇もなかった。

 僕は即座に走り寄り、リエラを突き飛ばすと同時にアルセソードを奪い取り、狼モドキに斬りつける。

 普通にリエラが剣を振れば避けられただろうが、剣が独りでに宙に浮いて攻撃して来たことに驚いた狼モドキは、狼狽したままアルセソードをその身に受け入れた。


 結果、一刀のもとに両断される。

 うわっ、これ、もしかして僕初めて魔物倒したんじゃないかな?

 アルセソードは切れ味鋭く、生物を切ったはずなのに豆腐を切ったような何とも感触の無い殺害だった。


 余りの鋭さに相手も切られたことが分からず自身の身体から下半身の感覚が消え去り戸惑っていたほどだ。

 どうやら切られたことに気付けなくてショック死しなかったようで、上半身だけが不気味に動いていた。

 ただ、出血多量ですぐに力尽きたようだ。

 恐い。恐すぎるよ!?


 肩で息をして、初めての殺害に戸惑っていると、リエラが近づいてきた。

 僕からアルセソードを入手して、小さく呟くように「ありがと」と言ってきた。

 ちょっと嬉しかった。

 そして思い出す。そういえばヘルピングペッカー相手に倒してた。

 この撃破は僕の二度目の殺害だ。前回も手応え無さ過ぎたんで完全に忘れてた。


 それにしても敵の数が多い。チーム単位で行動してるので仲間を呼ばれると五匹くらいのチーム単位で援軍に駆け付けてくる。しかも多い時には周囲に居るチーム全てがよってくるので五十匹くらいの援軍とか、前回もそれをなんとか殲滅させることはできたけど、皆の疲労が激しい。


 今回も、もう十五体近い狼モドキを倒しているのだが、未だに後からやってくる。

 いい加減バズ・オークの息が上がって来ているし、カインも肩で息を始めている。

 増援が凄まじい。何匹いるんだろうか?


「クソ、数が多過ぎる。皆、走り抜けるぞ、遅れるな!」


 これ以上は危険と察したカインは強行突破して川に向う事にしたようだ。

 移動しながら敵を切り裂いていく。

 元の町の方へ戻らないのは川へ向った方が近いからだ。

 ちなみに言えば、すでに累計100匹くらいの狼モドキを倒している。

 とはいえ、歩きで向うにはかなり遠いことに大差はない。


 元の町に戻るよりは少し近いといった程度なので、むしろ山みたいに高低差がある場所を探して逃げた方がいい。

 ある程度の高さがあれば犬なら登って来ないしね。

 残念ながらこいつは狼モドキで可能性としては低いかもだけど、有効そうな手ではある。


 といっても、意思疎通出来ないから僕は何も提案できないんだけどね。

 僕は結局何も伝えることなくアルセを抱えてカインたちの後を追う事にした。

 殿はバズ・オークが務めてくれるので、リエラが遅れないように気を付けながらアルセを抱える僕は、時折足を取られてこけそうになるリエラを支えたりしてフォローする。

 地味に役立ってますよ。誰にも気づいて貰えてないけどね! あ、リエラは気付いてるか。




「ふぅ。なんとか逃げ切れたか……」


 カインが眼下に見える無数の狼モドキを眺めながら冷や汗を流す。

 少しでも足場のある場所だと追って来られる可能性もあったが、杞憂だったようだ。

 狼モドキたちは上空を見上げて吼えるだけて近づいて来ようとはしていない。


「帰りには居なくなってると良いんだけど、とりあえず、少し休憩したら行動を再開しましょ」


 ネッテも随分走っていたので息荒く、杖を支えに立っている。

 そんな二人は余程疲れているのか周囲への警戒を怠っていた。


「ブヒッ」


 そして、唯一荒い息を吐きながらも警戒をしていたバズ・オークが何かを感じ取る。

 僕はそれに気付いてリエラを無理矢理立たせた。

 何、疲れてるんだけど? と言った顔で見えない僕を睨むリエラだったが、抱えたアルセの腕でバズ・オークを差してやると何かに気付いたらしい。


「バズ・オークさん、何かあったんですか?」


 聞いたリエラに答えず、バズ・オークはシミターを構える。

 それに気付いたカインとネッテも慌てて戦闘態勢を取った。


「クソッ、やっぱ休めないのか!?」


「敵? どこから来るの!?」


 警戒態勢に入った二人に隠れるようにリエラが移動する。

 バズ・オークはしばらく鼻をヒクつかせていたが、やがて警戒を解いた。


「ブヒ」


 と鼻を鳴らす。意味が分からない。

 ただ、危険が去ったと言いたいのだろう。

 一体どんな危険があったのかは全く分からないけど。

 とはいえ、全員から力が抜けたのは、仕方ないことだと思う。

 ???(狼モドキ)

  クラス:

 ・全体は犬っぽく、体色は狼っぽく、鼻が豚っぽく、尻尾が猫っぽい獣。

  群れの中にリーダーを持ち、複数で狩りをする狩猟種族。熊すらも狩るという。


※ ご指摘がありましたとおり、今回の戦闘で倒した相手は二度目でした。というわけで以下の文を追加しております。


 そして思い出す。そういえばヘルピングペッカー相手に倒してた。

 この撃破は僕の二度目の殺害だ。前回も手応え無さ過ぎたんで完全に忘れてた。

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