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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その武闘大会の優勝者を僕は知りたくなかった
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その怒れる勇者の怒りが神の怒りを買いそうなことを、彼女は知らない

「それでは、昼休憩に入りまーす。第三試合ベストエイト戦は一時間後になりますのでご注意ください」


 ウサミミお姉さんの声が会場に響く。

 かなり一斉に動きだす観客たち、その殆どが会場を後にする。

 おそらく近くの食堂やら酒場、露天に向って食事を取るのだろう。


 僕らはどうもコイントス王が開く昼食会に出席させられそうな予感です。

 コイントス王からの従者がネッテに懇願している。

 ネッテとしてはカイン達と酒場に行きたいようだが、今の時間はどこも込んでるだろ。というカインの言葉に、不承不承、国王陛下の御誘いを了承していた。


 勇者様パーティーは呼ばれて無いので適当な露店を回るそうだ。

 既に敗北した手塚が楽しげに露店回ろうぜとか三人を引っ張っていた。

 まぁ、あの四人はどうでもいいか。


 会食に参加した僕らは、正味気まずい思いをしています。

 何せ空気がすこぶる悪い。

 自分の思惑を悉く潰され意識まで奪われたランスロットはマリナを忌々しげに睨みつけているし、チグサは人を殺しそうな眼で虚空を見つめチクショウチクショウと壊れたラジオみたいに呟き続けている。


 ルルリカは食事に毒でも入ってないか戦々恐々しているし、ネッテはネッテでランスを不審な目でチラ見している。

 カインはそんなネッテの横で困った顔をしているが、ランスロットがネッテに視線を向けると守るように睨みつけている。

 正直和やかな会食などほぼ遠い重圧感漂う食事風景となりました。

 リエラの胃が心配だ。さっきも状態回復弾受けてたのにもう胃を押さえてるし。


 そんな中、アルセが一人奮闘していた。

 ネギソードを一本取り出しソレを振るってはどっかの魔法少女の変身シーンを真似ている。

 気に入ったのアルセ? そうか、変身、アルセも変身したいんだね!?


 よしわかった。今度魔法少女っぽい服を買いに行こう。

 アルセならきっと似合うよ。うん。あんな魔法少女なんて眼じゃないくらいに主役級のコスプレ衣装を揃えてやるぜぃ!


「るー」


「とー」


「むぅ、そう言われてもな」


 ふと、声が聞こえたので見てみれば、ルグスの前にマリナとルクルがいる。その足元でレーニャがカレーバーを両手で持って食べている。ちょこんと座った姿がまた猫好きにはたまらないんだろうな。でも、あの辺りの絨毯、カレー塗れか。頑張れメイドさん。


 多分、少し前にマリナの暴走で背骨を蹴り折った事を謝っているようだ。

 ルクルがカレーを勧めているのでアレがお詫びの印かな? いや、ルグス喰えないからね。


「しかし、これからのベストエイト戦、ますます混沌化してるわね」


 僕の横に陣取っていたアカネが対戦表を見ながら呟く。

 対戦は?

 第一試合アルセ VS 聖龍華。第二試合カイン VS デヌ。第三試合ランスロット VS ドラッツァ、第四試合コーデリア VS マキエ・オオイデ。


 この八人が闘うのだけど……うん。第一試合から混沌と化してます。

 片や勇者を倒した大穴、緑の御姫様。片や大鎌振りまわす腕力自慢の怪力少女。多分再生能力持ち。今回は剣での参戦らしいから、アルセにとってはそれが救いかな?


 第二試合もまた混沌としている。何せネッテとの婚約解消が掛かっているネッテ専用勇者と魔族の試合なのだ。まさに魔王と勇者の前哨戦。

 驚異的なその力からしてこのデヌって選手も曲者である。


 第三試合のランスは正直ここで負けてほしい。相手の竜人種の闘いは僕直接見てないからわかんないや。

 第四試合は多分大井手さんの勝ちかなぁ。だってコーデリアさんマジで弱そうだし。

 ただ、なんだろうな、コーデリアさん、ほのかにリエラ臭が漂ってるんだよね。追い詰め過ぎるとヤバいというかなんというか……うん、やっぱりこの八人混沌とし過ぎてる。


「最悪、カインさんが負けた後の事も考えた方がよさそうね」


 そうみたいだね。とりあえずランスロットはバグり確定だろうし、ネッテとの仲はカインに頑張って貰おう。ネッテもさすがにこんな事でカインとの婚約解消はしたくないはずだし。

 さぁて、アレだね。俺のこの手がバグって唸る。ってところだね。


「ところで、アルセは何をしてるのかしら?」


 アレは魔法少女の変身のまねです。いや、伝わることはないだろうけどさ。


「なんか、可愛らしい踊りね。なんだか魔法少女の変身シーンの真似みたい」


 正確に言い当てやがった!? アカネさん、もしかしてエスパーか!?


「ところで、チグサがなんだかバグりかけてる気がするんだけど、アレ、だいぶヤバいわよ。ついさっきお告げが来たわ。このままだと抹消する可能性もあるって。いざとなったら迷わずバグを使えって。それで無効化すればよし、さらに手に負えなくなったら……」


 小声で告げて来るアカネ。その内容はあまりに物騒なものだった。チグサさん、なんか君の知らないところで大ピンチな話が持ち上がってますよ?

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