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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その武闘大会の優勝者を僕は知りたくなかった
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その転生者の存在をまだ誰も知らない

「つかよぉ。お前さんも勇者なのか?」


「ん? ああ、あんたメリエといた……」


 カイン達の会話が一区切りついたと見るや、勇者手塚が声を掛けて来る。


「俺の場合はネッテ専用勇者だ。あんたは?」


「あたし? あーっと、なんだ? とりあえず異世界の勇者って感じでいいのか?」


 頭を掻きながら呟く手塚さん。って異世界なんだ!? おおお、異世界人? まさかの現役高校生が勇者やっちゃってますパターン!? ずばり、魔王はどこに居ますか? もしかしてゴブりん? あいつなら葛餅様が倒しましたぜ?


「とりあえずよ。この大会の優勝賞品にどんな氷も溶かすっつー魔道具があるらしいんだわ。あたしらの狙いはそれでね。あんたが勇者で譲れない何かのために大会でてんのかもだけど、そういう理由で負けてやるわけにはいかないぜ。あたしの場合チート過ぎるから対戦なんてすべきじゃねぇけど、背に腹は代えられねェ。悪りぃが絶対にあたしにゃ勝てないだろうから、今回は諦めてくれ」


 ようは勝利宣言ですか? そうですか。カイン、絶対負けんな! 異世界チートだと? ふざけんな! 僕は、僕はチートじゃなくバグ貰ったんだぞ! こんな不公平許せるか? いいや許せるわけがない。カイン、やってよし! 全力でこの勇者様をぶっ倒して優勝し、高みからほぅれこいつを恵んでやろう、自称チート勇者様ぁ? と嫌みったらしく言ってやるんだ!


「異世界勇者……ふぅん」


 ふいに、会話に混ざってくる見知らぬ人物。薄ピンク色のポニーテールの女性が興味深そうに近づいて来た。

 シャギーっていうのかな。内巻き気味の揉みあげが頬に掛かる少女は、年の頃リエラと同じくらい。まだあどけなさの残る可愛らしい顔に小悪魔みたいな人を見定める視線を携えやって来た。


「なんだあんたは?」


「初めまして勇者手塚至宝さん。私はミルクティ。この大会に出場してる田舎村の村娘ですよ。んふふ。そっかそっか。地球育ち・・・・の勇者様ですか。これはまた負ける訳には行きませんね。クスクス」


 もったいぶった言葉を吐きながらそのまま試合会場へと向って行くミルクティ。入れ違うように溜息を吐くメリエが戻って来た。


「おうメリエ。お疲れ」


「あら、皆さんお揃いで。敗北してしまったわ。あのアンディとかいう暗殺者まがいの男、かなり厄介ですよカイン様」


 そうか、メリエは負けたのか。となると、Bブロックの二回戦でカインと闘うのはアンディか。


「そ、そうか……まぁいいや。試合終わったし観客席行こうぜ? アルセ、ルグス、ルクル、お前らも戻るぞ~」


 手塚も話は済んだようで、パーティーの一人、龍華さんと合流して、緊張気味のもう一人のフォローに向って行った。メリエも彼女たちに着いて行ってしまった。

 アレだけカイン様~とか言ってたのに……ほぼ無視とか。女って怖い。


 王族の観覧席横にやって来たカイン達と入れ違うようにランス王子が席を立ち控室へと向って行く。


「カインだったな。決勝戦、貴様が勝ちあがってくることを楽しみにしているぞ?」


 だから、それフラグですからっ。

 ランス王子は自信満々に去っていく。

 ソレを流し見ながら僕らは椅子に座る。

 丁度ミルクティの試合が終わったところのようだ。負けないとか言っただけあって、第二試合に歩を進めたらしい。


 宮廷魔術師見習いのアルッツェオを瞬殺した。という理由でなんか凄い盛り上がっていた。

 それなりに実力のある人物だったのか、それとも倒し方が派手だったのか。

 とりあえず、ミルクティは観客に数百名規模のファンがついた。これは次の試合から心強い応援者となるのだろう。


「Bブロック第四試合。アキオ VS デヌ!」


 次に現れたのはアキオ君。なんとあのリエラの一撃を喰らって空を何度も飛んでいた世紀末覇者風の格好をした男だ。

 そうか、あの時の彼は本選出場を果たしていたんだっけか。

 完全な人数合わせの雑魚だったな。うん。勝敗はすでに決している。


 対する敵はデヌ。名前も普通に謎だ。ローブを深く被っており全身が分からない謎な人物。性別すら分からないとなればもはや意味不明の妖しい人物としか言いようがない。

 魔王が身分隠して人間の強さ調査に来ましたとか言われてもしっくり来るぞ?


 開始、の合図で「ヒャッハー」とナイフを取り出すアキオ。そのナイフを舌で舐めながら相手を威嚇する。

 デヌはそれを悠然と佇んで見つめていた。

 視界すら分からないフードの中なので完全に僕の予想だけどね。多分、相手がどう動くか見てるはず。


「いいかァ、用意はいいかぁオメェ? おれ様ちょー強ぇぞぉ? フヒャハハハハッ! このナイフはァ、毒が塗ってあるんだぜぇ?」


 おい、それ既に自滅してんじゃん?


「つーのは嘘だぁ! ヒャハハハハ!? 驚いたかァ? さすがに自滅するようなアホじゃねぇよバァカ。この名言が好きなんだよぉ! 俺様がなァ!! ヒーハーッ!」


 デヌさんはアホな挑発に全く乗ることなくただただ珍しい者を見つめるようにアキオを見ていた。

 度し難い馬鹿を初めて見たのだろう。まるで慈愛に満ちた聖母のような気配になった。

 きっと、見目が綺麗な女性だったら、あらあらうふふ。と台詞を吐いていただろう。


「そーら行くぜぇ? 汚物は消毒どぅあぁぁぁぁぁっ」


 そう告げて突撃するアキオ。跳びかかったアキオの姿は、どう見ても七つの傷の男に一撃喰らってピプーする寸前のモブキャラだった。

 デヌは煩わしい。とでも言うように拳を突き上げる。


「あぼぁ!?」


 見事なアッパーカットを喰らったアキオが弧を描き、場外へと吹っ飛んで行った。

 はい、大どんでん返しなく順当な勝利でした、と。

クイズ、優勝者はだ~れだ?


 第三問、Cブロックからのベスト8入りは誰と誰?


 正解者の中から抽選で10名の方にクーフの胸型マウスパッドが当り……ません!

 正解による報償などは一切ございませんので良ければ暇つぶしにどうぞ。


 Cブロック編


  第一試合 フォン・エヴァンス VS ランス


 フォン・エヴァンス:王国騎士団長の息子。ランスロットとは弟弟子に当る。王国騎士団長の弟子。

 ランスロット:今回カインを巻き込んだ気違い王子。元々は普通の世間知らず王族だったが、ルルリカに裏切られたことと、身近なバグのせいで多少精神がおかしくなった様子。


  第二試合 ベルティーガ VS マリナ


 ベルティーガ:元王国騎士団突撃隊長。その体術はかなり高く、ランスロットも彼に師事していたこともある。今回はランスを勝たせるために二回戦進出を狙う。

 マリナ:アルセ姫護衛騎士団に入団したばかりの新人偽人。とにかく事あるごとにドロップキックをかます少女型の魔物。その一撃は鋼鉄の船すら圧し砕くという。


  第三試合 ドラッツェ VS ケフィン


 ドラッツェ:龍人族の戦士。龍人の地位向上のため、自分たちの武力の高さを見せつけるためだけに参加。

 ケフィン:獣人の戦士。最近活気づいて来た人間領との交渉を有利に進めるため、ここで勝利をすることにした。


  第四試合 ロッツガルド VS フランネ


 ロッツガルド:コイントス侯爵家子飼いの伯爵家の息子。実力を買われてランスロットの当て馬にされている。ランスの第三試合でワザと敗北する腹積もりの貴族。

 フランネ:ドラゴンライダーに転職した女性。槍の扱いが上手く、自分の実力確認のために大会に登録。運良く本戦まで出場したが、飛龍に騎乗できない大会では実力の半分も出せないでいる。

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