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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第六部 第一話 その武闘大会の予選を勝ち上がったアイツを僕は知らない
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その賢者の目的を僕は知らない

「カイン、予選突破おめでとう」


 控室前で、ネッテがカインとイチャラブしてます。

 うう、半ば知り合いだからリア充爆死しろとか言いにくい。

 パルティさん、こちらも対抗しよう!


 と、振り返った僕だったが、パルティはマリナにおめでとうを告げていた。

 アンブロシア食べた後からちょっと知恵が付いて来たみたいで、マリナもパルティの言葉に素直に照れている。照れ隠しとばかりにパルティにドロップキックを行ったので慌ててパルティが避けてたけど。


「ああっ、いた! ネッテ王女、ようやく見つけました!」


「へ?」


 カインを労うネッテとソレにくっつきカインを威嚇するルルリカのもとへ、兵士さんが一人やってくる。


「コイントス国王陛下が観客席で待っております隣の特等席を取ってあるのでお知り合い共々来てほしいと!」


「あら? そんな事は聞いていないけれど?」


「ぜひとも来ていただきたいそうです。何でも他の国に不仲説を流されたくないとのことで、あなた様ならば分かって下さると言っておられました」


 直球で隠すことなく来たな。

 要するに、元々仲の良いマイネフラン国の王女が自分の隣で観戦してないとなると、周辺国からマイネフランとの国交が芳しくないのではないかと勘繰られ、下手をすれば侵略の良い言い訳にされかねないのだそうだ。別にここを狙うようなモノ好きな国があるとも思えないらしいけど、不確定要素は一つでも多く潰して奥に限る。


 王族としても誘われた以上はそちらに行かねば相手国を下に見たという無礼になるだろうし、ネッテはしぶしぶ移動を行う事にしたらしい。

 溜息を吐きながらカイン共々移動を始めていた。


「パルティさん、悪いんだけどジェーンさんに伝えてくれる?」


「あ、はい。じゃあ行ってきます」


 パルティがアカネに伝えに行きました。

 僕はそのままカイン達に付いて特等席とやらに向う。

 一度場所を覚えてカイン達から抜けると、パルティとアカネのいる座席へと戻った。


「変わったのは良いけど、何処に行けばいいのかしら?」


 レーニャと共に観戦席を立ったアカネが丁度パルティに案内されるところだった。

 歓声が上がる。どうやらこれから第三バトルロイヤルが始まるらしい。


「あれ? もう第二試合終わったんですか?」


「ええ。一瞬だったわね。やっぱりアレは凶悪だわ。まさに一人勝ちだったわね」


「えっと、誰が勝ち残ったんですか?」


「ルグスとケトルね。もう一人は……」


 不意に、アカネは僕を見る。

 なぜか意地の悪い笑みを浮かべて「ひ・み・つ」と告げた。

 そんな顔で言われると普通に気になるんですけど。

 誰なの? ねぇ、誰なの?


 ネッテの居る玉座横の場所まで来る間、僕はなんとか教えて貰おうとしたのだけれど、アカネさんは意地が悪かった。目に刺激的だったとか、意味が分かりませんよ?

 結局、僕たちは第二試合の結果を知ることなく、次の第三試合を観戦する事になった。


 第三バトルロイヤルに参戦しているのはチグサとルクルとリエラ。

 三人もいるなら全員合格して貰いたいところですね。

 開始直後から三人は互いに背中を向けて敵と対峙する。


 やっぱりチグサが一番抜きんでてるね。

 次に襲って来る敵をバッタバッタ倒しているのがルクル。

 皿をブーメランみたいに飛ばす技が地味に活躍中。

 接近した相手には顔面カレーライスの刑。物凄い被害が……


 リエラは折角覚えた双牙斬が威力が高すぎて使えないという悲しい事実もあり、三人の中ではかなり劣って見える。

 選手たちもそれが分かるのだろう。リエラを真っ先に落とそうとばかりに集中し始める。


「そろそろ……か」


 リエラ達に群がる選手たちを見据え、そいつはようやく動き出した。

 赤い髪のツインテール。勝気な瞳と銀色に輝く聖騎士とすら思える豪奢な鎧。

 引き抜いた剣は見覚えも無いような神聖そうな剣だ。


 彼女の横にいるのはメリエ。なぜか仲良さそうに二人で参加していたらしい。

 彼女たちの周りに敵はいない。

 最初こそ数十という敵が群がっていたのに、少し目を放した隙に全滅していたのだ。


「手加減する方が難しいってどうなんだろうな? 強くなりすぎンのも考えもんだ」


「良いではないですか、強いに越したことはないでしょう。特に、ここで優勝するためにも」


「だな。ンじゃ、行くぜ? 悪りなお前ら。敗者復活がんばってくれや。当りどころ悪くて死んでも知らねェから全力で守れよ!」


 その女は、大胆不敵にそう宣言すると、剣先を地面に向けて真上に持ち上げ、一気に突き降ろす。

 地面に刃が突き立った瞬間だった。

 彼女の真下を中心にして大地が膨れ上がる。


「ぶっ飛びやがれ!」


 次の瞬間、会場が破裂した。

 観戦席を守るように張られた物理障壁が心許ない程に軋みを上げる。

 土ぼこりが会場を隠し、しばらく。

 開いた口の塞がらない司会者がようやく声を張り上げる。


「あ、え、えっと、勝者確定っ エントリーナンバー2328、2330番、3923番本選出場権獲得ぅー!」


 赤髪の女とメリエ、そして範囲外に唯一逃れられたらしいルクルが本選に出場しました。

 リエラとチグサ? 巻き添え喰らって地面に倒れてますが、何か? ……これはさすがに予想外だよ。っていうか何故そこにメリエが居るんだよ!?

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