その予選バトルロイヤルの結果を僕は知らない
翌日、僕らは再びコロシアムに向っていた。
今日は予選でバトルロイヤル方式で32名まで減らすらしい。
今回8回バトルロイヤルを行い、1回で4名ごと選出、で、残った32名が明日の大会でコロシアムで戦うという方式らしい。
あ、違う。三名づつで最後に敗者復活戦で六人。シード選手が二人すでに確定済みだってさ。
くじ引きで決めるらしいので僕とアカネとパルティ、そしてネッテとルルリカだけが見学です。
アルセはさっきルグスと一緒に控室の方に行った。ルグスとレーニャを引き連れ皆の応援らしい。
どうでもいいけどさ、やっぱりアレンの奴間に合わなかったみたいだね。可哀想に。
客席に座って待っていると、ようやくバトルロイヤルが始まった。
第一試合に出場するのはマリナとカインだ。
知り合いだからか直ぐ横に連れだっている。
参加者の数は物凄く多い。一度見つけたカイン達が既に人ゴミに紛れて見分けられなくなってます。
「それでは予選バトルロイヤルを始めます! この戦いで本選へ出場できる枠は3人。敗北した方もまだ諦めないでっ。8戦目の後に敗者復活戦を行います! 敗者復活戦では6名が本選に出場できますので、ここで負けたからと帰ることなく観戦に回って下さい。まだチャンスがありますよー!」
ウサミミの司会者がノリノリで告げる。
あれ、多分獣人だ。ウサミミカチューシャじゃなくて本物のウサミミです。もふもふしてもいいですか?
とりあえず脳内シャッター切っとこう。
バトルロイヤル開始と共に、無数の選手たちが戦闘を開始する。
実力者のいる場所は特に人が密集しており、よく人が空を飛ぶ姿が見える。
腕力自慢のオーガみたいな男が凄い、千切っては投げ千切っては投げを繰り返している。
カインは近づいて来た男と闘ってるな。おもにその横にいるマリナをか弱い女性と見てさっさと引きずり降ろそうとする輩が多いようで、彼女に群がる敵をカインが倒している。といった感じだ。
出来る男達はカインが並大抵の実力ではないと気付いて遠巻きに眺めている。
あ、巨体の怪力自慢が崩れた。
どうやら背後から優男に切りつけられたらしい。
体勢を崩すと男達に群がられて沈んで行った。
目立ち過ぎて倒されたか、可哀想に。
そして優男は初老のおっさんに真正面から切りかかられて敗北していた。
有力者とて無数の敵から狙われれば直ぐに詰む。
始めは体力を温存し、数が減ってから敵を倒して行く戦法、あるいは自分のチート的力を存分に発揮して最後まで闘い抜く強敵。そういうのが生き残っていく中で、名のありそうな人たちがどんどん敗北している。
カインとマリナは普通に余裕ありだね。
カインが疲れ出したところでマリナが動き出し、近づいて来た男にドロップキック。
船の装甲すら破壊する蹴りの一撃で、背後の数人を纏めて吹き飛ばしていた。
一度ソレを見た男達は恐れをなしてマリナを放置。カインに殺到し始める。
これはマリナは本選に向わせてもう一人だけでも追い落としておこう。という逃げの戦法かな?
カインに群がってきた男達に。カインが軽く舌打ちしていた。
マリナもフォローをするが、皆がマリナを警戒してバラけているので一体一体を倒す事になってしまい、カインのフォローをし切れていない。
こいつら、こういう時は無駄にチームワークが良いね。
「グラビティバインド!」
それは、まさに唐突だった。
突如、カイン周辺の選手たちが地面に倒れ伏す。
何が起こったのか理解できない会場の人々。
気が付けば、バトルロイヤルの中で立っている人物は二人だけだった。
マリナと、黒髪の少女。
まるで魔法少女みたいなキラキラしたピンク系の衣装を身にまとったソバカス付きの女性。
うん、まぁ、モブ顔だね。でもなんかそれなりに強そうな魔法少女だ。
というか、この世界にもいるのか魔法少女?
「クッソ……がぁ! ネッテの前で無様見せられるかッ」
倒れた選手の中から、カインが気力で立ち上がる。
その瞬間、ウサミミの司会者が手を上げた。
「勝者確定ーっ! エントリーナンバー0002番、2329番、3922番本選出場権獲得ぅー!」
えーっと、確かカインは王子様が強制的に参加させたからナンバーは0002番だっけ?
で、マリナは3922番、あそこの魔法少女が2329番か。
勝利宣言が終わると、一部の参加者が立ち上がる。
なんだ今の? みたいな話が聞こえていることからして意識はあるけど動けなかったってところかな?
「カイン戻ってくるわよね。私ちょっと行ってくるわ」
「あ、お待ちくださいお姉様、私もっ」
なんか嬉しそうなネッテが観客席から駆け去っていった。
パルティが私達も行きませんか? ということで、僕もカインのもとへ行くことにした。
いつの間にか戻って来たレーニャと、アカネが場所を取っておいてくれるらしい。
そして僕が戻って来た時には第二回バトルロイヤルが終わってしまっていた。
誰が勝利したのかはアカネが笑うばかりで教えてくれなかった。
なんか、目が痛い戦場だったそうです。なんぞソレ?




