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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第六部 第一話 その武闘大会の予選を勝ち上がったアイツを僕は知らない
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その王族の企みを僕は知りたくなかった

 コイントス城。随分とまぁ御立派な城ですね。

 中世ヨーロッパに在りそうな豪奢な城だ。

 城門前には二人の兵士が立っており、侵入者を値踏みしている。


 基本、城に向って来るのは貴族連中らしい。

 冒険者が来ることも無ければ一般人などもってのほか。

 使用人やら兵士は城内に寝所があるため城から出てくる事も無く、内勤兵士が外勤と交代時に出入りするくらいである。


 当然、僕らも止められました。

 長い槍を持った護衛二人が槍を交差させるようにして通せんぼしてくる。彼らに、ネッテが身分証明書を提示する。

 というか、ソレをする前に顔を見た兵士達が慌てて槍を元に戻していた。


 ネッテの顔見て通すということは、顔パスですね。わかります。

 でも、ネッテだからといってその知り合いを素通りさせるというのはどうだろう?

 ネッテもソレに気付いたようで、兵士二人にダメ出ししてました。

 王城前で女性に正座させられ説教を喰らう二人の兵士。行き交う国民が何事かと振り向いてくるが、当のネッテは呆れた顔でお説教。


 いや、正論を吐いてる訳だし、顔見知りの王族だからと簡単に通していては兵士の存在意義がないのは確かなんだよね。

 とりあえずどちらかを残して連絡役を王城に向わせるとか、いろいろとやれることがあるらしい。

 僕はそこまで考える必要無いんじゃないかなって思うけど、守られる側の王族としては肝の冷える怠慢になるのだろう。


 兵士たちも他国とはいえ王族からダメ出しされているので顔面蒼白で聞き入っている。

 可哀想に。

 この後、ネッテがクレーマーじゃないかとかいうあらぬ噂が流れるのだが、これはコイントス王が血相変えて揉み消したそうだ。


 説教が終わり、僕らは王城へと入る。

 入口から先は床がかなり汚れている。

 足跡が付きまくっているようだ。ただ、人間だけじゃなく蹄の跡も見られる。

 騎士団が討伐隊を結成する際この辺りを馬に乗ったまま歩くのだろう。

 大隊が通れる広さの廊下を抜けると、一つ目の門があり、そこから先が居住区になるらしい。


 扉の左側にはおそらく厩舎へ向う道だろう。

 こっちに馬の蹄跡が無数に付いている。

 右側は兵士宿舎とかかな? ぱたぱたとメイドさんとかが出入りしているので使用人室とかもそっち側に在るのかもしれない。


 扉を越えて居住区へ。

 真っ直ぐに向う道は赤い絨毯が敷かれ、淡い炎を揺らめかす燭台が僕らを照らしている。

 日の光が届かないのでアルセも発光していて明るいけどね。むしろアルセが一番明るいです。


 しばらく行くと十字路。

 右から現れたメイドさんが僕らに気付いてお辞儀をする。

 動かないところを見ると、僕らが通り過ぎるまでこのままお辞儀しているらしい。

 仕事の邪魔になりそうなのでネッテにせかされ皆がそそくさと通り過ぎる。


 僕らを見送り、右から左へと消えたメイドさん、しばらく歩いてから振り返ると、丁度シーツの束を持って戻ってきていた。

 どうやら左方面にはそういう系の在庫が存在しているようだ。


「マイネフランとはまた構造が違うな」


「ええ。基本内部に在る部屋は一緒だけど、場所は違うみたい。マイネフランの風呂は一階だけど、ここは確か最上階に在るはずよ。屋上だから雨の日は入れないらしいけど」


 何故そんな作りにしちゃったの? いや、満天の星空眺めながら露天風呂したかったんだろうけどさ。どう見ても設計ミスだよね?


「そこの扉を開けば一直線に謁見の間になるわ」


「フィグナートとも構造が違いますねケトル姫」


「ん。大臣の部屋とかはどこかな?」


「謁見の間の奥が彼らの住居よ。王族はそのさらに上の階。安全面を考慮して大臣たちも謁見の間の奥に部屋を設置しているらしいのよ」


 いろいろ考えるんだなぁ。

 防犯面は特に念入りに、いろんな工夫をしているらしい。

 なのにこの謁見の間に入るのには兵士が二人守っているだけだった。

 ハルバードを携えた兵士二人はじろりと僕らを見ただけで黙って通してしまい、ここでもネッテにお小言を貰っていたのは黙っておくよ。


 謁見の間は今は謁見者が誰もいないらしく、直ぐに許可が下りた。

 むしろ国王としてもルルリカの召喚は首を長くして待っていたのだから不許可にするわけがない。

 ただ、問題はこの問題を隠しておきたいマイネフラン側の、王女様が御同行していらっしゃったことだろうか?


「やぁ、久しぶりだなネッテ・ルン・マイネフラン姫」


 謁見の間へとやって来て、玉座前にやって来たネッテに国王陛下が気さくに声を出す。


「あら、傅く前にお声をかけて、よろしかったので?」


「我が国とそなたの国の仲だ、今更だろうよ。それよりも此度は我が国のバカ息子が迷惑をかけたようで。申し訳なかった。本来ならば謝るべきでもないのだろうが、国王ではなく一人の父親として、嫁に来ようとしていた義娘に謝罪の言葉くらい吐かせてはくれんかね?」


「それは……困りましたね。既に婚約を破棄された以上、私は義理でも娘でもないのですけど」


 国王の言葉に不快そうに眉根を寄せるネッテ。実はこれ、腹の探り合いが行われているらしい。

 ネッテにその気はないが、国王からすれば婚約破棄自体を撤回してネッテを嫁に貰いマイネフランとの国交にシコリを残したくない。ということだろう。

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