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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第六部 第一話 その武闘大会の予選を勝ち上がったアイツを僕は知らない
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その魔物の雑魚さを僕は知りたくなかった

 翌日、学校に休学を伝えた僕たちは一路コイントスへと向けて歩きだしていた。

 先頭はカインとネッテ。そのネッテの腕に絡みついて鼻歌混じりのルルリカ。

 アカネとリエラに挟まれる形でアルセと手を繋ぐ僕と、その背後から付いて来るルクルとマリナ、アルセの背後にはルグスが浮遊しており、リエラの後ろには僕とアルセを見つめながら歩くパルティ。

 最後にチグサとケトルが歩いている。


 チグサは沈痛な面持ちでなにごとか考えているようで、それをケトルが心配そうに見守っている。

 彼女、リエラとの戦いが終わってからよくこんな顔をするようになってしまったのだ。

 やっぱりリエラに負けたのが余程悔しかったのかな?

 あのあと模擬戦とか言ってリエラと闘ったら普通に勝っちゃって戸惑ってたし。


 明鏡止水のこと聞いて、なんか理不尽な怒りを瞳に讃えてたし、リエラに本気出して! とか何度か言ってたのがちょっと怖い。

 やっぱり覚醒状態のリエラともう一度闘って勝ちたいようだ。

 勇者としてリエラに負けたままなのが悔しいのかな?


「ルルリカ、一応聞いておくけど、コイントスでは何人の男性を落としたの?」


「えーっと、覚えてないですけどぉ、幼馴染に寝取られた男でしょぉ。商人の倅にぃ、その親にぃ、貴族の三男坊とか八男坊とか王族の血を引く妾の子を自称する人もいましたよぉ。あと、宰相の息子さんとかしつこかったかなぁ。そういえば奴隷商人のおじさんとも付き合いましたよぉ。しきりに身体を求めて来るんでぇ、犯される前に手を切りましたけどぉ。その時に断罪してくれたのが騎士団の団長さんでぇ、その伝手で騎士団全員落としてぇ、あと知り合いの魔法師団の団長とかぁ、あー、そういえば近衛騎士団の若輩の人が一番カッコ良かったですねかぇ」


 ようするに、ろくでもない女であることは分かりました。

 ルルリカさんギルティ。

 呆れた顔のネッテとカイン。その顔が一瞬にして引き締まる。

 どうやら魔物が現れたようだ。


 さすがに街道沿いだといっても魔物が侵入して来ない訳ではない。

 時折知能の低い魔物やら知能は高くても腹をすかせた魔物等が出没し、危険度に応じて冒険者がでばったり騎士団が討伐隊組んだりして駆除している。


 基本馬車等は護衛の冒険者を雇ってこれらを撃破するのだが、稀に冒険者代をケチっている商人等は盗賊や魔物に襲われやすくなる。

 で、今回僕らがぞろぞろ歩いていたせいか、魔物が普通に寄って来たようだ。

 馬車程の動きじゃないから倒せるとでも思ったんだろうか?


 現れたのは二匹のガルーだ。

 見覚えのある魔物を見付けてほっと息を吐く面々。

 ガルー達は何故かやる気でカイン向けて突進してくる。


「無理すんなって」


 突撃して来たガルーを蹴ると、面白いくらいに放物線描いて飛んで行き、地面に激突して痙攣を始める。

 弱っ!?

 ルルリカに体当たりしたガルーだが、ルルリカもダメージを追った様子は無く、痛いですよぉっと反撃のデコピン。

 パシンッと喰らったガルーはそのままコテンと後ろに倒れ、絶命した。


「あの、ガルーって、物凄く弱いですね」


「リエラさんは会うの初めて? 肉体的強度はにっちゃうと同じくらいらしいですよ」


「にっちゃうはまだ脂肪の塊みたいなものだから打撃吸収率が高いですけどぉ、ガルーは直でダメージ受けるから強度的にはにっちゃうより弱いですよぉ。体当たりはその分強いんでにっちゃうと闘うと勝っちゃいますけどね~」


 パルティの言葉にルルリカが口を出す。

 リエラはへぇーと納得しながら周囲を見回す。

 リエラのように周囲を見てみれば、結構な数のガルーが棲息している。

 街道は長閑な平野であり、遠くのガルー達も見えるのだけど、時折森、というか雑木林みたいなところがあって、そこがガルー達の住処となっているようだ。


「アレがブルーエレファ、向こうのはアグリーカバで、グリーンライオス。向こうに見えるのはフラッシュホースかな? で、あそこにいるのがチュー華まんですね」


 カレー型猫に追われているチュー華まんが一匹、必死で逃げているが、あ、捕まった。

 というか、あれレーニャじゃん。

 どこ行ったんだと思ったら、結局あいつも付いて来てたのか。


 もはや人生を諦めたような濁った瞳でぷらーんとカレーニャーの口元で揺れるチュー華まん。可哀想に。狩猟されてしまったらしい。

 得意げなレーニャはそんなチュー華まんをルクルのもとへ連れて行き、褒めて褒めてと擦り寄ってくる。

 ルクルが凄く煩わしそうな顔してる。

 まぁ、カレーがこびり付いて来るから嫌なんだろうね。


 僕らの旅は結構順調に行っているらしい。

 長閑な街道を歩きながら、僕らはゆっくりとコイントスへと向って行くのだった。

 あ、またガルー発見。即殺だったけどね。

 ガルー(再出・簡略化)

  種族:魔獣 クラス:ガルー

 ・そこいらじゅうの平原や森林に生息するカンガルー型の魔物。

  身体能力はほぼ最弱で単体ではにっちゃう以外に勝つことは難しい。産めよ増やせよで大増殖して群れて敵を倒すことがあるが、基本は単体行動をしている。増えすぎると討伐隊が組まれるらしい。

 ドロップアイテム・獣肉、毛皮袋、ガルーの毛皮、母さんのヘソクリ


 ブルーエレファ

  種族:魔象 クラス:マギエレファ

 ・魔力を帯び、魔法を使えるようになった象の一種。

  水属性に秀でた固体であり、水魔法を操る。もっぱら水浴びに使用しているらしい。

  危機に陥るとどこからともなく仲間が現れるため、例え単体であっても討伐は危険。

 ドロップアイテム・象肉、象牙、青い象皮、青い筆箱


 アグリーカバ

  種族:魔獣 クラス:マギカバ

 ・普段はとても温厚な魔獣。少しでも刺激を与えると途端に獰猛に暴れ出す。

  暴れるアグリーカバは象も踏まない。などという諺が生まれる程に、怒り出したアグリーカバからはブルーエレファすら逃げるようだ。

 ドロップアイテム・河馬肉、カバ皮、プリティ尻尾、巨大な糞


 グリーンライオス

  種族:魔竜 クラス:トプス

 ・トリケラトプス型の緑色の魔物。

  草食ではあるが、敵と見定めた相手には頭の角で攻撃してくる。時折吐き出すスラッシュブレスは、触れた相手を切り裂く吐息となるため、冒険者たちもこの魔物はあまり刺激しないようにしている。

 ドロップアイテム・恐竜肉、恐竜の卵、緑色の竜角、足拓


 フラッシュホース

  種族:魔馬 クラス:マギホース

 ・平原を駆ける野生の魔馬の一種。

  夜間走行可能なように光り輝くようになったと言われているが、元々は暗闇の中仲間の群れに戻るために互いに光を放ちあうようになったのが始まりだと言われている。

  光魔法は使って来ないが、危機を察すると全身を強く発光させる。盲目効果もあるが、至近距離で見ると目を潰される。

 ドロップアイテム・輝く馬肉、蹄鉄、馬具、白光の鞍

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