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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第六部 第一話 その武闘大会の予選を勝ち上がったアイツを僕は知らない
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その少女の別行動を僕は知りたくなかった

「のじゃああああああああああああ!?」


 手紙の意味を理解したのじゃ姫が頭を抱えて絶望的な悲鳴を上げた。

 かくなるうえは、とばかりに火打石みたいなのを取り出すのじゃ姫。

 慌ててそれはダメ。と、ネフティアに止められていたが、放せー、放すのじゃーっ。とのじゃ姫が暴れ出す。もはや手がつけられない駄々っ子……ゲフンゲフン。なんとか落ち付かせないと。


「これは、まさかロリコーン紳士が危機に陥ってるってこと?」


「参ったな。今マイネフランに戻るとコイントスに行くまでかなり掛かるぞ?」


 困った顔のカインに、ネフティアが振り向き、グッドマーク。

 私に任せろ。とばかりの彼女のジェスチャーに気圧されるカイン。


「もしかしてお前が行くのかネフティア?」


 こくりと頷くネフティアに、のじゃ姫が泣きべそ掻きながらいいのか? と視線を送る。

 そんなのじゃ姫の肩を叩き、案ずるな。と思いを伝えると、さっそく行こうとばかりに踵を返すネフティア。


「あの、すいません。その依頼受理してください」


「あ、はい」


 すかさずネッテが受付係に伝え、彼女も心得たとばかりに依頼を受理する。


「なら、保護者が必要でしょう。丁度マイネフランに戻るつもりでしたし、戦乙女の花園が責任を持って送り届けましょう」


「あら、良いんですか?」


「ジェーンもお世話になってるみたいだし、ネフティアちゃんたちは私たちが責任を持って向こうに届けるわ」


 モーネットさんが親切過ぎる。

 有難いのでそのまま彼女に委託することにしたらしい。

 ワンバーカイザー救出に向ったロリコーン紳士たちのもとへ向うのは、ネフティアとのじゃ姫だ。ついでににっくんも付いて行くらしい。なんか普通ににっにっ。と自己主張してたので行く気満々なのだろう。


 葛餅も行くのかな? と思ったけど、どうやら葛餅はこの学園に居残るつもりらしい。

 やり残していることがあるから。みたいにプルプル震えていた。

 こうして、コイントス側にカイン、ネッテ、ルルリカ、アカネ、リエラ、僕、アルセ、ルクル、マリナ、ルグス、パルティ、チグサ、ケトル。あとレーニャ。


 ネフティア、のじゃ姫、にっくんが戦乙女の花園のメンバーと共にマイネフランへと向いロリコーン紳士の危篤とやらの様子を見に行く。

 アメリス、レックス、葛餅、にっちゃんはここに残って授業を受ける。と見事に知り合いが三つに分かれました。

 コイントスが多いのはまぁいいとして、そうか、ついにのじゃ姫自ら動くことになったのか。

 できるなら彼女たちのフォローに行きたいけど、僕は二人もいないしなぁ……

 ちらっとそちらを見ると、影兵さんが残り二人のメンバーに指示だしをしている所だった。

 あの三人も三手に別れるのだろうか?


「ネフティアたちはすぐにでも行くつもりだな。行けるかモーネットさん?」


「ええ、報酬さえ貰えれば直ぐにでも。この男がもめなければ……ですが」


 ギロッとアレンを睨みつけるモーネットさん。

 自分に話題が来てうぐっと唸るアレンは、しかし折れるつもりはないとばかりに睨み返す。

 オトシマエはどう付ける気だ? と苛ついた顔を見てモーネットさんも再び戦闘態勢寸前になってしまった。


 はい、冷戦再開です。

 うぉい!?

 再び蒸し返された怒りに、ギルド内が緊迫していく。

 はぁ。と溜息を吐いたアカネがぽん。とマリナの肩を叩いた。


 握った逆の拳から親指だけ出してアレンを指差す。

 アレ、やっちゃってくれる?

 そんな無言の言葉にマリナが助走を付けずにドロップキック。

 突然の攻撃でアレンがくの字に折れ曲がってぐっほと声をあげていた。


 すげぇ、あの一撃喰らって外傷なしだ!?

 戦艦の装甲すら突き破る一撃なのに。

 いや、助走してないから威力が低いのかな?


「痛ってぇな! 何しやがる!」


「男のクセに小さい事をグチグチグチグチ、モーネットがヨイドレの討伐部位渡すっつってんだからそれで納得しなさいよ。あんたのプライドなんてやっすいもの、これ以上ごねるなら蜂の巣にしてガルーに食わせるわよ」


 アカネさんお怒りモード。

 やっぱり戦乙女の花園寄りな彼女はモーネットさんのために怒っているらしい。

 モーネットさんもジェーン。と、ちょっと涙ぐんでいる。


 まぁ、今回の討伐被りは偶然というか、どっかの影兵のせいなわけだし、仕方無かったで終わらせた方がいいんだよね。

 モーネットさんがヨイドレの討伐は譲ると言ってるんだし、貰っておけば後腐れはない。

 あとはアレンのチームにあるAランクハンターとしてのプライドだけだ。


「なら、こう言うのはどうですかぁー?」


 ルルリカが埒が明かないと助け船をだす。

 その顔に悪女な笑みが張り付いているのは彼女の思考回路がまだ悪女系なせいだろう。

 ホント、こいつは根っからの悪人なんだな。


「今回危篤になってるロリコーン紳士さんでしたっけぇ? その依頼をお二方もお受けして、どちらが先にワンバーカイザーさんでしたっけ、救出に向ってたの? をのじゃ姫のもとへ連れて来るか競ってみては? この依頼を先にこなせた方の主張を全面肯定するっていう感じで。そしてネフティアやのじゃ姫が解決してしまったら双方両成敗で主張を取り下げる。いかがでしょう?」


 二人の怒りを煽ってるだけの気もします。

 でも普通に受け入れられるルルリカの主張。彼女の主張が通りやすくなる特殊スキルでも持ってんのかねルルリカは?

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