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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
間幕 その王国やエルフの村で起こったことを僕は知らない
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AE(アナザーエピソード)その変態紳士の物語を僕は知らない6

 闘いは終わりを告げた。

 一度マイネフランの冒険者ギルドへと戻ったロリコーン紳士たちは、コリータにヘイオの無力化に成功した旨を報告していた。

 報告者は話せる変態、ロリデッス神父。

 珍しい来訪者にコリータも少し緊張気味だ。


 何せ相手は徳の高い神父なのだ。仕事サボって寝てばかりのコリータとしては下手に寝ている状況を見られれば説法されかねないと気が気ではないらしい。ギルド内では我が物顔なのに、おどおどとしている姿が珍しいのか、横で別の冒険者を担当していたカルエはコリータのキョドる姿を見てクスリと笑っていた。


 そんな二人を見ながら、バルスとユイアは今回の被害者を見る。

 パティアがこれからどうなるのかは知らない。

 ただ、ギルド前で靴磨きの仕事をしていた貧乏人の娘である彼女にとって、今回のことは転機であったとも言える。


 意図せずモンスターテイマーとなったのだ。

 ヘイオに見染められた事で泣きそうだった彼女が神父さんの説得で納得してしまった時に彼女が光り輝いたのだ。

 何かがある。と気付いた神父さんがついさっきコリータさんから借り受けた魔物図鑑でパティアを見たことで発覚した。

 ただの村人だったのに、なんかクラスチェンジしちゃってるんだけど?


「あの、コリータさん」


「はいユイアさん。なんですか?」


「いえ、そんな簡単にクラスって変わるのかなって」


「まぁ、自動更新はかなり多いわね。他にも国王に認められて兵士から護衛騎士に上がったりとか。正式に変更するのなら転職神殿に向うべきでしょうね。ここからだとコイントス王国が近いかしら? 場所柄を選ぶからこの国には無いけれど」


 転職神殿では今まで体験した人生経験から自分に適正を持った職業を得ることが出来る。

 ただし、適正があろうとも、一定のステータスになっていなければステータス制限というのに引っ掛かってクラスチェンジ出来ないらしい。


「パティアちゃんについてはギルドで責任もって面倒見るわ。結構忙しいから受付にしてみたり、荷運び手伝ってもらったりで日銭をあげる予定。ヘイオ君が勝手に彼女を手助けするから大抵のことは任せられるみたいね」


 この人、絶対コキ使って自分だけサボるつもりだ。

 思っても口には出来ないユイアとバルスだった。


「あら? 誰かと思ったらロリコーン紳士? 何でこんな場所に?」


 不意に、声がかけられた。

 誰かと思って皆が振り向くと、見知った尖った耳の女が一人。

 手に買い物かごを持っているのを察するに、何かしらの用事でこちらに顔を出した後、食材の買い付けに行くつもりなのだろう。


「お久しぶりね、バルス、ユイア」


「これはこれはエンリカさん」


 まずはロリデッス神父のご挨拶。

 そしてバルスたちが口々に挨拶を始める。

 目の前に現れたエンリカは普通に割り込んでコリータの受付に来ると、セルヴァティア周辺の仕事を探しだす。


「うん。本日はエアリーピクシーの討伐でも受けようかしら」


 と、言いながら顔を上げ、ふと考え込む。


「それで、ロリコーン紳士たちは何故ここに? コルッカに行ったんじゃなかったの?」


「あーそれなんですが……」


 バルスがおずおずと切り出す。

 理由を聞くほどに、上機嫌だった顔が少しづつ怪訝に顰められて行く。


「……と、いうわけでして、その……」


「ええ。よくわかったわ。まさか私の友人がそんな事をしてるなんて……」


 衝撃の事実を知った彼女は、折角受けようとしていた依頼を取り下げる。

 やっぱりやめるわ。と押し返された書類を見てコリータはまたか。といった顔をした。

 時々彼女はこうして受ける直前に止めることがあるのだ。


 何故かといえば、他に優先する事ができたり、自分の財布と相談したりしてからもう一度考えるからだ。

 何度か同じことをされたコリータはもはや我関せずといった様子だ。

 差し戻しされた依頼書を受け取り、いそいそとしまいだす。


「そうね。プリカがそんな事をしているのなら、止めなきゃいけないわね」


 一人呟き決定する。


「よかったら、プリカからワンバーカイザー助けるの、私もご一緒していい?」


「エンリカさんが!? え、ええ。それは嬉しい限りだけど……いいんですか?」


「ええ。今は妊娠してないし、丁度良い期間だわ。バズにはコリータさんが伝えてくれるだろうし。いつ行くの?」


「あ。仕事は終わったのでこれから向かう予定です。さすがに今からだと問題もあるので宿で泊ってからになりますかね。明日からエルフの集落へ向う予定です」


「了解。じゃあ宿をとりましょ。ユイアさん達の冒険、聞かせてね?」


「はい、いいですけど、エンリカさんも今まで何かしてたんですか?」


「殆ど子作りね。沢山産んだわよ。ほんと……沢山。エヘヘ」


 はにかむように笑うエルフ少女。

 見た目が綺麗なために思わず顔を赤らめるバルスだったが、何故だろう? 他の面々が言いしれぬ不安を覚えてしまうのは?

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