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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 そのバグの怒りが齎した結果を彼らは知りたくなかった
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その戦隊の強さを彼女は知りたくなかった

 簡単に言えば、リエラ一人で相手できる存在じゃなかった。

 マイナーグリーンを倒そうとするリエラだったが、他の六体が邪魔して近づけない。

 特に助っ人シルバーがマイナーグリーンを庇うため。ダメージが通らないのだ。


 双牙斬も一度目を失敗したせいか見切られ始め、七対一という圧倒的数の差で敗北必至になっていた。

 さすがにこれは危険と思いフォローに向う僕だったんだけど、ブラックに向うと何故がカレーライスが飛んで来るようになったんだよね。

 ちょっとルクル、邪魔しないでよ。


 いや、流れ弾のカレーがブルーに当ったりしてイエローが彼を羨ましそうに見てるけどさ。

 御蔭で二人攻撃から居なくなったけどリエラが相手するのが五人になっただけで殆ど変わらない。

 まさに大ピンチです。おっさん、何処居るか知らないけどこれマズくない?


「スタンラッシュ!」


 なんとか必殺スキルを繰り出し、おいろけピンクに斬りかかる。

 しかしマイナーグリーンが珍しく横から蹴りを繰り出して来る。


「あぶなっ!?」


 スキルをキャンセルしてなんとか剣で受け止めるが、衝撃で吹き飛ばされる。

 その隙に一か所へと集まって行く迷宮戦隊レインボーセブン。

 レッドを中央にして集まった面々が何かを支えるように腰を落とす。


 光が集まり彼らの手に巨大な砲塔が圧し掛かった。

 レッドだけが腰に手をやり、リエラを見ている。

 砲口をリエラに向け、レッドが砲塔に飛び乗ると、まるで私物のように我が物顔で指図する。


 やれ! とでも言うように指先をリエラに向けたその刹那、光が集まる。

 来る! 思った瞬間、僕はリエラをタックルで吹っ飛ばすようにしながら抱き付く。

 きゃっと聞こえたリエラの声が、物凄い轟音に掻き消された。


 リエラの目の前で光の奔流が迸る。

 僕もリエラを押し倒すようにして倒れ込んだあと、振り向けば、赤黒い光が壁に当って消滅している所だった。

 これは喰らったら即死ですわ。


 ああ、こんな強力な一撃みたらリエラが……

 案の定、青い顔で震えだすリエラ。

 攻撃を終えたレインボーセブンが砲塔を消し去り再び七人へと別れる。


「無理、無理です。私には無理……」


 すでにリエラが戦意喪失してるのですが……これ、既に敗北確定ですか?

 相手もそれを察したのだろう。

 ゆっくりと強者の歩みを始めるレインボーセブン。


 震えるリエラの精神は既に限界だ。青い顔で胃を押さえながら吐き気を押さえる。

 近づく迷宮戦隊。先程の一撃で完全に動けなくなったリエラは恐怖に怯えるだけだ。

 だから、それは意外と早く訪れた。


 突如、真上からナイフが飛んで来る。

 慌てて避けるマイナーグリーン。しかし避けた先に来たもう一つのナイフを避け切れず、頭蓋骨に突き刺さった。

 いきなり撃破か。さすがおっさん。いい仕事してます。

 が、彼のフォローはここまで。一匹倒してあの必殺は使えなくなったけど、脅威はまだまだ大量だ。


 とにかくリエラがまだ使えない以上、このまま放置というわけにはいかない。

 僕は咄嗟にブラックに走り寄る。

 バグソナーで僕の位置を確認したルクルからカレーライスが飛んで来る。

 さっと避けてツンデレブラックの顔にカレーライスをブチ当てる。次においろけピンクに飛びかかる。


 再び飛んできたカレーライスを避けると、おいろけピンクがカレー塗れに。

 よし、タゲが移動した。

 隠れ潜んでいたルクルに気付いたブラックとピンク、ついでにイエローが彼女に殺到する。

 驚くルクルが逃げ出すが、これでリエラの敵はレッドとブルーとシルバーのみ。


 やれない相手じゃないぞリエラ。とにかく一体づつ確実に潰そう。

 僕はリエラの元に戻ると彼女を立ち上がらせる。

 震えるリエラは僕に気付くが、僕がリエラに剣を持たせるのに気付いて絶望の顔をさらに色濃くする。


「な、何してんですか、私、もう……」


 限界近いリエラの首を持ち、ルクルを追いかける三人と、倒れたマイナーグリーンを見せる。

 そして、目の前に見せる三体の敵。

 少し考え、でも、お膳立てされたことに気付けたのだろう。

 リエラの瞳に勝機が宿る。


「や、やってみます!」


 震えながらも、両手で剣を握りして、迫りくるオレがレッドを剣でいなし、蹴りつけて来た助っ人シルバーを避ける。

 そしてパンチを繰り出してきたクールブルーの懐に潜り込む。


「双牙斬!」


 一撃必殺の攻撃で、クールブルーを撃破した。

 飛び込むようにクールブルーを押し倒し、そのまま前へと転がり逃げる。

 追ってきたオレがレッドのパンチを引き寄せ、相手の力を使って地面に転がすと、その喉元に一撃。オレがレッドが弛緩するように倒れると、それを見てしまったリエラの喉から胃液が逆流した。


「うぷっ」


 思わず吐いたのは人型を倒したからか? それともストレスの限界か。

 迫る助っ人シルバーを見ていなかったリエラはシルバーの蹴りに反応できていなかった。

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