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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 そのバグの怒りが齎した結果を彼らは知りたくなかった
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その技術を彼女が扱えるのかどうかを僕は知らない

 数日後、というか明後日には試合が始まる段階になりました。

 リエラもそろそろ最終調整としてさらに苛烈な闘いを実地体験しております。

 技術的に彼らの思う段階まではまだ上がってないみたいだけど、そんじょそこらの冒険者なら対処可能な感じには仕上がったッぽい。


 見てる感じ未だに全員に滅多打ちされるからなんとも言えないけど。

 でも最後のモーネットさんの授業でカインやアレンに反撃の関節技とか金的とか習ってるからストレスはそれ程でも……いえ。嘘付きました。回復魔弾の他に二日目からは状態回復魔法弾も常用しております。


 どうも慢性胃炎になってるらしい。可哀想に。幾ら回復してもストレスのせいか直ぐ胃炎になるようだ。

 なんでだろうね? もしかして、すでに身体が胃炎であることが通常とかになってるとか?

 そりゃ状態異常回復効かないよね?


「っし。そろそろ俺も技教えるとしようか! 速度特化で相手を斬る技だ。覚えときゃかなり使えるぜ!」


 本日が教師として最後の授業だと、アレンが剣を水平に構える。


「とりあえず動くなよリエラ。下手に動くと斬り殺しちまうから……よっ!」


 言葉を言い終えると同時に地面を蹴りつけるアレン。

 次の瞬間、リエラの視界から彼が消え去った。

 驚くリエラは咄嗟に周囲に視線を走らせる。

 動くなと言われたので必死に動かないようにしているらしい。


 アレンとの対戦中に何度も指示を受け、その逆の行動をした結果回復魔弾を何度も受けるハメになった彼女からすれば、確かにある意味成長ではある。

 まるでパブロフの犬だったけど。


 残像を残すかのように無数に現れては消えるアレン。

 剣閃が幾つも走る。

 速度特化のこの技はカインの千進突牙斬程の威力ではないが、相手に幻覚の自分を見せるというスキル特性からすれば、むしろこっちの方が使いやすく、効果的であるともいえる。


 顔のすぐ前を、グリープすれすれを。髪の毛を一本切り裂き剣が通過する。アームガードにキンと音がなる。

 アレンが出現した場所とは別の場所に飛んで来る斬撃。

 例えアレンの出現した場所を特定して反撃したとしても、その幻影のある場所に彼はすでに居らず、別の場所からの斬撃でダメージを受けることとなる。


「っと、これが幻影斬華って奴だ」


 それからしばらく、アレンにより幻影斬華の練習を行い、ゴードンの番になる。

 ゴードンも軽く打ち合いを行った後、自分の必殺を彼女に教えることにした。


「こいつはお前さんでも放てるだろう奥の手だ。剣折れ矢尽き、相手に斬りかかられた時のとっときだな。タイミング逃すと指切断か腕断裂するから気を付けろ」


 無茶苦茶だった。

 簡単に言えば真剣白刃取りである。

 ただし、まず斬りかかってきた剣を指先で剣の腹を押さえて横に受け流し、威力を殺した剣を指二つと親指で摘む。

 まずこの段階でゴードンさんしか出来ないと思います。


 さらに切っ先を腕力に任せて引き寄せ相手から剣を奪い取り、逆に相手に突き刺し殺すという奥の手でした。

 だから、それ出来るのゴードンさんだけだから。

 仕方ないから僕の知ってる白刃取りをリエラに伝授しておこう。後で補講ですよリエラさん。


 次にカインからスキルを教わるリエラ。本日教わるのはステータスブーストと音速突破。

 って、それって教わって使えるようなものなの?

 いや、カイン、こう、ふわっとやってぶわってな感じだ。とか言われても分からないからさ。

 リエラも苦笑いだ。絶対分かるか。と思っている顔をしている。


「最後に、私から教えるスキルは……そうですね。雷魔法付与が使えるそうですし、こんなのはどうでしょう?」


 それはある意味一番リエラに適していそうで、一番リエラに縁遠いドS系必殺技でした。

 ライジング・アッパーで敵をカチ上げて、落下するまでの間にとにかく連撃を浴びせまくる凶悪な必殺だ。


「雷鳥瞬獄殺というのはどうでしょう?」


 今、適当に創ったねモーネットさん。

 おそらく本来は別の魔法を使う技なのだろう。

 雷魔法で雷鳥だから、多分鳳凰瞬獄殺とかそんな感じの技なのだろう。


 斬撃の牢獄で殺すとか、まさに相手の反撃を許さないドS技です。

 これで男共は瞬殺です。とアレンを被検体として撃破したモーネットさんが頬に血を付けて微笑んでいるのが印象的でした。


 男に容赦ないねモーネットさん。

 ちなみに、ゴードンが被検体にされていない理由はただ一つ。彼が貴族様だというだけだ。

 いくらゴードンが構わないといっても彼がダンデライオン家の元当主だというのは周知の事実なので下手にこういうことには巻き込めないのだ。


 で……結局、リエラは全てのスキルを覚えることが出来なかった。

 努力したけど、彼女にはまだ早すぎたようだ。

 新必殺技は諦めた方が良さそうである。


「じゃあ、明日は一日、英雄迷宮に潜って来なさい。明後日のために一人であそこを攻略してくる。それが最終課題よ」


 ネッテの言葉に青くなるリエラが胃を押さえる。

 明日は実地訓練か。頑張れリエラ。

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