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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 そのダンジョンで起きた悲劇を僕は知らない
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その女性の思いを僕は知らない

 はい、異世界でダンジョン探索中の存在エラーです。

 ただいまアルセとパルティという両手に花状態で探索しております。

 気のせいかな? さっきの階段下向きだった気がするんだけど。


 結構この階層探したけど下へ向う階段しか見当たらなかったんだよね。

 もちろん別の場所に上に向う階段があるかもだけど、一端降りて別の階段から上がって行くタイプの可能性もあるので下の階段で一階分降りることにした。


「アルセと手を繋いでるのはいいんですけど、何故私まで?」


 憤然としているパルティの手を握っております。

 放っといたら僕がどこにいるか不安だと、彼女が自ら握ってくれました。

 なんでって? パルティに対してラッキースケベを起こしてしまわないようにとパルティさんがわざわざやってくれている行為です。


 ちなみに、既に戦闘終了後に僕とぶつかること四回。そのうち二回は胸が柔らかかったです。

 一回などおでこ同士をぶつけて二人してのたうちまわったりもした。キスならともかくこれは痛すぎる。

 二度目は味わいたくも無いヘッドバットでした。

 んで、決定的だったのは僕を探して手探りしていたパルティさんがイケナイ場所をむぎゅっと掴んだのがきっかけでした。


 何を触ったのか理解できないパルティさんは何度か触った後、一気に顔を赤らめ僕にグーパン。

 良い右持ってましたよ。ええ。何で僕が殴られたのか知りませんけどねっ!

 ソレを見てたアルセが何故か僕にグーパンチをし始めたのでこうしてアルセの右手を繋いで封じてます。

 手を放すと再び僕にグーパンチしてくるんだ。酷いよアルセ。しかもなんでキャッキャと笑ってるの?


「それにしても……壁が凄いわね」


 ダンジョン内の壁は水で出来た壁に変化していた。

 目視では分かりづらいけど壁に突っ込んだら水なので直ぐ分かるし、水と空気の境界がなんとなくわかるので壁かどうかは直ぐに判断は付く。

 でも、その壁から魔物が飛び出て来るのが嫌らしい。


 特に多いのが目出度い鯛。ほぼ半分の頻度で潜鯛船長がくっついている。

 次に多いのがサメザメ。なんか常に涙を流してるサメが水の壁から飛び出してくるのだ。

 パルティの索敵の御蔭でなんとか命拾いしたけど、この階層は命がいくつあっても足りなさそうだ。


 どんなに周囲を警戒していても壁から出現されればバックアタックだけじゃなく側面攻撃になって僕だけが大ピンチであります。

 アルセは蔦で防備を固められるしパルティは素早く動いて闘える。

 だから、僕だけ無防備に歩きながら敵の襲撃に怯えないといけないのである。

 もちろん、姿が見えないので攻撃される心配はない。

 でも、パルティやアルセを狙った魔物の流れ弾みたいな攻撃が僕にとっての致命傷になりかねないのだ。戦々恐々であります。


「敵だわ。周囲の警戒しておいて!」


 目の前にはのっそりと歩く亀が一匹。

 図鑑を見ればカメカメカー。

 甲羅が甕になっている亀であり顔立ちはどことなくカラスを彷彿とさせる変な亀である。


 パルティが先手必勝と一撃加えようとするが、即座に甕の中に身を隠すカメカメカー。

 これは完全に防御型の魔物だね。魔法が使えれば何とかなるんだろうけど、どうしよう?


「ラ・グ」


 パルティが魔法を唱える。

 雷撃魔法は……ああ、ダメだ。甲羅に弾かれてる。

 って、コラアルセ!

 アルセが無防備にカメカメカーに歩み寄ると、てーい。とばかりに甲羅を裏返す。

 そしておーっとばかりにカメカメカーの身体を回し始めた。

 ひ、酷い。内部に引っ込んだカメカメカーが遠心力に耐えきれなかったのか身体を出してじたばたとし始める。


「チャンス! アルセちゃん、そのまま回して!」


 ショートソードを取りだした彼女は、タンっとステップ踏んで飛び上がると、回転するカメカメカーの中央部へとショートソードを突き刺した。

 落下速度と合わさりカメカメカーの腹へとふかぶか突き刺さる。


「やった! クリティカルヒット!」


 カメカメカーの死亡を確認し、嬉しげにはしゃぐパルティ。頬に血が付いてるのは指摘しないでおくべきでしょうか?

 カメカメカーをポシェットに詰め込んだ僕は、武器の血糊を拭うパルティを待って再び歩きだす。


「それにしても……階段ありませんね」


 幻想的な風景を見つめながらパルティがぽつりと呟く。

 場所的にはガラスの張られていない水族館にいるようなモノだ。

 水の壁の中には時折魚が泳いでいたりする。


 イワシイワシの群れが遠くに見える。

 アレは初めて会った時は焦った。

 なにせイワシイワシのイワシとは、いわしたる鰯という意味らしいのだ。


 群れで壁から壁に突撃する鰯たちは群れで行動するため、強者であろうとも彼らの突撃を受ければ一気に体力を持っていかれて死に至る。

 幸いこの近くには存在してないが、下手に近づくと反応してくるので厄介な魔物たちである。

 おそらくこのカイヘイ洞窟内でもかなりの危険な魔物に認定されてるのではないだろうか?


 サメザメ

  種族:魔魚 クラス:サメ

 ・常に涙を流し続けるサメ。当然のように水空両用。

 ドロップアイテム・サメザメティアーズ、鮫肉、鮫歯、涙の理由


 カメカメカー

  種族:魔カメ クラス:ツボタートル

 ・甲羅が甕になっている亀であり顔立ちはどことなくカラスを彷彿とさせる変な亀。

  甕に身を隠すと魔法を弾くようになる。お腹部分が非常にもろい。

 ドロップアイテム・甕、亀肉、赤いハチマキ、カビの生えたピザ


 イワシイワシ

  種族:魔魚 クラス:鰯

 ・鰯型の魔物。大抵群れで泳いでいる海も空も泳ぐ魚。

  一匹一匹は大したことないが、小さなダメージを数千単位で相手に与える大軍の魔物であるためベテラン冒険者でも油断すると殺される。

 ドロップアイテム・鰯、神聖なる頭

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