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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 そのダンジョンで起きた悲劇を僕は知らない
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そのカレーたちの共演を僕は知りたくなかった

「よぉ、ちゃんと来たな」


 次の休日、リエラたちはジーン王子やオーギュストの待つカイヘイ洞窟前にやってきた。

 カインやネッテ、アカネもいるが、メリエさんだけは居ない。

 彼女が今どこで何をしているのかは謎である。


「兄さん、そちらの方々と仲がいいですね」


「あ? ああ。まぁな」


 やや言葉を濁したジーン。何かに気付かれたくないらしいけど、僕にはバレバレです。

 今回葛餅には絶対にリエラから離れないようにアルセを通じてお願いしてます。

 頼むよ葛餅。君が頼りだ!


 今回旅に同行した面々はカイン、ネッテ、リエラ、アルセ、のじゃ姫、ネフティア、ルグス、にっくん、レーニャ、パルティ、レックス、チグサ、ケトル、ジーン、オーギュスト、アンディ、リアッティである。ルルリカさんには今回の話は説明すら誰からも無かったと思われます。留守番ですね。

 どうでもいいけどアニキじゃなくて弟の方だったのね。アンディだよアンディ。本当にどうでもいいけど思い出したんだ。


 しっかし、さすがにこのメンツは多過ぎる気がするな。

 カインたちなら楽勝そうだし、この洞窟にこのメンツは戦力過多でございます。

 あ、のじゃ姫がガルー召喚しやがった。どうやら良い経験知稼ぎになると踏んでの召喚らしい。


「んじゃ、入りましょうや」


 アンディに促され、僕らは全員一塊りに洞窟へと足を踏み入れる。

 ひんやりした空気。

 一歩入れば洞窟に繋がっているらしく、青く光る洞窟がその姿を露わした。


「へぇ、懐かしいわねカイヘイ洞窟」


「そういやネッテは昔ここ入ったんだっけ? 気を付けることは?」


「そうね。魔物自体は魚系と偽人系が入り混じっているわ。あと簡易の罠が幾つかあるわね。それと、初見殺しのおと……」


「敵です!」


 パルティの言葉に全員が戦闘態勢に移り変わる。

 現れたのはセーラー服を来た少女。青い髪のロングストレートで強気な眉毛と勝気な瞳。

 そして手に持っているのは皿に盛られたカレーライス。

 そう、カレーライスだ。ほっかほかで湯気立ってます。

 そんな食べ物を掌に乗せて運んでいる。


「偽人、クルー・ク・ルーよ!」


 ネッテの言葉に全員気を引き締める。

 また変わった魔物でてきたな。

 というか、可愛い。普通に仲間に引き入れたいですよ?


「れーにゃーっ」


 レーニャが普通に楽しげに鳴きだしクルー・ク・ルーへと走り寄って行く。

 いや、敵だよ相手は。気を付けないと一撃くら……

 レーニャはクルー・ク・ルーに擦り寄ると、その足元にまとわりつき身を擦り寄せる。


 普通の生物であればただ嫌悪感を滲ませるだろうが、クルー・ク・ルーは気にしていない。

 そしてレーニャはこちらを振り向いて威嚇する。

 フシャーッって、レーニャが裏切った!!?


「へぇ、魔物にしては可愛いな」


 カレー猫にまとわりつかれて苦笑するクルー・ク・ルーにオーギュストが辿りつく。

 下卑た笑みを見せる彼に、クルー・ク・ルーは遠慮なしに攻撃を始める。

 無防備な顔向けてカレー大盛り皿を思い切りオーギュストにぶつけた。


 べちゃり。まさにパイ投げみたいな惨状に……

 そして数秒。後退さるクルー・ク・ルーがオーギュストから距離を取った時だった。

 ズルリと皿が落下する。

 ウコンエキス塗れのオーギュストは呆然とその場に突っ立ったままになっていた。


 そんなオーギュストに好機! とばかりにどこからともなく取り出す大盛りカレー。

 クルー・ク・ルーはカレーを出すと……って!?

 何その能力? ポシェットでも持ってるの!?


「て。テメェ、俺は王ぞぶ……っ」


 振り被り、投げた!!

 再起動したオーギュストが叫んだのだけど、そこへ再びカレー直撃。

 あーあ。凄い事に。


 ぼたりと落下して割れる皿。

 その後を追ってカレールーとご飯の混ざり合ったモノがどちゃりと落下する。

 って、アレ白米付きカレー!? 欲しい。そのドロップアイテム欲しいです!

 アルセさん、あの子、あの子が欲しい!


「おー?」


 あの子じゃわからん。相談しよう。みたいなこといってんじゃないよ!?

 花一匁かよ!

 ああもう、アルセテイムする気ゼロですね。わかります。


 なんでですかアルセさん。カレーニャーはよくてクルー・ク・ルーはなぜダメなんですか!?

 可愛いのに。いえ、アルセには敵わないよ? 敵わないけどさ! 欲しいんだよ。あのカレーライスが食べたいんだよ!!

 日本料理が、インドから伝わり日本で派生し日本オリジナルとなったカレーが食べたいんだよ!!


「おー」


 何かを察したようにむむむっと意識を集中させる。次の瞬間、アルセの腕に不折れのネギが握られていた。

 って!? 何する気ですか!?

 とーっとばかりにとてとてと走るアルセ。


 剣が吹っ飛び。アルセががこけた。

 何も無い地面でなにしてんの!?

 すっぽ抜けた剣はクルー・ク・ルーの顔数センチ横を物凄い速度で飛んで行った。

 クルー・ク・ルー

・青い髪のロングストレートで強気な眉毛と勝気な瞳を持つセーラー少女。

 右手に皿を持ち、大盛りカレーを乗せている。

 種族:偽人 クラス:海兵マリナー

  偽人:人と似ているが魔物として存在している意思疎通不可能な魔物たち。ただし、ニンゲンたちが知らないだけで彼らにも意思はあるらしい。

  海兵:海上戦において通常よりもステータス強化がされるクラス。

 装備:大盛りカレーライス、海兵服

 スキル:

  投擲:手にしたカレーを投擲する。目潰し効果有り。

  フリスビーディッシュ:皿を投擲して相手を切り裂く。

 常時スキル:

  ツンデレ

  肉体強化Lv3

  体術Lv4

  料理Lv14

 種族スキル:

  カレーの王女様:カレー系魔物に好かれやすい。

  海上強化:海上での闘いに+補正。水属性の戦場でも有効。

 ドロップアイテム・カレールー、皿、海兵服

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