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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その山頂に輝く悪夢の木を僕は知りたくなかった
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そのカレーな生物を、僕は知りたくなかった

 先生、茶色です。なんか凄い色の猫っぽい魔物がいます。

 一本の木に隠れるようにして、こちらを窺う縦縞の黄色い目。

 猫特有の顔なのだが、ちょっとアニメっぽくデフォルメされたような姿だ。

 まさに癒し系だろう。


 凄く怯えた顔でこちらを窺う様子は、何かもう、ヤバい。

 リエラが気付いたら多分猫にまっしぐらだろう。

 というか、アレって猫でいいんだよね?


 カレーニャー

  装備:カレールーロッド

  種族:フライングキャット クラス:カレーニャー

  スキル:ひっかく

      身震い:身体を震わせて体液を飛ばすスキル。

      ラ・ギ

      ラ・ギラ

      ラ・ギライア

      バム・ド

      バム・ドラ

  常時スキル:

      キャット空中超回転:高所から落下しても身体を回し威力を逃すことでダメージなく着地する。

      炎熱耐性・大

      打撃無効

      斬撃無効

      水属性・脆弱

  種族スキル:

      威嚇

      カレー補充:カレールーロッドを消費して体力を回復させる。

      ロッド補充:自身にロッドを突き刺す事で消費したカレールーロッドを復活させる。

      飛行:空を飛べます。

      食料:いつでも食べれます。

      にちゃぐちょん:抱き締めるとぬちゃっとしてぐちょんとします。カレー臭もこびりつきます。

 ドロップアイテム・カレールーロッド・肉球・縦縞の瞳


 うん、まぁ、なんだ……癒し系なのか汚物系なのか、見た目がなんとも言えないのがなんとも……モザイクが欲しいかもしれない。

 いや、カレーなのだからこの色合いは仕方あるまいか?


「な、何ですかアレ!? か、可愛い!!」


 思わず駆け寄りそうな驚きの声をあげたリエラ。

 そんなリエラの腕をネッテが捕獲する。


「やめときなさい。アレは抱き締めちゃダメよ。女性泣かせの癒し系トラップだから」


 何ですかそれ。いや、なんとなくわかるよ。あのクリオイーターだっけ? あれも見た目可愛らしい姿で近づいて来た魔物やら人間を捕食するっていう……ね。一緒みたいなもんだよね?


「あれな、身体がカレールーで出来てるからにっちゃうみたいに抱き締められねぇんだ。貴族の娘さんとかが散歩でこの辺り歩くんだがな、初見でこいつを見るとついつい駆け寄るんだと。で、抱き締めた結果、全身カレー塗れ。なんかもう周囲に見せれない姿になるらしい」


「一応、温厚な生物ではあるのよ。でも他にも二種類ほど確認されていて、そっちは暴食系だったり、乱暴だったりするから気を付けて。多少見た目が違うから分かりやすいはずよ」


「はぁ、あんなに可愛らしいのに抱き締められないんですね……」


「服が汚れなければいいんだけどね」


 凍らせたらどうでしょう? 固いから抱き心地は最悪でしょうけどね。

 カレーニャーはじぃっと物蔭からこちらを見続けている。

 何を思ったからアルセがアルセギンを一体召喚。


 何かを指示すると、アルセギンが自分の頭から玉葱を引っこ抜いてアルセに手渡す。

 そして走りだして木に激突、弾け飛びました。

 いやあぁぁぁっ。なんかちょっと夢にでそうなショッキング映像!?


 そして玉葱を持ったまま笑顔で近づいて行くアルセ。

 怯えるカレーニャーは、しかし逃げようとはしなかった。

 アルセが笑顔で玉葱を手渡す。


「かれーにゃー?」


 くれるの? みたいなことを告げるカレーニャー。

 なんだ、また仲間加入イベントですか。

 カレーニャーが玉葱にかぶりつく。

 そして仲間に……なるのではなく、突然ぶくぶくと泡吹いて倒れてしまった。


 って、猫に玉葱はダメだっ!!?

 カレーなのに玉葱ダメってどういうこと。なんで猫の特性引き継いじゃったの!?

 ばたんきゅ~したカレーニャーはそのままくたりと四肢の力を抜いた。


「……おー?」


「主よ……御臨終のようだ」


 そして溶けるように液体カレーとなって周囲に広がりだす。

 後にはカレールーロッドだけが墓標のように残されていた。

 僕はアカネやチグサと同時に両手を合わせて成仏しろよ。のポーズ。この辺りはどの異世界でも一緒らしい。


「おー?」


 何が起こったのか理解してないアルセがカレーニャーは? とルグスに問いかけるものの、彼は首を横に振るのだった。

 ごめんねアルセ、カレーニャーはお星様になったんだよ。

 良く分からないが、会えそうにないのだと知ってアルセの顔が泣きそうです。


「れーにゃー?」


 アルセの顔が泣く一歩手前の時だった。

 新たに聞こえた声でアルセの顔に笑顔が戻る。

 よかった。


 どうやらこいつらは雑魚に類するようで、数がまだまだいるようだ。

 よくよく見ればそこかしこの雑木林の中、いたるところにカレーニャーが現れていた。

 その殆どが木に隠れているのだが、全員隠れ切れてません。物珍しそうに僕らを見つめているらしい。

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