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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その山頂に輝く悪夢の木を僕は知りたくなかった
358/1818

その女が脱いだ理由を、彼らは知らない

 アメリス別邸に戻って来ました。

 チグサたちも明日一緒に向うつもりだったらしく、わざわざボナンザさんの個人授業が終わった後で訪ねて来てくれたのだ。

 明日一緒に北の山に行きませんかって。

 こっちもそのつもりだったからリエラが了承して詳しい時間を決めていた。

 ネッテも居たので割とスムーズに決まったね。


「へぇ、っつーことは北の山行くのかよ」


「ええ。折角だし私も付いて行く予定。カインとメリエはどうする?」


「そうですね、私はカイン様と一緒ならどこでも」


「あー、そうだな。折角だし休みの日は皆で冒険もいいか。誰々来るんだ?」


「えーっと、アメリスさんはどうします?」


「ええ。ご一緒しますわ。私も一緒に行きたいですもの」


「じゃあ私達は全員ですね。えーっと、あとはレックスさんとパルティさん、ルルリカさんにランスロット王子とチグサさん、ケトルさん。ジーン王子も来るのかな?」


 ジーンか。あいつが来るならおそらく仕掛けて来る筈だからあいつらも一緒の可能性があるな。

 となると、リエラが危険です。にっちゃうも危険です。

 ついでにいえばランスとルルリカペアも一緒なのでネッテも危険です。

 危険だらけだ。どうなるのこの旅。


「んで……なんか新顔っつーか骸骨がいるように見えるんだけど、誰だ?」


「アルセの召喚獣らしいわよ。本人は不死王ルグスと名乗ってるけど」


「不死王……なぁ。アルセに関わったばかりに……」


 アルセの踊りを見せられ戸惑っているルグスにカインは両手を合わせて拝んでおく。

 成仏しろよというのはいいんだけど、それルグスにすると洒落にならないから。

 本当に成仏したら面白いけどさ。


「お嬢様、お客様がお見えでございます」


「客? どちら様かしら?」


「それが、アカネと伝えれば分かると」


 じぇ、ジェーン・ドゥ!?

 しかし、誰も理解できていない。

 当然だ。彼女のその名を知ってるのは僕とにっちゃうだけである。


 だから、気付いたにっちゃうが戸惑う彼女たちを尻目にドアから出ていく。

 僕も付いて行く。

 それに気付いたのだろうか? アルセが踊りを止めて追ってきた。そんなアルセを護衛するように後ろを付いてくる不死王ルグス。


 お前まで来るのかよ!?

 そんな巨大物体であるルグスが移動したので気付いた面々が後からついてくる。

 うん、全員出撃ですね。


 丁度邸門前だった。

 アカネは膨れっ面で蝙蝠傘を回しながら待っていた。

 自分の思うようにいかなくて膨れている少女といった様子に、カシャッとCG激写が仕事しました。


「にっ」


「あら、にっちゃう。あなたは呼んでないのだけど……来たわねエロバグ」


 僕のことはエロバグ固定ですか。


「あの後いろいろと試してみたわ。でも魔法を使おうとすると、どんな魔法でも必ず全裸にされるのよ。身体強化だけはできるけど、回復も解除も解呪も効かない。まるで私がバグらされたみたいだわ」


 みたいではなく、バグってますが何か?

 いや、自業自得です。僕だって殺されたくはありませんから。


「オラクル使ってもあなたと行動していればそのうち何とかなるとしか出て来ないし、こうなったら四六時中張り込むしかないわ。責任もって私のバグを直しなさい」


 嫌だし。なぜ殺しにかかってくる相手を正常に戻さなきゃならないんですか。

 放置だ放置。

 その態度が伝わったのか、むぅっと膨れるアカネ。


「にっ、にっ!」


「何よにっちゃう。私は今エロバグに……」


 告げるアカネの視線が自分に向いたと知るや、にっちゃうの頭上に生まれる炎の玉。

 その数一、二、おお、三つだ。

 ソレを見たジェーンの顔つきが変わる。


「へぇ。やるじゃない。なら次は別属性魔法を待機させる練習ね」


「にっ!?」


 何ソレ!? みたいな声をあげるにっちゃう。

 僕はなんとなく察しが付きます。ネッテが唸ってた概念だね。無数の属性を待機させておいて敵が出てきたら弱点属性の魔法だけを飛ばしたりできるし、無数の属性を一度に一斉射できる。


「それと、こんなのもできるわよ」


 そういって魔力を込めるジェーン・ドゥ。あ、こいつ自分の状況忘れてやがる。

 すぽぽぽぽーん。と衣服が飛んで行く。

 全裸の少女が遅延魔法を無数に出してソレを全身回る様に稼働させていた。


「どう、これが遅延魔法の真髄、攻防一体のエレメントアーマーよ。もっと無数の魔法を使って密度をあげれば全身鎧にする事も出来るわ。そしてこいつが奥の手、ミックス・マジック」


 炎球と雷球が彼女の前に突出し、互いに身体を押し付け合うようにして混ざり合う。


「魔法名はまだないけど、雷炎撃っとでもいえばいいのかしら」


 自慢げににっちゃうに見せるジェーン・ドゥ。

 「おー」と感心したようなアルセの声にハタと気付いた。

 錆ついた機械のようにこちらに視線を向ける。

 ルグスが移動を始めたことに気付いた面々が後からぞろぞろ付いて来ていて、結局皆がここにやって来てました。


 つまり、どっかのイカれた女性が人様の庭で全裸になってにっちゃうに魔法を見せる光景をみちゃったのである。


「い、いやあああああぁぁぁぁぁぁっ!!?」


 悲しい女の悲鳴が空に響き渡ったのは言うまでも無し。

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