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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第五部 第一話 その貴族の悪意を奴は知らない
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その失意に暮れる彼女の慰め方を、僕らは知らない

 前回までのあらすじ、ジェーン・ドゥが襲ってきた。

 バグ弾当てたら全裸になった。

 ステータスがバグりました。


「ちょ、ちょっと、何よコレぇ!?」


 僕が図鑑を見せてみると、案の定、ジェーン・ドゥことアカネ・トドロキは絶叫していた。

 ちなみに、僕のバグ弾喰らって手に入った能力というか、バグった能力はこれ。

 オラクル:幼女の神からの啓示を受け取る祝福。

 うん、これは見たことあるよ。あの神父さんの能力だ。


 装備解除:魔法を唱えると装備が全て解除されます。

 これが原因のようです。彼女は魔法を使おうとすると全裸になるようになりました。

 全裸魔法少女です。魔法少女の新たなジャンルを開拓しそうな勢いです。


 物理吸収:物理攻撃を無効化、吸収して体力に変換する。

 ある意味無敵になりました。物理ダメージ全吸収とか、酷過ぎる。

 バグの恩恵ですね。


 聖属性激弱:神聖属性の攻撃に対し激烈に弱くなる。

 これはバッドステータスです。神聖属性に弱いって……アンデッドじゃないんだから。

 ふるふる震える彼女も同じことを思ったのだろう。


「アンデッドじゃないのよぉっ!?」


 四つん這いになって黄昏てました。

 可哀想に。

 そして種族スキルは四つもバグが追加されてるらしいです。

 バグ弾の威力は弱めにしたのにここまで酷いとは。


 自分解放・改:衣服を脱ぎ去りありのままの姿を相手に見せる。全能力+補正。

 おそらくロリコーン紳士とかが持ってる自分解放の上位スキルだろう。

 全能力がアップするとか便利ではあるけど、彼女にとっては死にスキルになりそうだ。


 悪夢再び:戦闘中に限り、一度死んでも完全復活する。

 ロウ・タリアンが持ってたね。あの悪夢は思い出したくもないよ。

 でも、死亡しても復活できるのは便利ではあるよね。

 これがこの世界のいいところか。

 

 ぷにぽよん:ぷにんと柔らかくぽよんとした抱き心地。人肌温度で冬もあったか。

 ああ、ついに証明されてしまったよ。スキル盗みでにっちゃうから盗んだら、このスキルが手に入ってしまうということですね。

 ちょっと抱き締めていいですか? いえ、欲望ではなく知的好奇心なんです。本当ですよ?


 絶倫:殆どの男たちが夢見る能力。

 ちょっ、おま……

 これ、女性が持つべきものじゃないでしょうよ!?


「治しなさい、治しなさいよこのエロバグぅっ!!」


 僕に走り寄って来たジェーン・ドゥいや、もうアカネさんでいいか。

 アカネは僕の首を引っ掴んで前後に揺さぶった。

 首が締まってる。締まってますよ。タップ、タップ!


「ふざけないでっ! なんてことしてくれたのよ! これじゃ魔法打つたびに全裸になるじゃない! 男共の前で露出しろっての! このバグがっ、バグキャラがぁっ!」


 死ぬ、死んでしまう……


「ああもうっ、神なんかの言葉を律義に守るんじゃなかったわ!」


 べしっと僕を投げ捨てるアカネ。憤慨したように空を見上げて地団駄踏みだした。


「折角異世界に転生したっていうのに、チート無双してたのに、バグ調査お願いとか言われて、やってみればこれよ! 私がバグらされたらどうにもならないじゃないのよっ!」


 ああ、これがこの娘の素なんだね。

 我の強い人らしい。僕にはちょっと……合いそうにありません。


「このバグなんとかする方法はないのっ! あ、そうだわ……じゃない、そうですわ。オラクルを使えばきっと!」


 まだ混乱中なのだろう。

 僕を放置してオラクルのスキルを起動。

 魔力が蠢きスポポポポーン。


「きゃあああああああああああああああああああっ!?」


 うん、これはイカン。けしからんですよ。どげんかせんといかんとです。

 カシャカシャカシャカシャ

 ダメだ。脳内接写が止まりませんっ。


 服を集めたアカネは僕を睨みつけながら服を着る。

 羞恥心さえ克服すれば強力な魔法使いになりそうですが、いえ、なんでもありません。無理ですね、はい。


「絶対殺す」


「勘弁してください」


 僕は思わず返すが、やっぱり意思疎通はできないらしい。

 それでも、もしかしたら筆談が?

 と紙にはじめましてと書いて出してみる。


「何コレ? 暗号? 古代ルーン文字か何か?」


 ……こいつも異世界人かよっ!? 真の日本人はどこに……

 惜しい。ニアピン賞とかいらんのです。

 意思疎通が出来そうなのはやはりクーフしかいないのでしょうか。

 忘れてたのが痛い。

 もしかしたらクーフと文通出来てたかもしれないのに。


「仕方ありませんわね。オラクルのお告げじゃ、あなたがこのバグを解除する切っ掛けとでましたし、今はまだ殺さないでいてあげますわ。これで勝ったと思うなよっこのエロバグッ!」


 わざわざ見逃してあげましたみたいに言われ、アカネはそのまま逃げるように去っていった。

 ふぅ、なんとか危機は脱したようです。

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