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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第五部 第一話 その貴族の悪意を奴は知らない
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その遅延魔法の真髄を、皆は知らない

 放課後はボナンザ先生の追加授業です。

 にっちゃうだけのはずなんだけど、僕らもついでに付き添って見に来てます。

 折角魔法に付いて教えて貰っているんだし、アルセ達も覚えられるなら覚えようね?


 ちなみに、今回はリエラと葛餅も一緒に付いて来た。広い場所に向うらしいのでそこで剣術訓練をするんだと。

 レックスとパルティも一緒に付いて来た。

 曰く、ボナンザ先生の個人授業見れるなら儲けものだし、ということらしい。

 結構有名な婆さんのようだ。


 ここに居るのはアルセとネフティア、のじゃ姫、リエラ、アメリス、葛餅、にっちゃん、レックス、パルティといった面々、これにいんてりじぇんすにっちゃうが加わっている。

 前回の話を聞いていたアメリスがリエラに魔法の使い方をレクチャーしていると、ようやくボナンザ先生が現れた。


「ほっほ。時間通りさね。それじゃ、昨日の復習だよ」


 と、あの簡易ゴーレムを乱立生成。それに向ってにっちゃうがラ・ギの魔法を飛ばした。

 凄いな。魔物のクセに普通に魔法使ってるし。しかも無詠唱。

 いや、にっという掛け声が実は詠唱なのかな?


「にっちゃうすごい。魔法使ってる!」


 驚くリエラ。さぁ。闘いを始めよう。といった段階だった葛餅が、戦闘形態を解いてこちらに戻ってきた。慌ててリエラもそれを追う。


「くずもちどうしたの?」


 葛餅はリエラににっちゃうを指差し、リエラに指差し、なにかをジェスチャーし始めた。


「もしかして、私にも魔法習えと?」


 肯定する葛餅。おお、丸を作ったぞ!?


「昨日も言ったけどあんたに魔法の才能はないよ?」


「わ、分かってます。ただ……そ、そうです、雷撃! 雷撃魔法を教えてほしいんです」


 リエラの偽物が使っていたのを思いだしたんだろう。

 あの剣術を使いたくて、彼女はボナンザ先生に願い出た。

 少し考えたボナンザ先生は、まあいいか。といった顔でパルティに視線を向ける。


「そこの小娘、こいつに魔法の知覚方法教えてやりな。個人授業はその後だ」


「あ、は、はいっ」


 パルティから個人授業を受けるリエラの図。カシャッ

 葛餅は僕らと一緒ににっちゃうの見学です。

 そんな中、ネフティアが掌を目の前にあるゴーレムに向ける。

 次の瞬間、ゴーレムの周囲にカマイタチが発生。


 おおっ。ネフティアも魔法を覚えたの!?

 それを見たのじゃ姫が負けじと魔法を紡ぎ出す。

 のじゃのじゃのじゃのじゃ……のじゃぁ!

 と気合いを入れて掌をゴーレムに向けた瞬間、のじゃ姫を黄色い光が包み込んだ。

 そして即座に消え去る。


「のじゃぁ!?」


「ふむ。お前さんの放った魔法は状態回復魔法だねぇ」


「のじゃあっ!?」


 そんなものいらんのじゃ! わらわは攻撃魔法が使いたいのじゃぁ! と駄々をこねるようにじたばたしだしたのじゃ姫。これではワンバーを助けに向えんではないかとなんか叫んでいる。

 気を取り直してもう一度。のじゃぁ!

 今度は彼女を青い光が包み込む。うん、これ知ってる。体力の回復魔法、ヒールです。


「のぉぉぉじゃぁぁぁぁぁ!?」


 癇癪起こしてその場でじたばたしだしたのじゃ姫は放置してっと、アルセはどうかな?

 緑の姫は両手をグーにして地面すれすれまで落としてます。

 そこから力を溜めて……溜めて……溜めて……うー、ぱっ!とばかりに両手を空へ。

 身体全体を大の字にして両手を真上に天高く突き上げパーの状態へと掌を開く。


 そんな彼女の動きに合わせてぴょこんと周囲から双葉が生まれた。

 ……なんぞこれ?

 僕が戸惑っているともう一度、両手をグーにして真下に降ろして身体に力を込める。

 う~~~、ぱっ!

 笑顔で行うアルセさん。その周囲から飛び出ていた双葉がみょこっと四つ葉に、彼女が屈伸運動のようなその行動を行うごとに六つ葉に、さらににょきにょきっと草が育っていく。


 こんな感じの見た気がするな。ああ、そうだ。アレは傘使って行うお隣さんの生物だ。

 そんなアルセは自分の背の高さくらいに植物を成長させると、その中心で楽しげに踊り出した。

 うん、彼女は今日も平常運転です。


「ほぅ、もうそれが出来るのかい。いいねいいね、教えがいがあるよ!」


 ちょっとテンションが高くなってるボナンザ先生の声が聞こえた。

 どうしたのかと思って見てみれば……おおお!?

 にっちゃうの真上に待機している炎の玉。何だアレ? 


「そう、これがほんとの遅延魔法だよ。他の教師共や生徒共は詠唱唱えて何時でも魔法を唱えられる状態のことを言ってるが、慣れりゃそんなモノ使う必要はない。なにせ無詠唱ならいつでも魔法が使えるんだからね。それよりも自分の周囲に魔法を待機させ、防御兼何時でも打ち出せる状態にしておくこと、これこそが遅延魔法の真髄さね」


 そしてボナンザ先生はなんか楽しげに語りだした。

 ようやく自分の魔法を継がせられる奴に出会ったとか、凄く嬉しそうです。

 ボナンザ・デカメロン

  種族:ニンゲンB クラス:魔術師

 ・魔女を思わせるカギ鼻のお婆さん。銀ランクの冒険者。

  黒いマントに身を包み、三角帽子を被っている。

  遅延魔法の真の意味に気付いたこの世界では初の人物。

  箒に跨り屁で空を飛ぶらしい。

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