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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第五部 第一話 その貴族の悪意を奴は知らない
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その見学時間の短さを、僕は知りたくなかった

 まずは学園長の流通学を見てみよう。ということで、とある教室へとやってきた僕ら。

 見学者は教室の後ろで授業参観よろしく突っ立っておくらしい。

 僕はリエラの横、アルセの後ろでアルセの肩に両手を置いて立っておく。

 気分はアルセの保護者です。


「ふぉっふぉ、では流通学を始めるぞい」


 学園長先生は顎髭の長いお爺さんだった。

 好々爺というのが一番分かりやすいだろうか。親しみやすいお爺さん。

 どこぞの仙人だと言われても問題無いくらいだ。


 どうやら流通学というのはそのまんま、ドロップアイテム売る時の流通に関しての話らしい。

 冒険者として稼ぐには重宝するだろう話なのだけど、僕には面倒で眠くなります。

 簡単に言えばダンジョン内で倒して手に入れた眠り羊のウールが高く売れる場所と低く買い叩かれる場所についてどういう流れがあるかを詳しく教えてくれるらしい。


 マイネフランなら毛皮関連はあまり売れないために安く買い叩かれ、でもコイントス方面だと特に冬場に入る直前が物凄い高値で売れるとか。

 流通関係の専門話でありました。

 にっちゃう以外はちんぷんかんぷんって顔してた。

 唯一真剣だったにっちゃうは成る程、みたいに頷いていたけど。


 ちなみに、それを面白くなさそうに王族の男が舌打ちしてた。

 この人、ケトルとチグサの話から、ジーン君というらしい。

 王子っていうのは大抵物語だとカッコイイリア充を思い浮かべるモノだが、可哀想に。

 彼の顔はお世辞にもカッコイイとは言い辛い。


 僕らは学園長の授業を早々抜けだし教頭がやってるらしい召喚学を見学に行く。

 校庭の一角に集まり巨大魔法陣を前に講義する教頭の元へとやってくると、アルセがおーっと興味深げに呟いた。


 そんな僕らの目の前で、生徒の一人が巨大魔法陣に呪文を唱える。

 魔法陣から巨大な光が立ち上り、やがて、魔法陣の上にワグラビットが現れる。

 あのウサギの容姿した犬歯だけが異常発達した生物だ。


 なんか、アルセとのじゃ姫が無性にはしゃいでいます。

 二人とも、召喚興味あるの?

 あ、そっか。のじゃ姫は殿中でござるとか召喚してるし、アルセはアルセギン召喚してるんだっけ。

 何か思うところがあるらしい。僕の裾を引いてアレ、アレ! と告げるように召喚陣を指差すアルセがものっそ可愛いです。カシャッ


 あ、ちなみに教頭先生ですが、バーコード頭の冴えない中年。といった姿で、メガネをした男の人でした。常に猫背で哀愁をそそる背中がなんとも……公園で所在なさげにブランコ座っておるおっさんが連想されてしまうのはなぜだろう?


 アルセの選択授業の一つは確定だね。のじゃ姫もかな?

 ある程度見守ったら時間も惜しいので次の場所へと僕らは向う。

 アルセが物凄い後ろ髪引かれるように指咥えて何度も振り返っていたけど、ロリコーン紳士がいなくてよかった。

 このアルセの姿は破壊力があり過ぎる。奴が見ていれば鼻血噴きすぎて死んでいたかもしれない。


 ワグナート先生のサバイバル術は冒険の上ではためになる授業のようだ。

 大抵の人はこの授業を確実に受けるのだろう、他の先生達と比べると生徒の規模がケタ違いだ。

 何せ一年二年三年の殆どの生徒が集まってるのだし。


 あ、ルルリカとランスロット発見。相変わらずのイチャイチャぶりだ。

 ネッテさん、こいつら早めに見限った方が良くないですかね?

 でも、うわっ、ワグナート先生テントの張り方からレクチャーしてるよ。

 今日はテントを皆で張って行く作業らしい。


 上級生はてきぱきとしてるけど一年生の既に授業受けている人とか二年生の一部は四苦八苦している。

 ランスロット? お付きらしい男にやって貰ってる。

 あ、リエラ誘ってた勇者っぽい奴らも既に参加してやがる。


 ボナパルト先生の軍隊学については何も言うべきものはない。

 なんか生徒たちが狂戦士化しそうだ。それくらいしか感想もなかった。

 徹底的に扱き下ろしながらひたすらに肉体強化とか、好きこのんで良く受けたねこの授業。


 ボナンザ先生魔術学追求型。というのは普段行う魔術学をさらに一歩踏み込んだ授業内容だ。

 ボナンザ先生の趣味を存分に聞けるこの授業は、魔法を志す者にとってはかなり魅力的な内容らしい。

 ネッテもこの選択授業を取ったんだとか。幾つか耐性も手に入れられるらしいので取っておいて損はないらしい。しかも年々先生の技術も上がっているらしいので様々な魔法を覚えられるんだとか。


 というわけで、全てをなんとか見回ろうとした僕らだったけど、二時間というのは直ぐに終わるようだ。

 気が付いたらこの時点で昼休憩になっていた。

 仕方ないのでアルセの選択授業は召喚学とサバイバルじゅ……あれ? アルセ、なんでソレ書いちゃったの?


 予想外の授業を書いてアルセはリエラ達と共に提出に向う。

 ちなみに、のじゃ姫は召喚学とサバイバル術、ネフティアはサバイバル術と料理学追求型。リエラはサバイバル術と魔道具学追求型、アメリスとにっちゃうはサバイバル術と流通学を取っていた。

 葛餅? あいつなんでサバイバル術と軍隊学取ったんだろうね?

 ジーン・フィグナート

  種族:ニンゲンD クラス:フィグナート第三皇子

 ・失敗面の少年。嫉妬深く傲岸不遜。

  我がままに育ったため自分より身分の低い相手には威圧的になる。

  自分の思い通りに行かないと癇癪を起こしやすい。

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