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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その森の秘密を彼らは知らない
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その男たちの欲望を、少女は知らない

 一行は、またあの街へと戻ってきていた。

 町の名前はまだわからないが、僕たちはギルドへと向い、バズ・オークの懸賞金が解除されたのを確認。


 オークが普通にギルドに入って来たので、中に居た冒険者たちが驚いていたが、どうやらアルセは知名度が上がっていたのだろう。

 バズ・オークの前にアルセがいると気付いた彼らは、なんだ、またあのパーティ魔物増やしたのか。とどうでも良さそうに意識を逸らした。


 どうやらアルセのいるパーティーの噂はずいぶんと広まったようだ。

 中にはリエラの名前を覚えた奴もいたようで、リエラちゃん今日も可愛いねぇ。とゲラゲラ笑いながら叫んできた奴もいた。

 遠慮気味に苦笑するリエラの横でネッテが慣れた様子でリエラだけ? とか聞き返していた。男たちは青い顔になってネッテ姐さんも綺麗ですぜっ。とか言っているところを見るに、ネッテの強さはアルセ以上に有名なようだ。


 バズ・オークも人の多い場所は慣れないながらも、懸命に僕たちに付き添っている。

 なんか背の低い髭もじゃのおじさんが今度飲みにいこうぜそこのオーク。とか声を掛けて来ていて、バズ・オークも普通に頷いていた。

 余りに行儀がいいので冒険者たちも魔物に対する危機感を持たないらしい。

 というか、いいのか魔物と酒飲むとか。


「せっかくだし、バズ・オークも従魔契約しちゃう?」


 ぶひ?

 よく分かっていないバズ・オークはただただ首を捻るだけだった。

 付いて来て。とネッテに言われ、バズ・オークがのしのしと歩きだす。

 またあのケツアゴに会うのか。

 大して会いたくもないので、僕らはその間に新しい依頼があるかと探す事にした。


「んー、丁度良いのはないな」


 カインたちと並んで依頼を見せてもらうと、猫の捜索やドラゴン討伐などなど、極端すぎる依頼はあるものの、丁度いいと思える依頼は今日はなかった。

 ああ、一応迷子のにっちゃう探しがでてるな。

 もう二度とやる気はないけど。

 ギルドもさすがに前回の騒ぎを聞いたようで、困難レベルを最上級に格上げしてる。


 困難レベルというのは簡単に言えばその依頼をこなす場合の難易度だ。

 別にこれが高いからといって高位のハンターしか受けられないということはない。

 ただ、腕に覚えのある奴以外はやらないほうがいいよ。それでもやるなら自己責任で。という注意喚起だ。


 捜索対象がにっちゃう・つう゛ぁいだと書かれていないところがまた、ギルドの意地悪さを感じる。

 内容を知らないハンターたちが受けたらどうするんだ。


「リエラ、コレどうだ?」


「嫌ですよ。なんで猫なんて探さないといけないんですか」


 むっと膨れるリエラ。バカにされてるようで御怒り気味だ。

 カインも冗談らしく、それ以上何も言わずに他の依頼を見る。

 でも、簡単そうな依頼でもバズ・オーク討伐みたいに意外と厄介な依頼も存在するし、猫探しもバカに出来ないかもしれないぞ。


「んー。まぁ丁度いいし森に向うか」


「森って、あの奥に行くってことですよね」


「ああ。とりあえず一度行ってみようぜ。本当にミクロンの言ってたアレがあるのか見に行こう。ヤバかったら戻ればいいしな」


 大丈夫だろうかと心配になるが、余程危ないならカインもネッテもさすがに退却するだろう。

 彼らも歴戦の冒険者に入るのだ。

 リエラという新人がいるのに無理はしないはず。


 まぁ、最悪でもバズ・オークがいるわけだし、戦力的には申し分ないと思う。バズ・オークの力はカインと同じくらいだろうし。

 こいつらで対処可能な場所であることを祈る。全滅とか冗談じゃないし。


 僕だって何でもできるわけじゃないんだ。

 広範囲のブレス攻撃とかする魔物がいたらそれだけでアウトだ。

 僕は人知れず死ぬことになりかねない。


 充分気をつけようと心に刻み、一応僕も一緒に付いていくことに決めた。

 最悪でもアルセくらいは守り切りたい。

 そうこうしていると、契約が終わったらしいネッテとバズ・オークがやってきた。


「こっちは終わったわ」


 バズ・オークは何をされたのか理解できなかったようで、しきりに胸元の紋章を気にしていた。

 不安そうにしていたのでアルセを操って頭を撫でておく。

 アルセが近づくと、何をするのか理解したのか、自ら傅き頭を向けていた。


 なんだろう。アルセに撫でられる豚人間を見ていると、和む。

 他の冒険者も同じらしく、喧騒が一時的に止み、皆がほんわかした視線でアルセを見つめていた。


 一部の厳つい男どもが自分の頭も撫でてほしそうにしていたのがちょっとキモかった。

 スキンヘッドに棘付き肩パッドのイカれた容姿のヤツが特に撫でられたそうだったのが怖い。


 しばらく撫でていると、周囲の視線に気付いたバズ・オークが凄く恥ずかしそうにしていた。

 照れ隠しか、アルセを抱え上げ肩車をする。


 突然行われた行動に驚くアルセだったが、僕が一度肩車をやってたので何をされたかはわかったようだ。

 バズ・オークの頭を叩きながら楽しそうに周囲を見回し始めた。


 あ、「おーっ!」が出た。

 多分感動してるなアルセのヤツ。

 ちなみに、それを見た男どもが自分も肩車やりたい。みたいな視線をアルセに向けていたりしたのだが、アルセは全く気付いていなかった。

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