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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第五部 第一話 その貴族の悪意を奴は知らない
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その昼ドラのような悪夢の始まりを、誰も知りたくなかった

「凄かった」


 戦術学の授業が終わると、パルティが駆け寄ってきた。

 アルセとアメリスの元へやって来ると、興奮気味にそんな事を告げる。

 何が凄かったかっていえば多分にっちゃんの突撃砲だろう。

 あれはヤバかった。死人が出なかったのが奇跡なくらいだ。


 あの貴族の横に居た女性、凄い反射速度だったな。

 ポールににっちゃんが激突したと分かった瞬間、貴族の首根っこ引っ掴んで放り投げ、自分は前に飛び込む様に飛んだんだ。

 直ぐ後に落下して来た旗が貴族がいたまさにその場所にズドッと突き刺さったからな。アレは下手したら死人が出ててもおかしくなかった。


「あの貴族の方には悪い事をしましたわね。あちらの剣士の方ともども謝罪をしておきたいですわ」


「次は昼休憩ですし、おそらく学食に居るかと思います。ご一緒します?」


「ええ、喜んで」


 パルティと共にアメリスが向う。

 アルセもアメリスについて行こう。どうせ食事するんだし。

 アルセが歩くとネフティアとのじゃ姫も付いて来た。


 いや、ロリコーン紳士はいらんから。さっさと帰れ変質者。

 学生じゃないんだからくんな。え、僕? 僕はほら、アルセの保護者ですから。

 ロリコーン紳士も保護者? 一緒にすんな。アレはただの変態だ。


 ほら、すれ違った少女を目線で追ってるし、変態だぞ変態紳士。

 そんな彼はすれ違った時に落とした少女のハンカチ、かな? を拾い上げると、物凄い速度で彼女の前へと移動した。


「きゃあぁ!?」


 突如目の前に現れた変態がいれば、そりゃ驚き悲鳴を上げるよ。

 そんな少女に、お嬢さん落としましたよ。とばかりにハンカチを差し出し握らせる変態紳士。

 にこりと微笑む彼はハンカチを捧げるとさっさと戻ってきた。

 ……チクショウ、普通に紳士じゃねぇか。相手の女の子がなんか変態をぽーっとした視線で追い始めたぞ。

 まさか、いや、そんなはずは……


 もやもやとした気分で学食へと向った僕ら、やはり学食はこの時間盛況なようです。

 僕らはパルティについて行って食事を注文し、ござるどもが待機してくれていた席へと向って行く。

 殿中でござるが刀の柄に手をやりながら守る座席に座ろうなど、誰も思うまい。というか、誰も座りたくないと思う。


 ちなみに、葛餅やにっちゃう、そしてにっちゃんは放し飼いになっているが、三人そろってどこかに行ってしまった。多分食事に向ったのだろう。

 アニアの奴はなぜかボナパルト先生と共に去って行ったから今はどこに居るのやら。


「あら? あれって……」


 アメリスが何かに気付いて視線を向ける。

 僕とアルセが同時に反応した。

 アメリスの視線の先には三人の男女。男一人に女二人だ。

 そのうち女性一人が見覚えがある。というか、あり過ぎる。


「あれ、ネッテ様じゃありませんこと?」


 そう、ネッテさんがなんか不機嫌オーラ醸しだしつつ男と女を睨んでおります。

 男の方は爽やかな好青年だ。着ている服装からはどことなく貴族臭というか、おエラい感じがします。

 甲冑やら鞘やらを装備しているのに、何処となく気品漂う男。


 そしてその横に座っているのは桃色ツインテールの少女。今は少し怯えて見える。

 いや、ちょっと待て。今凄い悪だくみしてる様な顔したぞ。一瞬だけだったけど僕は見た!

 なんか、凄い可愛い女の子だけど、嫌な感がじひしひし伝わってくる。

 アレだ。僕には分かる。分かるぞ。クラスメイトにも居たぶりっ娘少女だ。


「ランス様ぁ、この顔の怖いお姉さんはお知り合いですかぁ? ルルリカ怖いですぅ」


 などと言いながらべったりと男に擦り寄るルルリカさん。

 うっわ、今ネッテに向けてニタァッと凄い顔したぞ。

 ネッテもそれに気付いて顔を引くつかせている。


「コイントス王家から連絡を受けて来て見れば……ランスロット王子、あなたという人は」


「い、いや、これはだなネッテ王女……」


「親が決めた許婚ながら、あなたと私との婚約が破棄されればどうなるか、あなたも分からないはずはないでしょうランスロット。個人の恋愛を楽しむのも良いけど、程々にしておかないと割を食うのはあなたの国よ?」


「う、うるさい。別にいいだろう。まだ結婚の段階じゃない。今の時期は関係ないはずだ」


「それでも体裁というのがあるのよ。現に私にあなたを止めてくれとコイントス国の方から懇願されてるのよ。国王様の言葉も聞き入れなかったんでしょう? あなた、思い込んだら一直線だものね」


 呆れた口調なのだが、ネッテも甘い。

 その男、身分は高いかもしれないけど思考回路はかなり愚鈍系ですよ。

 しかも、そんなランスロットはルルリカさんに惚れこんでいる様子。

 さっきから身を寄せて来るルルリカさんを恋する瞳でちらちら見ていらっしゃる。

 ああこれ、早急に別れるべき事案ですわ。

 ルルリカ・テルテルボール

  種族:ニンゲンH クラス:冒険者

  ニンゲンH:ニンゲン族早熟成長型

  冒険者:罠回避術、探索術、索敵術を覚えた者が成れる職業。

 ・ツインテールのほんわかした可愛らしい女の子。

  しかし、裏の顔を持ち、したたかさと悪女じみた思考回路で敵を嵌めて落とすことを心情とする悪人。

  容姿の端麗さとぶりっ娘が受けてランスロットに一目惚れされている。


 ランスロット=ドゥア=コイントス

  種族:ニンゲンF クラス:コイントス王国第三王子

  ニンゲンF:ニンゲン族攻撃力特化型

  コイントス王国第三王子:コイントス王国の第三王子です。外出には護衛が六人付きます。

 ・爽やかな笑みを浮かべる王子様。

  かなり愚鈍というか、一心不乱タイプ。気に入ると一途にそれだけにのめり込むタイプ。

  マイネフランの第三王女と婚約中。

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