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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第五部 第一話 その貴族の悪意を奴は知らない
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その生物が策を練ることを、誰も知りたくなかった

 端的に言えば、戦闘学の授業は楽だった。

 最初の走りが大変だっただけであり、後に行ったのは、痴漢対策用の護身術をボナパルト先生が披露して、ソレを皆が実践する方式、あと投げられた時の受け身の取り方。


 受け身の取り方はカインみたいに遠くに吹っ飛ばされた時にも有効らしいのでぜひとも覚えておきたいものである。

 まぁ、僕は見えないし必要無い。と思えばそうでもなく、もしもの場合巻き込まれて大ダメージを受ける可能性もあるのだから覚えておいて損はないと思うのです。


 まぁ、そんなことはおいおい覚えればいいので問題無し。

 問題は、今の授業だ。

 戦術学。というのだけれど、この時間は引き続きボナパルト先生による二チームに分かれての拠点制圧作戦ゲームを行っていた。


 ルールは簡単。敵陣中央にある旗を倒せば勝利。

 旗は固定台に刺さっているので自力では倒れない。

 これを誰かが敵陣に乗り込み倒してくればいいのである。


 木武器を持って闘う事になるため、いきなりの実戦とも言える。

 北軍大将はどこぞの貴族。物凄い俺様主義で、前回の持久走で棄権した奴でもある。

 対する南軍大将はアルセ。何か知らないけど大将に担ぎあげられました。

 参謀は葛餅、かと思いきや、なんといんでりじぇんすにっちゃうが立候補。

 ネフティアと葛餅は特攻部隊になっていた。


 今は作戦会議中。

 誰をどこに配置するかを簡単な図面にしていんてりじぇんすにっちゃうが皆に説明している。

 すげぇ。こいつ知能だけなら本当に凄いぞ。インテリは伊達じゃなかったのか!?

 冒険者見習いの生徒達も、にっちゃうの作戦には反論すら言えないような完璧すぎる作戦だったらしい。


 ちなみにアニアが参戦したそうにしていたが、ボナパルト先生が不許可をだしたので、彼女は今ボナパルト先生の肩に止まって観戦中である。

 んで、敵陣にはリエラの姿。ついでにのじゃ姫も向こう側らしい。


 生徒達ものじゃ姫の召喚技を知っているせいで今回ちょっと消極的だ。

 参謀がにっちゃうっていうのも拍車を掛けているだろう。

 だけど、総大将がアルセなのである。


 その事だけでも勝利すべき重大要素となるだろう。

 にっちゃうの気合いも凄いので、やらざるをえない雰囲気はあった。


「妖精よ、どちらが勝つと思う?」


「フォ」


 それは当然アルセお嬢様が居る方ですな。

 ボナパルト先生の横にやってきたロリコーン紳士が当然のように答える。

 いや、お前に聞いてないから。


「んー。のじゃ姫が向こう側かぁ。でもネフティアとアルセ居るし、でもネフティア、あのチェーンソウないからなぁ。あ、でも葛餅居るからそっちじゃないかな?」


 そう、学年最優秀と思しき葛餅の戦闘力はバカに出来ない。

 彼がいるだけでも戦況はいくらでもひっくり返せるはずだ。

 ただ、彼は今回防衛に回るようだ。


 防衛というか、陽動部隊? ちょっとにっちゃうさん、また予想外な事考えましたな。

 僕は思わずその作戦を見て唸る。

 これをにっちゃうが考えた? インテリになったからって魔物にしてはちょっと賢すぎじゃないですかね?


 作戦タイムが終わり、生徒たちが動きだす。

 お、レックスだっけ、アルセチームにいたのか。

 逆にパルティエディア、アメリアは略してパルティと呼んでる子は敵軍だ。

 僕もパルティと呼ぶことにしたよ。親しみこめてね!


 遠めに見える敵軍の生徒の一人と化しているのでどこに居るかはわからない。

 そういう点で言えば、三人の無礼でおじゃるを騎馬にしているのじゃ姫は頭一つでてるから良く目立つ。

 あいつだけ合戦する気かと思える気合いの入り様だ。


「それではチーム戦開始だ! 征け!」


 ボナパルト先生の言葉で配置に付いた生徒たちが一斉に走り出した。

 葛餅を先頭に走り出す生徒たち。

 敵軍の生徒たちは一斉に走り出す。って、あっちは作戦なしですか?


 どうやら全員で攻めて一気に征圧してしまおうという腹らしい。

 貴族様は一番後ろでふんぞり返ってやがる。

 いや、違うぞ、なんか綺麗な女の子を隣に侍らせてやがる。

 すごい嫌そうな顔してる女の子は、おそらく顔が好みだったか実力が高かったのか、とにかく戦士風の恰好をした黒髪ロングヘアの女性だ。

 ムスッとした顔で隣の貴族を睨んでいるが、貴族はむしろこの試合勝ったと高笑いしながら旗の真横でアルセチームに見下した笑みを浮かべていた。


 たぶん、全軍対少数と見てこれなら勝てるとか思ったんだろう。

 けど、接敵の瞬間、アルセチームは後続の魔法部隊が阻害魔法を放ちだした。

 突然動きを鈍らされた貴族チームの生徒たちが次々と無力化させられて行く。


 おお、愚直に攻めると手痛いしっぺ返しが来るいい見本が目の前で起こってるよ。

 アルセもこれを見て嬉しそうに踊っている。

 いや、多分皆頑張れっとか応援してるんだね。頭上の蕾も激しくくねっている。

 アルセの踊りを見付けた貴族君が歯噛みしだしたけど放置で。

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