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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
間幕 その二人がいたことを僕は知らない
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AE(アナザーエピソード)その二人がいたことを僕は知らない9

 やらかしやがった。

 カインと辰真である。

 酔った勢いで酒場を出て行ったまではよかったが、乱闘騒ぎで向いの酒場の壁破壊しやがった。


 さすがに酔いは冷めたみたいだが、彼らはその日のうちにそそくさと王国を抜け出した。

 そして俺もそれに同行するように付かず離れず見守っている訳だが……モンドがいねぇ。

 あいつ、酒場でハードモットのおっさん見かけたせいでそっちに行きやがったんだ。


 おそらく今はお楽しみだ。冗談じゃねぇ。

 奴は人生を誤っちまった。もはや修正は不可能だ。

 まぁ、あいつのことはどうでもいい。いねぇものと考えよう。


 さて、国を抜け出したカインたちが向ったのは、エルフの村があると言われているオリーの森である。

 ここはオリー種が出没する事でも有名な森なんだが、そこに行くまでの街道で物凄い珍生物に出会った。

 そう、ロリコーンだ。


 滅多に出現しない上に、パーティー内に幼女が居る場合に限るという条件付きで出現する魔物なのだが、アルセ達が引っ掛かったようだ。

 まぁ、途中でロリコーン紳士の方が止めに入っていたけどな。

 あいつらって進化した個体になるのか、それとも別種類なのか、まぁどうでもいいや。


 取り合えず、抱き付いては来るがそこまで脅威ではないロリコーンについては放置かな。と思った矢先の出来事だったので、俺がどうにかする必要はなく無事にオリーの森へと辿りついた面々。

 オリーの多さに驚きつつもエルフ村へと向かって……おいお嬢、それ、アルセじゃねぇぞ?


 頭に揺れている草が別なモノだと気付いたが、後の祭りだ。

 一体どこで逸れた。というか、このアルセに似た生物、確かドリアデスだったっけか。

 これ、どうすんだ?


 まぁ、向こうには保護者がいるみたいだしエルフ村に向うことは理解してるだろうからそのうち来ると信じるけどさ。

 しかし、全然気付いてねぇな皆。

 普段どれだけアルセを見てないかがよく分かるな。


 取り合えずアルセが居ると思ってるからこういう間違いを起こすんだ。

 頭の上の花だけが別種という種族も困りものだけどな。

 というか……あれ? なんだあのお姉さん?


 おい姉ぇちゃん、なんで裸になって、え? あ、ちょ、ダメだって今、任務中だからよ。

 え? マジか。

 あー、じゃあちょっとだけ。据え膳食わぬは男の恥じっつーしな。


 ……

 …………

 ……………………


 はっ!?

 うわぁ……やっちまった。

 いつの間にかドリアードの幻術に掛かってたらしい。

 こ、腰が……


 俺は這いずりながらその場を逃れる。

 ドリアデスに連れられたエルフが丁度入れ違いにやってきたので、そいつらの来た道に向って這って行くことにした。


 方々の体で逃げ出す俺の背後では、男の汚い悲鳴が何度か響いていたが、しばらくして静かになった。

 ふふ、久々に堪能したぜ……はは。幻覚だったけどな。ぐふっ。

 精神的なダメージは計り知れないが、どうやらここのドリアード共はある程度搾取したら獲物を放ち、しばらくしてから再び採取する知恵を身に付けているらしい。


 別の国に居るドリアードなどは一度でも幻覚に嵌れば死ぬまで性を絞られると言われているだけに、俺はむしろ運が良かったのかもしれん。

 魅了耐性、もっと上げとかなきゃならねぇか。


 俺がエルフニアに辿りついた時には、丁度カインたちが出て行く所だった。

 折角辿りついたのにまた外出かよ!?

 ちょ、待ってくれ。俺、今腰が、腰がな、立たんのよ……


 そんな俺は姿が見えない状態なので当然スルーされました。

 うおおおおおおいっ!?

 マジ助けて。腰が、腰がぁぁぁっ。


 なけなしの完全回復ポーションを煽って彼らの後を追った俺は、またも新種の生物、ロウ・タリアンと戦闘を繰り広げる面々に追い付いた。まぁ、エルフ共にとっては新種じゃないらしいけどな。

 正直相手がチート過ぎる。


 バズが倒れまさかのディープキッス。余りの強さに全滅もちらつきだした時だった。

 いままで放心状態だった変態エルフが突如立ち上がり、肉弾戦を仕掛けたのである。

 その闘いは、もはや圧巻の一言に尽きる。


 嫉妬に狂った女の情念というものが初めて理解できたものだった。

 で? なんでこのロウ・タリアンを倒してるのかって疑問なんだが、どうやらこいつを倒したらバズとの婚姻を認めるようなことを示唆されたらしい。


 と言っても、とうのバズは濃厚なタリアンキッスで真っ白に燃え尽きており、その仇打ちに動いたエンリカが目覚めちゃいけないモノに目覚めちまったが、俺は知らん。

 なんかもう、ロウ・タリアンがいっそ哀れと思える程に衝撃だった。


 で、ロウ・タリアン討伐を終えた彼らは親に認めてもらいエルフニアで結婚式を……精霊の祝福を装った妖精の悪戯は酷い様に思うんだが、まぁ結果オーライか。

 あ、あとアルセの頭につぼみが出来た。

 もう、何が来ても怖くない。好きにやるが良いさアルセ、お前の行動は俺がしっかり見ててやるからな。あれ? 俺の護衛対象ってアルセじゃなかったっけ?

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