表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
  第一話 その世界の名を彼は知らない
3/1818

プロローグ

 えー、庭の一角にエンドウとスイカとメロンとナスとイチゴとアシタバなどなど密集育成させ、混沌化させて悦に入っている龍華ぷろじぇくとです。こんにちわ。

 性懲りもなく新たに小説を書いて行こうと思います。

 よろしければ暇つぶしにも読んでやってください。

 ――――なぜ、こんなことになってしまったのだろう。


 僕はただ、いつも通りに学校に通っていただけのはずなのに。

 目の前に広がるのは森林。光が殆ど差し込まない深い森だ。

 倒木に座り、野営する冒険者たち・・・・・を見る。


 ここは学校じゃない。

 断じて日本などではない。

 そればかりか……


 傍らに眼をやる。そこに座るのは緑の肌を持つ少女。

 暇そうに指を口に咥え、足をばたつかせている。

 服を着ず、胸や下半身のデルタスポットを蔦で覆っただけの彼女は、どう見ても人間じゃない。


 そう、この世界はきっと異世界。

 魔物が普通に闊歩する異世界なんだ。

 だから、僕はこう結論付けた。

 僕は、日本から、何らかの原因でこの異世界に迷い込んでしまったのだと。

 ……それだけなら、まだよかった。


「はい食事」


 と、冒険者の一人が焼き魚を差した串を差し出してくる。

 それを緑の体の少女が受け取る。僕は素通りだ。

 そのまま冒険者はパチパチと爆ぜる焚火のもとへ戻って行く。


 なぜ、こんなことに……

 頭を抱える。

 なぜ……僕は……

 悩む僕はふと気付く。


 緑の少女が半分まで喰われた焼き魚を頭上に掲げている。

 そして右に、左に向けていく。

 傍から見れば、まるで魚を珍しそうに掲げて踊っているように見える。

 何かを探すようにしているその姿に、どうやら僕を探しているようだと気付く。


「何だ、僕にくれるのか?」


 が、僕の言葉に反応することなく、彼女は僕を探し続ける。

 すぐ隣にいるんだよ?

 そんなことを思いながら、焼き魚を一口。


 突然失われた魚の身に気付き、少女の顔が笑顔になった。

 ただし、僕の居る場所とは見当違いの場所にその笑顔を向けている。

 そうなのだ。僕はこの世界では、彼らに気付かれることも、声が聞こえる事も無い。

 彼らにとって、僕は……存在しない人間なんだ――――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ