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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 そのお嬢様に護衛が必要なのかを彼らは知らない
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その男達の憤怒を、彼らは知らない

「「「「「「「「「「ござる!!」」」」」」」」」」


 襲いかかる黒服たちに殿中でござるが切りかかる。

 街中での魔物大発生。

 霧があるからいいけど、これが晴れたら大問題になりそうだ。

 アルセギンめちゃくちゃ走りまわってるし。


 モーネットさんの札が襲撃者の一人に当る。今回も電撃の札らしい。

 バチリと仰け反った襲撃者。

 だが、そいつを隠れ蓑にして一人の黒尽くめがアニアをむんずと掴む。


「いやぁっ。何処触ってんの変態ッ!」


 ああもう。ロリコーン紳士、こっち任せた!

 僕は即座にアニアに近づき、アイテムボックスから名刀桜吹雪を取り出し叩っ斬る。

 さすがに人を斬るのは怖いけど、腕を落とすだけならなんとか、僕でも……


「た、助かったよおじゃるさ……って、だからどこに居るのおじゃる!?」


 助けられたアニアは周囲を見回すが、無礼でおじゃるは彼女の近くに存在していなかった。

 そんな彼女に再び手が迫る。

 気付け馬鹿っ。


 思わず叫ぶが妖精さんは気付かない。

 けれど……ギュイイイイイイイイイ。

 奇怪な音と共に突撃してくるネフティアが敵を排除する。


 さらに他の襲撃者に突撃して行くアルセギン。

 襲撃者たちから焦りが見え始めた。

 ここまで数の減った僕らを相手にすらアルセを奪えない。

 それはさすがに自分たちのプライドが許せない。そんなところだろう。


「おじゃるでござるのじゃー!」


 さらに増える偽人たち。

 襲撃者の一人がちっと舌打ちしたのが聞こえた。

 のじゃ姫がやっかいだと気付いたのだろう。


 直ぐにのじゃ姫に攻撃を向ける。

 無数のござるどもを掻き分けるように疾走し、のじゃ姫向けて三体の襲撃者が襲いかかった。

 死ね。そんな声が聞こえそうな鬼気迫る顔に驚くのじゃ姫。

 だが、彼らは気付いていなかった。


 それが、幼女の危機だという事に。

 一人の男が、狙われた幼女に気付き、目を見開く。

 やらせるか下郎ッ!


 風を切り、そいつはのじゃ姫の前に出現すると、ステッキを三打。

 襲いかかっていた襲撃者三人を悉く打ち倒す。

 さすがロリコーン紳士、幼女の危機には……待て、お前がこっちに来たら……


「やったぞ! 退け!」


 アルセの身体を黒尽くめが抱き上げていた。

 あれ? この人誰? といった顔で見上げるアルセ。

 僕とロリコーン紳士が気付いた時には、アルセを抱き上げた男が霧の中に消えた所だった。


「フオッ!?」

「待て、アルセを返せッ!」


 ロリコーン紳士と僕の声が重なる。

 でも、相手が止まる訳が無い。

 アルセが、アルセが攫われたッ!?


「フオ……フオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


 怒りで血涙を流すロリコーン紳士。

 カッと見開くその瞳には、おそらく鷹の眼スキルが使用されているのだろう。

 アルセがどこに行ったかを探し、直ぐにでも追おうとしているらしい。


「いけないっ。アルセちゃんが!」


「ど、どうしよう、私の代わりにアルセ捕まった!?」


「のじゃぁ!?」


 焦るモーネットさんに右往左往するアニア、そして頭を抱えて困惑するのじゃ姫。

 ネフティアも心持どうしようといった顔をしている。

 どうしよう? どうにもしない。アルセを捕まえた奴を許す訳が無い。それだけだろう。


「フオ」


 走り出すロリコーン紳士、当然僕も彼を追う。

 必ず取り返すぞロリコーン紳士、僕らで囚われの姫様を救うんだ!


「ちょ、ちょっと紳士さん、単独行動はっ。まずはギルドに……」


「言ってる場合じゃないでしょ! 手を出してきたのは向こう、徹底的に潰してあげるわ。妖精敵に回したらどうなるか、教えてやるんだから。って、ネフティア、掴んじゃだめぇ」


 やる気満々のアニアをむんずと掴んだネフティアは、彼女を自分の頭の上に乗せると走り出す。

 さらに殿中でござるの一人の背中に飛び乗ったのじゃ姫も動き出す。

 ロリコーン紳士を追うのじゃ。とでも言うように右手を前にかざし、人差し指でロリコーン紳士を指差し「のじゃ!」と叫ぶ。


「ああもう、これじゃ行くしかないじゃないですか!」


 そして最後に追って来るモーネットさん。


「おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー!」


 走りながら両腕を天へと突き上げ、のじゃ姫が高らかに叫びだす。

 そして次々と召喚されて行く無礼でおじゃると殿中でござる。

 その人数は一気に百を超え、さらに次々と増え出した。


「「「「「「「「「「無礼でおじゃる!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「殿中でござる!」」」」」」」」」」

「おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー! おじゃるでござるのじゃー!」


 よし、皆で行こう、絶対に、アルセを取り返すんだ!!

 僕はポシェットの中身を確認する。今使えるのはどれだ? アルセを助けるのに使えそうなのは……

 アルセを拐した不埒モノに、死すら生ぬるい鉄槌を!!

 次回、アルセに手を出すとこうなる。という話。


新スキル

 ネフティア

  アルセの親友:アルセが危機に陥ると防御力が4分の3になる代わりに攻撃・速度・突破力が3倍になる。

  のじゃ姫の仲良し:のじゃ姫が危機に陥ると防御力が半分になる代わりに攻撃・速度・突破力が2倍になる。


 のじゃ姫

  アルセの親友:アルセが危機に陥るとおじゃるでござるのじゃーに必要なテンションが0になる。

  ネフティアの仲良し:ネフティアが危機に陥るとおじゃるでござるのじゃーに必要なテンションが2分の1になる。


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